日経新聞に小さな記事ですが、トランプは米国の製薬会社幹部と会談、

米国の薬品の価格は天文学的に高いと痛烈に批判したと掲載されています。

 

米国では薬品価格は他の商品と同様、製薬会社が自由に価格を決めることができるので、

タミフル1錠7万円です。

子宮頸がんワクチンも7万円、肺癌の新薬ハーボニーは8万円。

これらのバイオ製剤は化学合成品ですから原価は100円足らずです。

 

日本政府は子宮頸がんワクチンをグラクソスミス社から税金で7万円で購入、

接種を義務付しましたが、副作用が問題になり、現在は一時中止しています。

 

トランプはワクチンの接種についてもその効果に疑問、見直しを訴えています。

これまで米国の指導者でこのようなことをハッキリ言切った政治家を私は知りません。

 

日本はこれまで、誰でも病気になった場合は安全で安価な治療が受けれるように

薬品、医療機器の価格は審議会を経て厚労大臣が決めてきたのです。

だから、私も今年インフルエンザに感染しましたが、保険適用で3000円ほどの

安い料金でタミフルも服用し完治出来ました。

ところが、トランプはTPPを離脱、日本に2国間の交渉を求めて来ています。

早速、日本の貿易黒字を解消、言い換えれば

米国商品の日本への輸出を求めて来ています。

 

どうなるのでしょうか。

 

米国が離脱しても、安倍総理はそのTPP協定を批准して、

日本の自主的な条約として生きている、言い換えれば、協定に拘束されるとしています。

TPP協定の第2章の付属書によれば、日本の医薬品の価格の決定手続に

外資の製薬会社が介入できることになっています。

既に安倍政権は、TPPを見越して、行政不服審査法を改訂、

外資の製薬会社が価格決定に不服の申立が出来るようにしていたのです。

さらに不服であれば裁判でも争うことも可能、最高裁判迄10年はかかりますが、

その間は高い価格のままです。

 

カナダの最高裁判所は米国の製薬会社申立を棄却、米国のイーライ社はその判決に不服、

カナダ政府を相手に現在ニューヨークの世銀でISDSで争っています。

これまで特許期間が過ぎたら、ジェネリック医薬品を自由に作れましたが、

今回のTPP協定では第18章では、

日本政府は開発した製薬会社に通知しなければならなくなりました。

タミフル1錠7万円をジェネリックで300円で売り出されたら、

外資製薬会社は必ず異議を申立てその間ジェネリック医薬品は作れないことになります。

 

TPPではさらに、タミフル、子宮頸がんワクチン、ハーボニー等バイオ製剤は

データの保護期間を特許期間の他に8年から12年を創設したのです。

 

このままでは、日本の薬品価格は3倍から4倍になって行くことは明らかです。

問題のオブジードにしても、一人治療するには年間3500万円かかります。

患者10万人いますので公的医療保険は破綻します。

 

さすがに今日、オプジーボの価格を政府は半額に致しました。

堤未果さんによれば、オバマケアの失敗は、

米国での天文学的な薬品価格をオバマ大統領は野放しにしたことです。

 

トランプが米国の医薬品の価格を大胆に引き下げ、

日本は米国の製薬会社の言いなりの天文的な価格になりかねない。

このようなことが起こるかも知れない。

 

安倍政権は、自由貿易はいいことだとして、日米の多国籍企業の利益に動き、

トランプは自由貿易が、国民を貧困にしたと関税の壁を作り雇用を守る。

どちらが正しいのか一考の価値はあるのでは。