ツルネン参議院から熱心に勧められるままに、私たち食の安全議連のメンバー5人はメキシコシテイを後にキューバ、ハバナ市に向かった。

暑い。メキシコは標高2500メートルの高原地帯だけに想像を超えてしのぎやすかったがハバナは暑い。

迎えにきた旅行業者の安達さんの説明ではメキシコの人口は1200万人その4割が白人で残りはアフリカから奴隷でつれてこられた黒人かその混血だとのこと。

「メキシコみたいに原住民インデオはいないのですか」

「スペイン統治時代に疫病か殺されてしまいました」

「・・・・・・・・ウッ(ショック)」。

植民地支配時代の人種差別を思い起こして、改めて日本のありがたさを感ずる。

夜、日本大使館でデイナーの接待を受けたが、米国との複雑な関係を突っ込んで聞いてみて改めて国際関係の深刻さを思い知らされた。

フロリダから100キロしか離れていない、米国を敵視している共産主義国家キューバ。北朝鮮のように核爆弾を保持しているとか、テポドンミサイルの発射実験こそしないが、財政の使途を決して明らかにしないので、米国に届くスカッドミサイルは持っているかもしれない。

人民のたてを標榜して全国民に、イラク、ベトナムを見本にゲリラ戦の訓練を怠らない、したたかなカストロ首相の政治手腕は聞けば聞くほど、すざまじい。

CIAから600回も暗殺されかかった話もうなずける。

米国もまたテロとの戦いを標榜しながら、キューバでの旅客機爆破テロの犯人ホサダカワレスの引渡しをベネズエラ政府に拒否している事実からして大国のエゴ丸出しだ。

意外だったのは、フロリダにいる亡命キューバ人の、経済界、大統領選における影響力は相当なもので、イスラエルに次ぐ力を持っていてイラク侵攻みたいには進めないようだ。

そのような政治のはざまの中で、キューバ国民のなんと底抜けに明るいことか。

驚かされる。

ソ連が崩壊して、それまでサトウキビさえ作っていれば生活できたキューバ国民は深刻な危機を迎えた。化学肥料も農薬も入ってこない。食べるために農薬も化学肥料もいらない有機農業との戦いを始めたのだ。

アラマール協同組合の農場は素晴らしかった。

私たちにとって、何よりも高温多湿のキューバでどのようにして農薬を使わずに、病害虫から野菜、果物を栽培できるのか疑問だった。

よくみるとチョウチョが野菜畑を舞っている。確かに農薬は使っていない。野菜はチンゲンサイなどの葉ものも綺麗だ。

説明によればレタス、トマトなどそれぞれ一畝ごとに異なる野菜を植えれば、野菜自らの持つ多様性が高められて、格段に病害虫に強くなるそうだ。

それでも病害虫にやられるときは、ニームの木の葉を粉、液体にして振りかけるとかなりの効果があるそうだ。ほかにもミミズの糞、ニモの木なども広く利用されていた。

面白い。

帰りに、マンゴーを包丁で切り分けていただいたがその美味しいこと、見かけは悪かったが、宮崎県の知事さんからいただいた1個1万円のマンゴーに引けを取らないもので、皆で唸ってしまった。