上五島。東シナ海に背を向けた絶壁のあいだを縫うように白い細い道が続く。夏草の生い茂る山肌に野生の白百合が一面に咲き誇っている。青い海が輝いている。峠を越えると、赤いレンガの教会が静かにたたずんでいる。みごとな自然の造形。しばしすべてを忘れて、「大自然」に身をゆだねる。ゆだねたい。そして「神の御心のままに」手をあわせたい。それでいて、煩悩のうちに、絶えずあれこれと揺れ動く心のうちは何だろう。日毎の戦いは、さらに激しくなる。