子供の頃の僕は、紙とはさみとセロテープさえあればずっと一人で遊んでいる、工作大好きな子供でした。
小学校の時に一番好きな教科は図工で、特に工作の授業は朝からウキウキしていた程でした。
小学校2年のある日、細い木の棒を使う授業がありました。
前日に先生がその棒を1本ずつ配り、「明日の図工はこの棒を使って好きなものを作ってもらいます。どんなものを作るか考えてきてくださいね」と言いました。
僕は家に帰り一人ワクワクしながらあれこれ考え、そして人形を作ることにしました。
それを母親に伝えたところ、人形の頭の部分が少し難しそうだから、頭の部分だけ家で作って、それを学校にもって行ったらどうかとアドバイスをうけ、そうすることしました。
母が家にあった綿と布で丸い頭の部分を作ってくれて、それを棒に差し込み、人形の頭の部分が出来上がりました。
頭の部分を下にしてランドセルに入れたのですが、棒が長いために棒の一部はランドセルからはみ出ていました。
「この棒を引っ張ると頭がとれちゃうから、取り出す時はランドセルを開けて取り出すんだよ」と母が言いました。
翌朝ワクワクしながらそのランドセルを背負い、登校班の集合場所に行きました。
1年生から6年生まで10名ほどのいつもの顔ぶれが集まり出発したのですが、歩いている途中である5年生の男の子が僕のランドセルの「棒」に気づき、「これ何?」と言って、棒を引っ張ってしまいました。
「あっ!だめ!!」と言ったものの間に合わず、その棒は引き抜かれてしまいました。
もちろん、頭の部分はランドセルに残ったまま・・・
小学2年生の僕には、状況を説明することができず、でも母が作ってくれた人形の頭を壊されたショックと悔しさと悲しさから、そのまま笑顔になることなどできず、その子の手にあった棒を奪い取り、「壊れちゃったじゃないか!」と言いながら、その棒でその子の頭を軽く叩きました。
痛くも何ともない程度の力で叩いただけですが、でもその上級生は叩かれたことに怒り、僕の頭をかるくはたき歩いて行ってしまいました。
僕はその棒を手にしたまま、悔しくて悲しくて、その場でエンエンと泣いていました。
その時、全ての事情を知っていて、その一部始終を見ていた兄が、ただ黙って僕に寄り添っていてくれました。
少ししたら「行こ」と言って僕をやさしく悟し、ゆっくり一緒に歩いて学校まで行ってくれました。
人に手をあげることは許されないことだと教えられます。
でも悪いと分かっていてもそうするのは、そうせざるをえない理由がその人の中に必ずあるからなのです。
それが自分や誰かの尊厳を守るためという場合が多いと思います。
小学2年の僕も、痛くない程度であったにせよ、上級生の頭を叩くのは許されないのは分かっていました。
圧倒的な体力の差もあり、反撃されるのも分かっていました。
でも、そうしないと母の想い(愛)が踏みにじられたままのような気がして、我慢できなかったのです。
案の定そのために余計に悲しい想いをしてしまいました。
でもその時も40年以上経った今も、そうしてよかったと思えています。
今の世の中、トラブルがあった場合必ず「犯人探し」をするようになっています。
「誰が悪いんだ!」「何が悪かったんだ!」と。
そしてその「犯人」とされた人が徹底的に糾弾され打ちのめされ、それで周りの人は解決した気になり安心して、でも実は何も解決していない・・・ということを繰り返しています。
世の中を「善」と「悪」の二つに分けて「悪」を排除することで世の中を「善」だけにしようとする考え方を「二元論」といいます。
でも世の中を「善」だけにすることは不可能です。
全ての「悪」を排除し切れるはずもないし、「善」の中から又「悪」が生まれますし、そもそも「善」と「悪」に分ける「基準」は、人により時代により国によりその時の状況により全く違ってくるからです。
トラブルがあった場合、犯人探しも必要かもしれませんが、犯人を糾弾して終わりではなく、そうせざるを得なかった本当の理由を知ることで、それを繰り返さない方法をみんなで考えることこそ大切だと思うのです。
今日クリニックの掃除をしながらふとこんなエピソードを思い出し、母と兄と当時の自分の想いに触れることができ、嬉しく思いました。
兄もあの時どうしたらいいのか分からなかったのだろうと思いますが、でもただ見守り寄り添いそっと背中を押してくれたという、あの状況では最高の対処法をしてくれたことに、一人ウルッときてしまいました。^^
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クリニックでの予定(2021年) 1月27日時点
2月 4日(木)催眠体験会 5,500円 子連れ不可
2月 9日(火)数秘8の会 1000円 子連れ不可
2月13日(土)今の教育にも物申したい教師の会(仮称) 500円 子連れ不可
3月13日(土)お母さんセラピスト養成講座特別編 33,000円 子連れ不可
3月14日(日)お母さんセラピスト養成講座認定試験 33,000円 子連れ不可