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北朝鮮が核実験を行ったとの報道が全世界を駆けずり回った。ちょうど私は地元で開拓神社の秋祭りに参列していた。ピーヒャラ、ピーヒャラ笛太鼓を聞きながら「これからどうなるのだろうか」しばし考えた。

 

12年前、細川政権のとき、私は官邸で北朝鮮の問題で張り詰めるような緊張のときをおくっていた。国連安保理で北朝鮮が核の査察を受け入れなければ2週間以内に経済制裁を行う決議をした。経済制裁決議は重大である。経済封鎖となれば石油の一滴も入らなくなる。そうなれば第二次世界大戦で日本がABCDラインで事実上の経済封鎖を余儀なくされ、太平洋戦争、真珠湾攻撃と戦争に突入したように、北朝鮮自体が暴発する恐れがある。

そうなったら当時、北朝鮮からソウルまで、大砲の弾が届く距離でいっせいに戦車が南進したら、一瞬にしてソウルは火の海になるのではと真剣に心配した。

その直後に、カーター元大統領が北朝鮮を訪ねて、交渉、核査察を受け入れ同意してことなきを得た。

今回、日本はアメリカに倣って、やれやれどんどんと金融制裁、輸出、輸入の全面禁止に踏み切れば、北朝鮮は早晩経済破綻がさらに深刻になるとして、自爆する恐れはないだろうか。米国の金融制裁、銀行等の封鎖は北にとってかなり深刻な影響を受けていて、テポドンの発射実験、更なる核実験は最後のカードといえる。

 

10年前とは違って、北朝鮮には200基の「ノドン」ミサイルがすべて日本に向けられている。「ノドン」ミサイルは車に搭載できる移動性のもので捕捉は難しく、発射されればそれを防御できるミサイルの用意もなく日本は一方的にやられることになる。それ以上に北の工作員が2000人は日本にいるのでは噂されている今日、サリン、細菌などの化学、生物兵器も恐ろしい。

 

われわれは威勢のいい意見だけにとらわれることなく、ここで冷静に考えて、北朝鮮を最後の話し合いの場に引き出して、核装備を断念させることにこそ努力しなければいけないのではないだろうか。

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