”デイヴィッド・ホックニー展“ 東京都現代美術館 | やまちゃん1のブログ

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”実見しない絵画を語ってはならない“と思った。
ホックニーの絵画をアクリル絵具の“安っぽい”絵だと思っていた先入観は見事に打ち砕かれた。

ホックニーは色彩豊かな『雪舟』
だった。




第1章から第6章までは撮影禁止のため、写真はネット画像を借用しました。


ディヴィッド・ホックニー


『自画像』 2021年


ディヴィッド・ホックニー(1937〜)英 ブリティッシュ・ポップ・アートの一員としてロンドンで活躍後、1964年からロサンゼルスに移住、変化する光と水を描く。コロナ禍ではノルマンディーの田舎で活動している。また、10代から同性愛者であることを公表しており、重要なテーマになっている。会場は、欧米の男性が多い印象です。


展覧会の構成は、
第1章「春が来ることを忘れないで」
第2章「自由を求めて」ロンドン
第3章「移りゆく光」ロサンゼルス
第4章「肖像画」ダブル・ポートレート
第5章「視野の広がり」
第6章「戸外制作」
第7章「春の到来、イーストヨークシャー」
第8章「ノルマンディーの12ヶ月」



『イリューショニズム風のティー・ペインティング』1961年

平板に描かれた立体、『飲料パック』は、ポップ・アートの題材だがホックニーの関心は”錯覚“ “複数視点”にあったようだ



左『三番目のラブ・ペインティング』1960年
右『一度目の結婚(様式の結婚Ⅰ)』1962年

フランス・ベーコンのような初期の作品。”男女の結婚“という社会の前提に対して、異議をとなえる作品


1964年からロサンゼルスに拠点を移したホックニーは、アクリル絵具で光と水の一瞬の煌めきを平面的に描いた

【参考】


『芸術家の肖像画-プールと2人の人物-』 1972年

山水画風の山並みに、フォトペインティングのプールを貼り付けたようで、一点透視図法(遠近法)によらない不思議な視点
題材は、ホックニー自身と泳ぐ当時の恋人
2015年オークションで当時最高額の9031万ド(約102億円)で落札された



『スプリンクラー』 1967年



『ビバリーヒルズでシャワーを浴びる男』1964年

ホックニーの平面性がよく分かる作品




『クラーク夫妻とパーシー』
1970ー71年

ホックニーの肖像画「ダブル・ポートレート」シリーズの代表作

ホックニーの長年の女友だちとファッションデザイナーのカップルを描いている

夫人の前には「純血」「母性」のアトリビュート「白ユリ」「本」は知性を表しているのだろう

夫は愛猫「パーシー」を膝に乗せている 「猫」は、「気まぐれ」「奔放さ」を象徴している 「電話」は外部との連絡
写真では分からないが、夫の足はカーペットから浮遊して、心と体が何処かにいっているよう

夫婦の微妙な関係、夫にだけ影がついているー何かあるぞ… と夫人にメッセージを送っているのか…





『2022年6月25日、(額に入った)花を見る』2022年

花を描いた絵を壁に飾って、二人のホックニーが眺めている
これも、実見しないと分からないが、床のテーブル、台、椅子が浮いているように見え、しかも平面なのだ、絵の中に引き込まれる感覚、眺めているとクラクラして気持が悪くなる
この感覚は、雪舟の山水画を実見した時の感覚に似ている


【参考】


雪舟 秋冬山水図 秋景 室町時代



ピカソやマチスをリスペクトする作品も


『ペンブローク・スタジオの内部』1984年



『ホテル・アカトラン、2週間後』1985年



『龍安寺の石庭を歩く 1983年2月、京都』 1983年


石庭を正面から写真に撮ると、近くは大きく、遠くは小さく映る(一点透視図法)ため台形になります。実際の石庭は長方形で、これを表すには視点を移動して写真を数多く撮影し、貼り合わせました。作品の下部にはホックニーの歩いた足があります。複数の視点の統合は、『洛中洛外図屏風』など日本画に見られる技法です。画家の視点だけが“神”のごとく絶対的な西洋画の一点透視図法とは違い、洛中洛外図では場面場面に視点があり、それが統合されて一つの屏風に描かれています。ホックニーの作品は日本画の特徴をよく捉えています。


【参考】


狩野永徳 洛中洛外図屏風
安土桃山時代




会場をつなぐ廊下
一点透視図法がよく分かる



第7章「春の到来、イーストヨークシャー」
第8章「ノルマンディーの12ヶ月」

大画面構成の第7章、第8章 
撮影可能ゾーン

イギリスではコンスタブルなどの伝統的な田園風景につながる風景画として人気があるらしいが…



















第2章、第3章、第4章がすばらしい
大画面ものは、どうなんでしょう

★★★★★

見ておく価値は十分です

常設展につづく