雑誌「島へ。」を創刊して、あしかけ9年、50号を迎える。
今回、特集の座談会でトヨタ自動車の奥田碩相談役と対談した。
面白かった。
トヨタの奥田さんといえば、この前まで経団連の会長をなさっていた超有名な方である。
たまたま愛馬の日に馬事公苑で、お逢いすることができていろいろお話したのがきっかけだった。
私の著書「小説日米食糧戦争—日本の飢える日」を読んでいただいたのだ。
「山田さん、大変面白かった。このようなことは現実に2回、3回と現実に起こりうることだと思う」と大変に褒めていただいた。
それがきっかけで「島へ。」の雑誌での対談に結びついた。
奥田会長は、大変に気さくな方で、終始にこやかに、自分から語るのではなく、むしろ私の話を丁寧に聞いてくださった。
驚いたことには、奥田会長は大変な読書家でもあった。
日本の歴史でも、正史として語られていることより、小林恵(やす)子さんの日本の外史「興亡古代史」を読んでいて、万葉集の詠み人の不明となっているところもすべて解読できると面白そうに語ってくれた。
そういえば、古くから対馬に伝わっていた阿比留文字は表音文字だと聞いたが、どこか相通じるものがあるかも知れない。
「秋篠宮様の何かのお手伝いをなさっているそうだが、そのときに宮家から「韃靼そば」をいただいた。
韃靼と言えば、今日本経済新聞に、対馬を舞台に「韃靼の馬」と言う小説が連載されているが、韃靼国といえば、中国大陸の国でしょう・・・・・・」
と奥田会長は語る。
「私が生まれた五島列島の三井楽は、万葉集にもみみらくとして歌われていますが、今でも柏という部落があって、潮帆(風に向けての帆ではなく、海流の流れに帆をかけて走行する)で韓国の済州島などと行き来していたときいています」
古代から韓国、中国大陸との交流が頻繁になされていたのだろう。
話は弾んだ。
トヨタ自動車は和歌山に山を所有して林業も手がけている。
対馬を間伐材を活用したバイオマス発電、風力、潮力発電など再生可能なエネルギーで燃料を賄える島にできないだろうか。
先日、農水省を訪ねてきたデンマークの大使の話では、サムソー島では再生可能自然エネルギーで140%賄っている。その隣の島、ボーンホルム島では、人口も対馬と変わらない5万人ほどだが、今年の3月から、再生可能自然エネルギーを活用しての「スマートグリッド」の実験が始まっている。
奥田会長も喜んだ。
トヨタ自動車で開発中のプラグインのハイブリッドの電気自動車、新しい蓄電池の話から。デンマークのボーンホルム島を一緒に見に行こうではないか。
そして、日本での「スマートグリッド」の最初のモデル事業を対馬で始めよう。
話は盛り上がった。
対馬で、家庭用の電力から、車も漁船も再生可能自然エネルギーによる蓄電池を利用したエコの島にすれば面白い。
明けて1月23日、対馬で林業の大きなイベントを予定している。