作家の村上春樹さんがエルサレム賞受賞のスピーチはすこぶる評判がいい。
西岡武夫国会議員からお聞きして、
私もネットで日本語訳全文を取り寄せて読んだが感動した。

「高くて硬い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と言うことです。
さらに私が小説を書く目的はただ一つです。
個々の精神が持つ威厳さを表出し、それに光を当てることです。
小説を書く目的は「システム」の網の目に私たちの魂が絡め捕らえられ、傷つけられることを防ぐために、
「システム」に対する警戒警報を鳴らし、注意を向けさせることです。

そこまで、読んで私は思わず涙がこみ上げてきた。
私も政治に携わってきて20年近くなるが、この国の「システム」はあまりにも不条理なことが多い。
そしてあまりにも政治家は非力である。
高くて硬い壁はぶつかっても、ぶつかっても壊れそうもない。

私たち民主党、小沢代表側に対する検察庁の一方的な捜査も、マスコミ側への予断を持たせるようなリークもそうではないのか。
しかし、自分がいくら壊れやすい卵であってもぶつかって行かなければならない。

私が、昨年の夏、必死になって小説に挑んだのも、高くて硬い壁システムに何とかして警戒警報を鳴らそうとしたのだった。

昨夜、学生時代の仲間と久しぶりに酔いつぶれた。
「山田、小説を講談社から出版できたことが、国会議員になったときより嬉しそうだな」
と笑われた。