
サンディエゴ美術館は、主に1930年代を通じ、当時のアメリカ合衆国西部では随一の質と規模を誇るヨーロッパ古典絵画のコレクションを築きました。サンディエゴという土地の歴史・文化性や、篤志家たちの趣味を色濃く反映したユニークな内容を誇り、初期ルネサンス絵画やスペイン17世紀絵画などに多くの傑作を有しています。一方国立西洋美術館は、松方幸次郎の収集した印象派を中心とするコレクションに基づいて1959年に設立され、1960年代末から古典絵画の体系的な収集を開始しました。以降、歴代の館長や研究員の調査研究に基づいて、西洋美術史の主要な流派やジャンルを網羅にカバーする総合的なコレクションの形成を目指して収集活動を続けています。
本展は、両館の所蔵する作品をペアや小グループからなる36の小テーマに分けて展示、比較に基づく作品の対話を通じ、ルネサンスから印象派に至る西洋美術史の魅力を分かりやすく紹介することを目指します。また両館は非ヨーロッパ圏においてヨーロッパ美術を収集した点においても共通します。その点に着目し、両館の持つ傑作を比較対照させながら、それぞれ西洋絵画がどのような目的や理想に基づいて収集されていったのかについても、紹介する予定です。
なお本展開催中、サンディエゴ美術館所蔵作品よりさらに5点の絵画を西洋美術館常設展で展示し、さらなるコレクションの対話を試みます。これらを含むサンディエゴ美術館からの出品作49点は、すべて日本初公開となります。』引用元 国立西洋美術館HPより
展覧会の構成は、
第1章 ルネサンス
第2章 バロック
第3章 18世紀
第4章 19世紀
SDMA=サンディエゴ美術館
NMWA=国立西洋美術館

ジョット 父なる神と天使 1328―35 テンペラ/板 SDMA

フラ・アンジェリコ 聖母子と聖人たち 1411―13 テンペラ/板 SDMA
『テンペラとは、
卵を主媒剤として顔料を練合わせた絵具。油彩の普及まで、写本挿絵、板絵、イコンなどの主要技法であった。水分、卵,油,膠,樹脂の分量によって仕上がりが異なり、乾きが速いために平塗やぼかしには不向きで線描表現に適する。』油彩以前の主な技法であるが耐久性に優れ、鮮やかな彩色が残っている

ベルナルディーノ・ルイーニ
マグダラのマリアの回心 1520年頃
SDMA
ルイーニ(1480―1532)は、ダ・ヴィンチと直接仕事をして、彼の影響を強く受けている
マグダラのマリアの容貌はダ・ヴィンチの女性を思わせる
豊満なサロメは、オスカー・ワイルドが描くサロメのイメージとは大きく異なる
自らが所望したヨカナーンの首だが、首がのった皿を体から離して、顔をそむけている、ヨカナーンの顔もサロメとは向き合っていない
このサロメならヘロデは処刑をためらっただろう
キリストの捕縛 1515年頃 SDMA

ヨース・ファン・クレーフェ
三連祭壇画・キリスト磔刑 1525年頃 NMWA

フランクフルトの画家 アレクサンドリアの聖カタリナの神秘の結婚
1500―10年頃 SDMA

ディーリック・バウツ(派)
悲しみの聖母・荊冠のキリスト
15世紀 NMWA
ディーリック・バウツ(1410―75)初期フランドル派のオランダ人画家
聖母の凛とした表情とキリストの情けない表情が対照的


アドリアーン・イーゼンブラント(に帰属) 玉座の聖母子 16世紀 NMWA
玉座の細密な描写、聖母の赤い衣の襞、遠近法と陰影がみごと
第2章 バロック
『Bodegón: Spanish Still Life
16世紀末から17世紀初頭にかけて、ヨーロッパ各地で静物画が独立して描かれるようになり、スペインでは、とりわけ食べ物や食卓に関連するモティーフを主題とした静物画が花開きます。それらには「酒蔵」を意味するスペイン語に由来する「ボデゴン」という呼び名が与えられました。
スペインで現存する最初の静物画を描いたのは、1600年前後のトレドで活躍した画家フアン・サンチェス・コターン (1560-1627年)です。(マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物) (24)は、厳粛さと神秘性で満たされたこのジャンルの最高傑作として知られます。石枠の上に並べたモティーフをスポットライトのような光で照らす独自の構図法は、スペイン静物画の基礎となりました。』展覧会 解説より

フアン・サンチェス・コターン
マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物 1602年頃 SDMA神の子羊 1635―40年頃 SDMA
スルバラン(1958―1664)スペインバロック期の画家で宗教画、静物画を得意とする

スルバランの作品
1626―27 NMWA
新規収蔵品展(2022 )で撮影した作品
スルバランは1640年代に急速に人気が衰え、代わって甘美で感傷的なマリア像で人気を得たムリーリョが台頭する
『サンディエゴ美術館のく悔俊するマグダラのマリア) (no.37)は等身大の人物を表した祈念画で、ムリーリョ作品に典型的な優美さが見て取れます。経済・社会的な危機に直面していた当時のセビーリャでは、マグダラのマリアをはじめとする悔俊の聖人像が人気を博しました。』展覧会解説より

スザンナと長老たち 1615年頃
SDMA
裕福なユダヤ人の貞淑な妻スザンナ、二人の長老が嫌らしい顔で水浴中のスザンナを覗く、「若い男と密会していると噂を流すぞ」と脅され関係を迫られ、ギョッとするスザンナ

シモン・ヴーエ(に帰属) アレクサンドリアの聖カタリナ 1627年頃
NMWA
世俗的な顔立ちの聖カタリナ、モデルをカタリナに見立てた?

ジョゼべ・デ・リベーラ 哲学者クラテース 1636 NMWA

キリストの捕縛 1613―15年頃
NMWA

ルーベンス 眠る二人の子ども
1612―13年頃 NMWA

ルーベンス 永遠(教皇権の継承)の寓意 1622―25年頃 SDMA
華麗な色彩が眼をひくルーベンス
NMWA
ヤコーブス・フレルはフェルメールと同時代のオランダの画家ですが、生涯がほとんど分かっていない謎の画家ですが、「フェルメールの先駆者」とも呼ばれています
情報量が多いので、2部にします
第3章 18世紀、第4章 19世紀は
その2に続きます