ニュースリリース : 2007年2月13日 : HITACHI

 

 

2007年2月13日

世界最小0.05mm角の「非接触型粉末ICチップ」の動作確認に成功

従来の試作チップの面積比で9分の1の小型化を実現し、紙への漉き込みが可能に

  日立製作所中央研究所(所長:福永 泰/以下、日立)は、このたび、0.05mm角、厚さ5μm(マイクロメートル)で粉末状の世界最小の非接触型ICチップを開発し、動作を確認することに成功しました。今回、開発した非接触型ICチップは、現在すでに製品化

されている「ミューチップ」*1と同じ機能を保ったまま小型化を実現したものです。今回の非接触型ICチップは、90nm(ナノメートル)での微細なSOI技術*2の採用と、電子線描画によるメモリ技術を用いることにより実現したもので、2006年2月に発表した0.15mm角、厚さ7.5μmの試作ICチップ*3と比較して、面積を9分の1に縮小しました。今回、大幅に小型化を行うことにより、商品券などの有価証券や各種証明書の認証など、より幅広い用途で利用することが可能となり、本超小型化技術は、RFIDタグ*4の新たな利用分野に道を拓く技術です。

  「ミューチップ」は、チップの外部アンテナで電波(2.45GHzのマイクロ波)を受信し、それをエネルギーに代えて、128ビット(10進法で38桁)の固有の番号を無線送信する、世界最小クラスの非接触ICチップです。製造工程で、ID(識別番号)データをROM(読み取り専用メモリ)に書き込むことから、番号の書き換えができず、高い真正性が保証されます。このような小型、高い真正性、非接触などの特長を用いると共に、インターネット技術と結び付けることで、セキュリティや交通、アミューズメント、トレーサビリティ、物流管理など多方面の分野での活用が可能になります。
  日立では、「ミューチップ」のさらなる応用分野の拡大をめざし、その特長を維持したまま、通信距離拡大や、アンテナサイズの小型化などに取り組んできました。本チップは、超小型、薄型であることから、商品券などの有価証券や各種証明書など、より幅広い用途への活用が可能となります。今回開発した0.05mm角ICチップの特長は以下の通りです。

(1) IDデータを記憶する小型ROM

  IDデータ(128ビット)を小面積の回路に記憶するために、1ビットのメモリセルをトランジスタ1個で実現できるROMを用いています。IDデータの各ビットは、チップの製造時にメモリセル内の配線の有無で記憶するので、書き込み回路が不要であり、チップの小型化が可能です。また、配線の有無でデータが決まるため、できあがったメモリの耐久性も高く、周囲温度やノイズなど環境が厳しい場面でも安定して使用することができます。さらに、今後のLSIの微細化にも容易に適応が可能です。

(2) IDデータを電子線描画装置でROMへ書き込み

  IDデータをメモリセルの配線の有無として書き込むために、電子線描画装置を使用しています。IDデータは全てのRFIDチップで異なるため、IDデータに対応する配線パターンをシリコンウェハに描画するのに、毎回、マスクを新たに用意することは効率的ではありません。そこで、チップ毎に異なる配線パターンを電子線描画装置で直接、シリコンウェハ上に描画し、1回しか使わないマスクを用いないことにしました。一般に電子線描画装置では、処理スループットが遅いことが課題になります。今回、1個のRFIDチップが0.05mm角と超小型であることを考慮し、10,000個のチップを1つのグループにし、約5mm角のチップとみなして、1回の電子線描画で処理する方式を開発しました。これにより、0.05mm角の超小型チップを1個ずつ処理する場合に比べて、約50倍も高速に処理することができるようになりました。

  今回の大幅な小型化により、ウエハ1枚あたりから取れるチップの枚数が飛躍的に増加し、0.15mm角のICチップと比較すると9倍、現在製品化されている「ミューチップ」(0.4mm角)と比較すると60倍程度の生産性向上が見込めます。

  なお、本成果は、2月11日から米国サンフランシスコで開催される「国際固体素子回路会議(ISSCC :International Solid-State Circuits Conference)」において発表する予定です。

*1
「ミューチップ」は株式会社日立製作所の登録商標です。
*2
Silicon on Insulatorの略。SOIプロセスではシリコン基板上にまず絶縁層と単結晶シリコン層を形成(これをSOI基板という)し、このSOI基板上にトランジスタを形成します。トランジスタの間隔を縮小しても素子を分離できるので、チップの小型化に有効です。
*3
ISSCC2006で報告した0.15mm角、厚さ7.5μmの両面電極型ICチップ。現在量産中の製品とは異なります。
*4
Radio Frequency Identificationの略で、電波で認識や証明を行う無線自動認識。
 
 
 

 

<コメント>

電波は侮れませんね。

5Gは容量が大きい代わりに通信距離が短いのでアンテナを数多く作る必要があるそうです。

5Gの通信端末を持たないことと、なるべくアンテナから遠いところで生活するのが、健康にはいいでしょう。

それにしても日立の0.05mm角のICチップを作ったのが2007年。今から14年前です。このときRFIDと明確に書いてある。技術の発展とともに、この14年、その後のことが何も知らされていないのは何故か、というのがありますね。

ステルスでは?

 

 

 

<追加>

 

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