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東日本大震災、福島原発の事故以来はTPPの話は終わったかのように見られているが、実際にはそうではない。

つい先日もベトナムで米国をはじめとする9カ国が集まって、24の部会でそれぞれに話し合いが続けれている。

民主党本部にルース大使も招かれて講演、TPP交渉への日本参加を強く求めている。

日本政府も外務省、経済産業省は依然として関係国との事前協議を着々と進めている。

怖いのはTPPの交渉は条約が調印されるまで、すべてその内容について国民に一切知らされないことだ。

 

私達、TPPを慎重に考える会としてはなかなか情報が限られて、秘密になされている交渉がどの程度まで進められているか、国民生活にどのような影響を及ぼすのか、ニュージーランドからケルシー教授を日本に招いて講演していただくことにした。

教授はすでに始まっているTPPの交渉に、ニュージーランドとして危機感を覚え、あらゆる会合に出かけては交渉官に個人的に接触して、手探りで情報を集めている。

最近、「異常な契約TPP」を執筆して、その日本語の翻訳本が「農文協」から出版されたばかりだ。

 

12日には、大震災の被災地宮城県に行き先ずは被災地の現状を見ていただいた。

驚いている。

私も驚いた。2ヶ月ぶりに被災地を訪れたが、すでに目に見えるところはあらかた瓦礫もかたづけられている。

そのあと仙台市のホテルでTPPについての講演をしていただいた。

皆、食い入るように聞き入ってくれている。

「米国の投資家(大企業)を保護するために、TPPでは政府に対して裁判ができるようになっている。既に米国のタバコ会社がオーストリア政府に「健康のためにタバコの吸いすぎに注意しようとの字句を入れさせて、自社の商標の信用を損ねている」として数千億円の損害賠償を求めている。怖いのはこれらの裁判が世銀の一部で秘密裏に審理され、すべての記録も非公開でなされることだ・・・・・」

次々に興味深い話が展開される。

 

ことに、ニュージーランドでは小泉政権時代にが竹中平蔵氏らが先進的なモデルとして例に挙げていたように、郵政、航空会社、国鉄、刑務所までもが民営化して結果はどうなったか?

結果として、失業が増えて、貧富の差が拡大して民営化は失敗に終わって郵政についても、郵貯銀行などは、再び政府が手がけている。

 

翌朝、札幌市で後援会が開かれたが、ここでも500人を越える人が集まって熱心に聞いていただいた。

昨日、14日には憲政記念会館でケルシー教授の「東京講演会」を開くことができた。

当日は、急に衆議院の本会議が同じ時間帯に開かれて、私は心配したが杞憂に終わった。

ネットの口コミでの宣伝も効いたのか、立見席が出るほどの盛況な講演会になった。

特別ゲストに「ミスター円」こと榊原英資先生に来ていただいたのがよかった。

 

榊原先生が次のようにしめられた。

「20年前、私が大蔵省にいて、米国と交渉していた時と変わらない。米国は大国のエゴをTPPで押し付けようとしている。しかし、今は保護主義がいいとか自由主義がいいとかの二元論ではなく、中国、インドなどアジアを中心として世界経済が動き始めていることを見なければならない。日本としては、冷静に国家として、利害得失を考えなければならない。何よりも国民にTPP交渉のテキスト内容を政府に明らかにしてもらうことが大切である」

 

さすがに、なるほどと思った。

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