熊谷守一の絵は、マチス風というかポップアートだねと思っていましたが、ロマン派からフォービズムの駆け足の時代があったんですね。
暗い室内に眼が慣れてくると、無惨な肉体が浮かんできます。守一が目撃した情景だったそうです。
よほどこの記憶が戦慄だったのでしょう。その後も、暗闇に女体というモチーフを何作か描いています。
守一の次男が三歳で病死した。
守一は、死んだわが子を荒々しいタッチで描いた。
後に、守一自身が「鬼」だと語っている。
芸術家は、時に「鬼」のように人間離れした冷徹さを持つ者かもしれない。