MOTコレクションで中園孔二の作品に初めて出会いました
中園孔二「ポスト人間」2007
18歳の時の作品、あっ!『他人の顔』だなと思いました😗
「他人の顔」1966年原作・脚本 安部公房
監督 勅使河原宏 音楽 武満徹
キャスト 仲代達矢、京マチ子、
平幹二朗
この作品には、驚かなかったのですが、となりの「無題」2012に衝撃をうけました
↓
中園孔二「無題」2012
暗い画面に、人物やら得体のしれない生き物がいて、目を凝らす程に、奥へ、奥へと引き込まれていくようで…
ゲルハルト・リヒターの「ビルケナウ」2014を思わせます
ゲルハルト・リヒター「ビルケナウ」から
『ビルケナウは、ゲルハルト・リヒターが2014年に制作した4枚の絵画シリーズです。ビルケナウという名前は、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所に由来しています。リヒターは、おそらく強制収容所の囚人アルベルト・エレラが撮影したと思われる、森の中で焼かれるユダヤ人の死体や、ガス室へ向かう途中の裸の女性たちを描いた4枚の写真を4枚のキャンバスに転写しました。』ウェキペディアより
じっと見つめていると、なぜか、ベラスケスの「ラス・メニーナス」1656 が浮かんできました
ディエゴ・ベラスケス「ラス・メニーナス」1656
複製
絵にはマルガリータ王女と女官たちと犬、画面左には絵筆を握るベラスケスが恣意的な構図で登場しています。更に奥の鏡には王女を見つめるフェリペ4世夫妻。
奥の暗い空間には大判の画中画が2枚、「高貴な藝術」の勝利を暗示しているらしい。最も奥の階段にいる男性は、王妃の侍従らしいが目立ちますね~🤔
伝統的西洋絵画は、画家の絶対的視点で描かれていますが、ラス・メニーナスを描いているのは誰?…???
この絵が完成した8ヶ月後にベラスケスは逝去、過労死との由
凝視すると何かが浮かんでくる
“ビルケナウ”
現実と虚構が入り混じる
“ラス・メニーナス”
中園孔二の不思議な絵は、
いろいろな連想を巻き起こし、
絵の奥へ、奥へ、と引き込む力
を感じます
家に帰って、彼の事を調べると
『中園孔二は1989年神奈川生まれ、15年に逝去。約500点の作品を残した。2012年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。クレヨンや油絵具などを使い分けるほか、指で描く、あるいはチューブから直接キャンバスに絵具をつけるなど複数のレイヤーで画面を構成し、様々な表情を見せる絵画作品を制作した。』出典元 美術手帖https://bijutsutecho.com/artists/414
1989年神奈川県横浜市に生まれ、東京藝術大学を現役合格し、2012年卒業、在学中から注目され前途洋々たるデビューを飾る。2014年末に香川県高松市に移住しアトリエを構える。2015年7月瀬戸内海沖で消息不明となり後日遺体発見。享年25歳。
中園孔二
「ぼくは何か一つのものを見ている時、となりで一緒になって見てくれる 誰かが必要なんだ。」と遺品のノートに書き留められていたらしい
彼の他の作品を見てみよう
(ネット画像を借用しました)
中園孔二「無題」2009
中園孔二「無題」2012
ガールフレンドとキャンプファイヤーのようですね
中園孔二「無題」2012
中園孔二「無題」2012
中園孔二「無題」2012
中園孔二「無題」2013
評論家は、
『「像の輪郭に内接するもの、あるいは抽象的な模様の隙間に嵌め込まれるもの。(中略)3層、あるいは4層をなす絵画構造のすべてにおいて、異なった様式で周到に「顔」が描き込まれたもの。中園作品はその意味で、複雑な破片を嵌め込み、糸状の要素を構造的に張り巡らせ、絵画を緊密に構成された立体物とすることと、人形=キャラクターの侵入とが同時的である」
(沢山遼「人型は構造に肉迫するか?」美術手帖REVIEWS、2013年10月号)』
中園孔二「無題」2013
中園孔二「無題」2013or2014
『中園本人は、次のように語っています。
「何を描いているのかは重要じゃない、たくさん作ることに意味がある。(描く事は)外縁をつくること。中側はわからない、見れない、触れない」
(8/ tv「中園孔二」展記録映像、2014年より)』
中園孔二「無題」2014
この作品前後に、高松市に移住しています
中園孔二「無題」2015
波打ち際でしょうか、上は島かな…
中園孔二「無題」2015
2015年7月 瀬戸内海で消息不明になった事を考えます…
中園孔二(1989〜2015)
↓
どういう経緯か、居酒屋評論家の太田和彦氏が『穏やかなゴースト 画家・中園孔二』村岡俊也の書評を書いている。
『◆「天才」の精神世界たどる
[評]太田和彦(アートディレクター・作家)
1989年に生まれた中園孔二は、東京芸大絵画科油画専攻に現役合格直後から才能を認められ、卒業制作はすぐに有力画廊の買い上げになり、数々を受賞する。描き始めたら止まらない多作で画風は多岐にわたり、精神の遍歴が表れる。
深夜の一人歩きを好み、人気(ひとけ)のないビル屋上に上がり、森を何時間も歩き、高い崖に立ち、疲れるとそこで寝てしまう。大阪の美術展の帰りの電車賃がなく、親に電話して駅に来てもらうのは日常のことだった。叔母が連れて行ったイタリアでも1人残り、各地を野宿で放浪した。2015年、瀬戸内の海でいつものように衝動的に向かいの島へ泳ぎ、そのまま水死。25歳の生涯で残したおよそ500点は、世界で高い評価を受けている。
天才とは、生まれた時から独自の才能を持ち開花させた人だ。残した150冊の制作ノートを読み解き、家族、友人、専門家に取材を重ねた本書は、その「天才」の人物、行動、精神世界をくまなく検証。読み終えると、掲載された鮮明なカラー作品図版が一層奥深く見えてくる。
(新潮社・3630円)
1978年生まれ。ライター。著書『新橋パラダイス』など。』
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