旅と想像 創造 東京都庭園美術館 | やまちゃん1のブログ

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9月27日は、安倍元首相国葬の日でしたが、「世界観光の日」でもあるらしい

皇居周辺だけでなく、都内は至る所に警察官が、白金にも…


市民に暴行を加えるロシアの警官の生々しい映像がテレビで流れている


誰のための戦争か、誰のための国葬か考えさせられますね…



そんな、「世界観光の日」
東京都庭園美術館の「旅と想像 創造 いつかあなたの旅になる」
を鑑賞しました

ユニークで意欲的な展覧会でした



展覧会は、庭園美術館の基になった朝香宮邸、朝香宮夫妻の百年前の世界一周旅行を中心に据えて、さまざまな「旅」をテーマにしたアンソロジー


Ⅰ.100年前の旅人 朝香宮のグランドツアー


朝香宮夫妻の世界一周旅行の足跡を示す地球儀

朝香宮夫妻の肖像写真
(展覧会は一部を除き撮影不可のため、写真はネット画像を借用しました)


撮影可能エリアから
夫妻が旅で求めた美術品
ロイヤルコペンハーゲン製
箱書きには「三羽揃ペリカン」とありますが、ペンギンの間違いですね

ルネ・ラリック
金魚模様花瓶


セーブル製 コーヒーセット


朝香宮夫妻
朝香宮鳩彦王(1887〜1981)
鳩彦王妃允子内親王(1891〜1933)


二階に上がると、何故か、高田賢三の世界各国の伝統衣装を取り入れたフォークロアコレクションが…
これは苦しい…


Ⅱ.集めることは旅すること あるコレクターの物語


鉄道関連資料収集家の中村俊一朗(1941〜)のコレクション

こちらはストレートな「旅」ですね






保存状態の優れた鉄道ポスターのほか鉄道関連のコレクションが並びます

鉄オタでなくても、コレクションから熱を感じます


Ⅲ.現代アーティストによる旅の風景


相川勝/栗田宏一/さわひらき/福田尚代/宮永愛子/evala 

福田尚代の「翼のあるもの」シリーズ 読書という「旅」

福田尚代(1992〜)埼玉県浦和市出身

「翼のあるもの」は、「頁を折り込まれた本」の一文だけを読ませる作品 表紙は翼になる

一文は前後の文脈から切り離されて
焦点化され、「詩」に変化している

写真の作品は「このなかに、青い鳥がいるの?」

書斎に並べられた作品


書庫に並べられた作品


本の一文は、例えばこのように続く

「私たちの眼前にある部屋は、書斎のように見えた。」
『ロクス・ソルス』レーモン・ルーセル

「どうして電燈をつけないの。ここはとても薄暗いわよ。」
『日々の泡』ボリス・ヴィアン

「いえ、大丈夫です。朗読を続けてください」
『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』J・P・ディディエローラン



さわひらき(1997〜)金沢市出身
映像・立体・平面のインスタレーション作品


朝香宮邸のメインダイニングを、立体オブジェによる、シアター空間にしてビデオ作品を上映

ミニマルな映像と、バッハの無伴奏を思わせる音楽により、日常の中に旅を…


「dwelling」


宮永愛子(1974〜)京都市出身
「旅での終わりは始まり」

撮影可能エリアです


「suitcase  ーkeyー」2019年



新館への通路
ガラス壁の足元に栗田宏一(1962〜)
山梨県出身の作品「49の道しるべ」
全国各地の土が並んでいる


「SOIL LIBRARY」2020年

日本列島各地の「土」
こんなに色合いの異なる土かあるんだ



Cafe TEIENでランチ




天気がいいから、テラスで
ショートパスタにビール



芝生に何やら、動く物体が…



近づいてきました、
作品? 

自動芝刈り機でした(⁠•⁠‿⁠•⁠)



芝刈り機を見つめる豹
「座る豹」エドゥアール・M・サント 1930年



ちなみに、入口隣りにあった「comodo」は9月に閉店しており、10月1日からリニューアルオープンのようです



庭園美術館の建物が会場で、それぞれの作品が、ある時は調度品のように、ある時はコレクションルームに、そしてシアターになって、通常の美術館では体験できない展覧会になっています。

各部屋を探検して、お昼をとり、芝生に寝そべり、日本庭園を散策

一日楽しめる、実に不思議な展覧会でした

★★★★✰ お勧めします。