傷ついている子供の頃の自分を自分で癒すセッション | やまびこDr.の診療日記

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薬よりもっと大切な事をお伝えする小児科医のブログです。

18年前にひょんなことから出会った催眠療法を、今は根治療法として使用しています。

心身の疾患にも使えるのですが、人間関係や人生についての各種トラブルなどにも活かせるので、色々な相談にも使っています。

 

先日、お子さんを持つお母さん(Aさん)が、生きづらさを何とかしたいという主訴で、催眠療法個人セッションを受けに来て下さいました。

 

事前面談の中でご自身でつけたタイトルが「本当の自分が分かる場面」でした。

 

催眠の導入の後、明るい森の中で寝転がり、のんびりしているイメージから催眠の旅は始まりました。

 

最初のイメージは、幼少期よく遊びに行っていた祖母宅の庭。

弟さんと仲良しのいとこ達と、庭や小学校の校庭や近くの駄菓子屋などで、楽しく遊んでいた光景を思い出され、懐かしさや愛おしさにより最初の涙を流されていました。

 

楽しいイメージの最中(さなか)、急に場面が代わり、小学生の頃お父さんに怒られている場面になりました。

 

Aさんの表情が一気に険しくなり、嗚咽をするほど泣き始めました。

 

「怖い」

「ものすごく怖い」

「もうやめて欲しい・・・(泣)」

 

そう思いながらも当時の子供自分は声に出すこともできず、近くにいたお母さんと弟と3人で、ずっと耐えているイメージが続きます。

 

そこで、どうしたいのかをAさんに聞きました。

 

いくつかの選択肢のうち「大人になった今の自分がその場に出てく」というものを選び、その通りにしてもらいました。

 

そして大人のAさんが子供のAさん(Aちゃん)に優しく寄り添い、こう伝えたのです。

 

「怖かったね」

「安心していいよ」

「大丈夫だからね」

 

そして、満足するまでぎゅーっとハグをしてもらいました。

 

その間Aさんはずっと泣いていましたが、次第に泣き止んでいき、表情も緩んできました。

少し落ち着いたところで、お父さんと話をすることになりました。

 

大人のAさんがその時のお父さんに「お父さん、やめて!」と伝えたところ、お父さんは「俺だって苦しいんだ!」と答えました。

 

そこでお父さんの気持ちをもっと知るために、意識だけお父さんの中に入る方法をとってもらいました。

 

その時のお父さんの心の声です。

 

「俺だって家族のためを思って頑張ってきたんだ」

「すごく苦しい状況で誰にも相談できなくて、どこにも吐き出せなくて、でもずっと頑張ってきたんだ・・・」

「俺だって認めて欲しかった。ずっと苦しかったんだ・・・」

 

それを聞いたAさんは自然とこのような言葉が口から出てきました。

 

「お父さん、そうだったんだね。辛かったんだね。家族のために頑張ってくれてたんだね」

「ありがとう」

 

お父さんの表情は次第に緩み、やさしい顔になっていました。

そこで今何をしたいかAさんに聞いてみると、お父さんの膝に座りたいとのこと。

 

そのようにしてもらうと、Aさんは安心感を感じ、お父さんも穏やかな顔をしていました。

 

 

満足したところでAさんに聞いてみました。

 

「今モヤモヤは残っていますか?」

 

すると「お母さんへのモヤモヤが残っている」とのこと。

 

そこで、大人のAさんがお母さんに話しかけてもらいます。

 

「お母さんも苦しかったよね、辛かったよね」

「でもね、小さい私も同じように苦しい悲しい辛い気持ちでいたんだよ」

「それを分かってあげてね」

「ずっと言えずに我慢してたんだよ」

「お母さんを困らせたくなくて言えなかったんだよ」

「お母さん、大変そうなの分かっていたから(泣)」

「ずっと言えずに我慢していたんだよ」

「お母さんを困らせたくなくて言えなかったんだよ」

「私の気持ちに寄り添ってもらいたかった」

「大人は自分のことばかりでみんなが自分の感情をぶつけあって、それが私は辛く悲しかった」

 

「何で私、ここにいるんだろう? 何で生きているんだろう?」

「何のために生きているのか分からない」

「こんな私なんてどうでもいいんだ!」

「このまま消えてなくなれば楽なのに!」

「弟も体が弱くて、お母さんは弟にかかりきりで、わがまますごくてお母さんがいつも大変で困っていたのをよく見ていた」

「だから私はお母さんにこれ以上大変な思いして欲しくなかった!」

「お母さんのこと助けたかった・・・(泣)」

 

その言葉を静かに聞いていたお母さんは、穏やかな表情になりこう言いました。

 

「気づいてあげられなくてごめんね」

「ありがとう」

 

その言葉を聞き、Aさんは「ホッとした」と。

子供のAちゃんも「ほっとした」「ありがとう」と。

 

AちゃんはAさんに言いました。

 

「私が言えなかったことを伝えてくれてありがとう(泣)」

 

 

そしてAさんがAちゃんに優しく言葉をかけました。

 

「よかったね」

「安心してもいいんだよ」

「我慢しなくていいんだよ」

「もう大丈夫だからね(泣)」

 

そして満足するまでハグをしてもらいました。

 

 

ここでAさんに「モヤモヤは残っていますか?」と聞くと「ありません」とのこと。

 

 

そこで自分の中にいて、いつも見守ってくれている自分だけの「神様的自分(≒神様)」に会ってもらうことにしました。

 

そこは森を見下ろす空の上。

姿はみえないけれど、暖かくて優しくて包み込んでくれるエネルギーの様なものを感じました。

 

そこで、その神様にAさんは聞いてみました。

「私はどう生きればいいのかなあ?」

 

以下、神様の言葉です。

 

「あなたは自分を出してあなたらしく突き進んでいけばよい」

「あなたならできるから大丈夫」

「もっと自信を持っていいんだよ」

「今まで辛かった分、闇が深かった分、光があなたの中にあるから」

「怖くない、怖がらなくていいから大丈夫」

「何かに怯えなくてもいいし、自分を出しても大丈夫」

「あなたはきっと仲間がたくさんいるから、一人じゃないから大丈夫だよ(涙)」

 

「今までよく頑張ってきたね」

「私はいつもあなたの味方だよ」

「いつもそばにいるからね。だから安心していいんだよ」

「何かあったら私を呼んでね」

 

そして満足するまでハグをしてもらいました。

 

 

その次は、「幸せになれた未来」を見てもらいました。

 

 

そこは多分今から1年もたっていない近い未来。

 

まだ出会っていない自然の中の畑で、野菜やハーブを育てている未来のAさんの姿が見えました。

 

すごく生き生き(活き活き)とした素敵な表情。

 

そこに今のAさんが出ていき、未来のAさんと話をしてもらいます。

 

「もう我慢しないで自分の好きなことをやっていいんだよ」

「今ね、すごく幸せなんだ」

「心が満たされている」

「人のために生きなくていいよ」

「迷惑かけるとか考えなくていいよ」

「自分がどうしたいのか、自分の気持ちを大切にしてにね」

「もっと楽になりなよ」

 

その言葉を胸に、最初の自然の中に戻りました。

 

同じ森なのですが、最初の頃と比べ陽射しがあり、優しくなっていると感じました。

 

そして自分は体の力がすごく抜けて、安心しているのが分かりました。

 

そして催眠の旅を終え、現実の世界に戻ってきました。

 

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催眠療法は、自分の中にあり普段は気づけていない想いに気づくことで、今の生きづらさの原因やその対処法を知り、これからの生き方を楽にする、素晴らしい手技・手法だと感じています。

 

このような個人セッションも随時受けていますが、どんな感じかを知るための「催眠体験会」や、催眠療法のことをもっと深く知るための「ヒプノセラピスト養成講座」などを行っています。

 

催眠体験会はほぼ毎月1回ずつ、直近では2022.12.17(土)クリニックで、行います。

ヒプノセラピスト養成講座は、入門編は2022.12.10(日)クリニックで行います。

(大阪では先日開催しました)

 

参加したい方、ご自身の町で開催希望の方は、メール(yamabiko.dr@gmail.com)かメッセンジャーにてご連絡下さい。