海がきらきら光っている冬の朝、私は癌でもう年は越せないかも知れない、30年近い友人立石茂樹さんを佐世保市の総合病院にお見舞いした。病床に奥さんと二人で暖かく迎えてくれた。聞いてはいたが黄だんが出て顔色もどす黒い。
「おい、元気出してもう一度頑張らなければ駄目ではないか」
「うん、もう一度元気になりたいよ」
27年も前から私の選挙を、負けても負けても一筋に応援していただいたかけがえのない友人、古い言葉で言えば兄弟分とも言える。男っぽく任侠肌の面倒見のいい男で皆に信頼されている。
にこにこしてはいるが、言葉も耳を近くに寄せないと聞き取れないか細い声だ。
「今度ばかりは厳しくて・・・・・・・」
1昨日、実家の佐々町の家に帰って、私もよく知っている山崎軍地ちゃんなど仲間20人を集めて食事会を開いたそうだ。
冒頭「皆と会えるのはこれが最後だと思う・・・・・・・」と切り出したら、皆泣き出して箸を付けられなかったそうだ。
それはそうだ。奥さんも一緒に、あれこれ昔話を小一時間ほどして失礼した。
「山田先生、身体には気をつけてくださいよ、次の選挙の際の名簿は既に用意して入るから・・」
私が見舞いに来て、逆に明日知れないかもしれない知れない友人に元気付けられた。
どんな選挙でも「山田さんが支持するなら、やりましょう」といつも真剣に取り組んでくれた。
病室を出るとつい、恥ずかしながら涙があふれてきて、懸命にこらえた。