もう2週間前のことですが、6月8日に清水凜さん出演の舞台「メアリーの怪物」を観に中野ザ・ポケットへ行ってきました。

中野ザ・ポケットのあたりは劇場が並んでて、昔よく行ったなあ。あの頃は自転車で行ってたなあ、なんて思いながら向かいました。

当パンに書かれているのですが現代版「フランケンシュタイン」らしいです。

全体的にいうとスッキリしない作品でしたが、フランケンシュタインもスッキリするかというとそうではないのでそういうもんかも知れません。

舞台をまっさらな状態で(なんの予備知識もなく)観るのが好きなので観終わったあとは「ん?」っていう疑問がいくつか残りました。

そのうちのひとつ(劇中一度もメアリーという単語を耳にすることはなく)タイトルにあるメアリーってなんやねん?ってのはフランケンシュタインの作者がメアリー・シェリーということで、まあそっから取ったんかなあ(でも舞台のタイトルとしては相応しくないよなあ)って思ったのでまあいいとして・・・。

劇中のセリフで「HPチップのHPってなんですか」って質問に対して「ハピネス研究所の頭文字を取った」って言った後「本当は別の意味もあるんだけど」ってぼそっと言ったと思うんだけど、その「別の意味」が最後までわからなかったんよね。自分が聞き逃しただけかもわからんけど、それは今でも気になってます。

物語はね、普通の人間、ロポと呼ばれるHPチップを埋め込まれた人間、ロボット、あといわゆるクローンの4種類(っていうのかな?)がいて、共存できればいいのになあって思って見守ってましたが、破滅の方向に向かいましたね。

清水凜さんは悲しみに特化したロボット(だったと思う)ネーガ役でした。ロボットの中でも(贔屓目にみてるかも知れないけど)いちばん重要な役で、ルーカスやカイの暴走を止められる存在だと思っていたのですが、残念ながら最初に破壊されてしまいました。

このネーガの破壊が終わりの始まりだった気がするなあ。ローズも父を説得するって言いながら何もできなかったし、最後は暴走が止まらないまま全壊した感じだったなあ。個人的にはあまり好きではない終わり方でした。

ローズが説得し、ロボットが仲介役として共存できる未来を期待してたんだけどなあ・・・。

今回の舞台は終演後に面会ありということで清水凜さんにご挨拶させていただきました。ありがとうございました。


もう1ヶ月以上前ですが、5月4日に清水凜さん出演の舞台「Life is Numbersクローバーside」、高宗歩未さん主演「Life is Numbersハートside」を観に大塚萬劇場へ行ってきました。

劇団6番シードは同じく清水凜さん出演の「未来切符」(滋賀公演)を観て以来かな?

未来切符は(自分の記憶が確かなら)オムニバス形式で4つぐらいのショートストーリーが、最後には1枚の切符で繋がるっていう、見終わったあとにすごく気持ちよくなったのを覚えているのですが、今回の舞台も主人公が亡くなって悲しいはずなのに、すごく爽やかな気持ちになるっていうか、まあ気持ちいい終わり方でしたね。

潰れかけの芸能事務所で一発逆転をかけるもの、自身の死期が迫っていることを悟り恋人にビデオメッセージを残そうとするもの(主人公)、なんとなくドライで仕事をあっさり変えてしまうシステムエンジニア、借金に苦しみ、ネットの嘘情報に踊らされ銀行強盗を企てるもの、これらが最後に起こす奇跡がなんとも心地よかったです。

清水凜さんはカフェナンバーズの店員役で、最後に起きる奇跡には直接関わらないんだけど、主人公とも絡むシーンがあったり、手術費用が消えてしまったことでシステムエンジニアを動かすことになったり、なかなかいい役でしたね。ハートsideの主役を務めた高宗歩未さんは(本当は歌も踊りもめちゃくちゃ凄いのに)ヘタクソに演じるの大変だったろうなーって観てました。

拓実も七菜子もきっと長くはないことわかってたはずなのに悲壮感はなく、前向きなところが好感持てましたね。自分に残された時間を目にする数字の秒数で例えて、桁数がかわるごとに一喜一憂するところもなんだかかわいく思えたなあ。

拓実や七菜子のビデオメッセージが芸能事務所の新人のプロモーションビデオになって、オーロラビジョンに流れるという奇跡、その後のことは想像でしかないけど、低予算でやっつけで作ったプロモーションビデオよりずっといいものに仕上がってたと思うし、ちゃんと恋人にも届いてるし、コンビニ店員はおそらく犯罪者にならずに済んだだろうし、システムエンジニアも勝手に流すビデオ替えてもクビにはならずに済んだだろうし、きっとあのプロモーションビデオが話題になって芸能事務所は潰れなかったことだろうし、コンビニ店員の背中を押してしまうかっこうになった四葉も最後はちゃんと皐月山教授と上手くいったし、カフェナンバーズの店員(清水凜)も無事手術は成功したし、全部が気持ちよく終わったって感じでした。こういう終わり方好きだなあ😊

またいつか劇団6番シードの舞台観たいなあって思わせてくれる素敵な作品でした。



もう1週間以上経ってしまったけど、3月23日に下北沢の「劇」小劇場にてこわっぱちゃん家公演「nitehi:kedo」を観てきました(ネタバレあり)。

以前、撮影でご一睡させていただいた長尾真奈美さんが出演されている舞台で、お誘いいただき観に行きました。

グリーフという難しいテーマのお話なのですが、とても心に響くいい作品だったなあと思います。

死別だったり、蒸発(?)だったり、植物状態だったり理由はさまざまだけど、大切な人を失ってグリーフになってしまった3人(3家族)のお話で、そこに大学教授なのかな、精神疾患の研究をされている方と、AI生成の研究開発をしている人が絡んで話は進んでいきます。

物語の冒頭では2組の家族しか出てこないのですが、実はAI生成の開発者のうちの1人が妹を失ったことでグリーフになってしまっていたことが途中で明かされます。

このAI生成というもの、ただ声や話し方を「モノマネ」するだけでなく、その人の考えや性格から、それぞれのシチュエーションでその人が言うであろうことを100%再現することを目指して開発されていて、物語の冒頭では80%ぐらいって言ってたかな、教授はそんな程度って言ってたけど、これでもすごいと思うけどね。

まなみんは母と妹と3人暮らし。少し歳が離れた妹で、仕事で家を空けがちな母のかわりに、姉なんだけど母役みたいな感じの立場だったね。母が亡くなる前に妹が引きこもりになってしまって、会いたいなあって言い続けていた母に妹の姿を見せることができないま、母が突然倒れてそのまま帰らぬ人となってしまった。そして葬儀の間も妹を部屋から出すことができず、母に対して強い罪悪感を抱いてしまったことでグリーフになってしまいます。

母の言葉の中にいくつか響いた言葉があるんだけど、その中でもいちばんはやっぱり「いいことも悪いこともきっかけひとつ」みたいなセリフかな(時間が経ちすぎて100%ではないかもですが)。きっかけひとつで人は買われるんだよって、ほんとにそう思います。

もうひとつの家族は長距離ドライバーの父と(おそらく)専業主婦の母と娘の3人暮らし。こちらは母が突然失踪(?)するんだけど、自分が聞き逃しただけかもしれないんだけど、失踪した理由はよくわかんなかったんだよね。あんな一言だったかな、なんかたった一言が理由で家を出てしまうんだけど、その一言がなんだったのか、物語の中で明かされなかったのか自分が聞き逃したのかわからなかったけど、最後まで理由はわかりませんでした。最初はね、もしかしたら亡くなってしまってるんじゃないか、猫みたいに自分の死期を悟って姿を消したんじゃないかって思ったけど全くの見当違いでした(笑)。

そしてもうひとり開発者の方(役名失念)は妹を事故で失います。こちらも最初は事故で亡くなったかと思わせつつ、途中で舞台奥にうっすらと病室に横たわる人影のようなものが布越しに見えることで実はまだ生きているということがわかります。生きてはいるけどいわゆる植物状態、もう話すことはできないんだと。

この開発者、AI生成の開発をしているのも100%を目指しているのも全ては妹と再び話したいからって言う、役柄は人付き合いが苦手そうで悪く言うと人間らしさがない雰囲気なんだけど、それ聞いたらすごく人間らしさがあって素敵だなって思ったね。

開発を進める上でデータとして、妹の親友から話を聞くんだけど、唯一の恋バナとして、あっさり振られた話が出てくるんだけど、ここで放った妹の「誰が玉子焼きやねん」って言葉がすごく印象に残ったのよね。同じセリフを2回言ったって紹介されるんだけどさ、1回目はその場を和ませるため、2回目はきっぱり諦めるための決意みたいなものを感じるよね。きっと1回目は笑いながら、2回目は涙を堪えながら言ったんだろうな。アンケートでいちばん心に残ったセリフもこれを選んだよ。

さて物語は進み、いよいよ「nitehi」(開発していたAI生成のネーミングね)を使うかどうかってところになります。果たして100%に達したのか?

答えはね、もちろんわかりません。でもね、自分は100%なんじゃないかなって、最後のシーン、妹の「死にたい」ってセリフで感じたのね。

おそらく妹は本心ではまだ生きていたいって思ってたと思うの。兄にもすごく感謝してて、でもそんな兄の苦しむ姿とかを理解した上で「死にたい」って言ったと思うんだよね。そして兄もそれが本心じゃないってわかったから「尊厳死は選ばない」ってなったんだと思うんよね。妹の思いやりと兄の愛情がどちらも素敵だったなあ。

全体的に心温まる素敵な物語でした。

全然関係ないけど、久しぶりすぎてブログ書くのにすごく時間かかってしまった(笑)。

終演後に演者と挨拶できました。コロナ以来なかなかできない舞台も多かったので嬉しいですね。久しぶりにまなみんともお話して、またねーって感じで劇場をあとにしました。

こわっぱちゃん家は初めてでしたが、また観てみたいかも。

そんな感じ