投資塾を始めた当初はたくさんの銘柄情報を送ることが顧客のために努力している、あるいは一生懸命やっているといったふうな勘違いをしていました。バブル崩壊後の長期下降トレンドのさなかという事もあり、しかしネット証券の勃興期でもあり個人投資家が自己売買ができるようになりまして、デイトレが流行だったことも背景にあります。つまり1日でエントリーとクローズ、買って売る、あるいは最初に売りから入って買い戻すような短期トレードが流行という事もあったでしょう。

 

 考えが変わったのは塾を始めて3年後くらいでしょうか東京の皇居近くの外資系ホテルでオフ会をやったときのこと。ある塾生の方から少し怒気を含んだ表情で「塾長は全部(銘柄に)入ってるんですか」と尋ねられたのでした。全部は入るわけがありません。当時、1日で10ぐらい銘柄情報を送ることも珍しくなかったはずです。(これ、よさそうだな)ぐらいな感じでいろいろ銘柄情報を送っていたかと思います。その中には当たっているものもあればはずれている情報もあったはずです。しかしその塾生の怒気を含んだ表情を見てすぐにわかりました。手土産をもって見えていたし、ちゃんとした方だったと思います。

 

 それ以降、銘柄情報は一つ間違うと損させるということを意識するようになり、情報は精査に精査を重ねて絞るようになりました。もちろん塾生の中には自己責任と割り切って臨み、多くの情報が欲しいという方もいますが、そういう方はだいたい慣れた方で、一般的に個人投資家は損切りができない方が少なくありません。ですので、ちょっとやそっとでは銘柄情報を送らないようになりました。ネットでいろいろ銘柄情報をいつも送っているところも珍しくない世の中ですが、たまに(だいたいメジャーなところでも好業績や好テーマで銘柄選出していて興味があって)チャートから銘柄情報をチェックするときがありますが、ほとんどが自分では無理です。選びません。上昇トレンドでなかったりアップダウンが激しかったり。可能性が高そうでないものが多いです。ファンダメンタル中心に条件検索でピックアップするとそうなるのもやむを得ません。自動検索は万能ではないのです。

 

 ですから、塩漬けしている人も多いのではないでしょうか。紹介するところの多くが自分が受け取る側だとして精査はしていませんからね。また無料の情報がそれほど精査されていると考えるほうもおかしいのでしょうけれど。当塾では精査の上、精査しています。それでも外れる銘柄はあります。株ですのでね。