ロビンソン漂流記、という題名で、小学生用の読み物として、多くは認識されているだろう、読後の感想はそんなもの遥かに超える大変な宗教修行読本、素晴らし本だった。
読み手によっては、(こちらの方が多数派かも知れないが、)血湧き肉躍る冒険小説の面を表面(おもてめん)として読む人が多いかも知れない。
しかし、実はこの本のもう一つの面は、驚きの宗教的啓蒙の書であった。
そして、私は、というか、宗教の修行者、また、多少なりとも宗教を志す者なら、こちらの面を表面として、本書を読むに違いない。
宗教修行の中で、必ず通る葛藤や疑問、そして、それを乗り越える中で感じる神との一体感、恍惚感、心からの幸福感を、縄の裏表の様に、巧みに編み込んだ、作者のダニエル•デフォーの才能が光る本当に凄い本だ。
本書の刊行は、約300年も前だから、未だ飛行機もなく、アフリカやアメリカ大陸などが、未開の地であった頃だ。
やはり、それだけの風雪に耐える書籍と言うものは、それだけの価値のあるものなのだなと、改めて再認識した。
最近また、統一教会が問題になり、宗教が悪い形で話題になり、人々の関心を呼んでいるが、ここで改めて本来の宗教の力を知って欲しいと思う。
宗教が問題なのではなく、逆に、宗教的素養、知識、神仏への尊崇の念を失ったことが、現代日本の最大の問題だと、社会が宗教を失うという事が実はどれほど恐ろしいことなのか、それに気付くべき時が今なのだと思う。
そのためには、本書、″ロビンソン•クルーソー″は、よききっかけを与えてくれるに違いない。