そのまんま東の知事選のさなか
宮崎の鳥インフルエンザを視察、そばで飼育中猪が風邪に感染の話しに背筋ガ寒くなる


昨日、民主党大会の後、党として鳥インフルエンザ対策本部を立ち上げた。
本部長に菅直人代表代行、本部長代理に私、事務局長に篠原孝衆議院議員。
早速今日は宮崎県、清武町に現地視察に赴いた。

おりしもそのまんま東さんの知事選の真っ最中だった。
ところどころオレンジ色の「じっと しちよれん」の旗が掲げられていて、なにやら知事選の熱気が感じられる。
問題の谷口種鶏場は、思いがけずも新興住宅地のすぐそば、宮崎大学医学部とさほど離れてない位置にあった。
300メートル周囲は立ち入り禁止になっていたので、私たちは、ぎりぎりのところまで行くことにした。
県庁の職員が10名ほど、宇宙服の様な白い作業服を頭からかむって、鶏を殺傷して運び込んでいるところを見ながら、町長さんの説明を聞くことになった。
「周囲10キロ以内の鶏の肉と卵は移動禁止にしていますので、心配要りません・・・」
と話し始める。

「そばに猪の肥育をしているところがあって、翌日食欲がなくなりましたが、獣医さんの話では風邪ではないかとのことです」

私はその言葉を聴いてはっとした。
10年ほど前、佐賀県武雄町で「花とリスのメルヘン村」テーマパークを私が作り上げたとき、リスを購入するために、つてをたどって宮崎の動物商まで尋ねてきたときの話しを思い出した。
「私は猪も飼っているのです。この辺は養鶏場が多いので、毎日、2、2羽都心で行く鶏を集めて猪の餌に投げ込むのです」
猪は豚の同族だが、鳥インフルエンザは鳥から直接、人に移るのではなく、豚などにウイルスが一度感染して、人に受容性のあるウイルスに変異したものが、スペイン風邪のように大流行を起こして数千万人の人が死んだので恐ろしい。
既に東南アジアなどでは166人もの人が鳥インフルエンザで亡くなったとされている。


私は背筋が寒くなった。
谷口養鶏場の鳥インフルエンザで死んだ鶏を猪に食べさせていて、その猪が鳥インフルエンザに感染し、その肉を知らずに人が食べたとしたら、どうなるのだろうか。
「その風邪を引いて、食欲がなくなった猪は今どうなりましたか」
思わず聞いた。
町長さんも知らなかったが、後刻調べて報告いただいたが、その猪は平常に戻って、餌も今では廃鶏はやらないようにしているとのことだ。
ほっとしたもののなんとなくその猪の肉は気になる。

その後、私たちは殺傷処分された鶏の焼却現場を見に行った。
1時間ほど、バスに乗って現場まで行ったが、実に素晴らしい施設で、このところ産廃問題で、悩まされていた私にとって「目からうろこ」の感動、理想的な施設だった。
宮崎県が県民の半分50万人の一般廃棄物と産業廃棄物を最終処分するために、400億円(国が半分負担)をかけて整備しただけに見事なものだった。運び込まれたごみは、まず分別リサイクルされ、残りを3基の大型炉のうち2基で焼却する。鳥インフルエンザで運び込まれた廃鶏も殺菌した隔離室で10羽づつダンボールに入れられて、自動的に1分間隔で巨大なゴミ焼却炉に投げ入れられる。その焼却熱で1万2000キロワット発電も行っている。
もちろん、匂いも一切なく、ゴミ処理場とは思えないようなハイテクの工場そのものだった。
鳥インフルエンザは今年はただ事ならぬ予感がする。

2年前、京都の浅田農場の鳥インフルエンザのとき、私は直ちに「鳥インフルエンザ緊急措置法」民主党として、国会に提出、遅れて政府が「家畜伝染予防法」の改正案を提出してきたが、その法案のなかに、われわれが予定していた、周辺の養鶏農家すべての損害を国が全額補填することになったので、改正案に賛成したいきさつがあった。当時国として阻害の全額補填は異例の事で、少なくともそれだけの措置をとっておいたことだけでも、「よかったかな」と思う 。