ゴーン被告 帰国した場合、しなかった場合 裁判はどうなるのか | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

被告人は公判廷に出頭する義務がある。被告人が出頭しないときは、開廷することができない。ただし例外として、出廷しなくてよい場合がある。法定刑の重さと、被告人在廷の必要性とを考慮して定められている。3年を超える懲役・禁固刑・死刑は、必ず出頭しないといけない(刑事訴訟法286条)。

 

ただし勾留されている被告人が、公判期日に召喚を受けているにもかかわらず、正当な理由無く出頭を拒否し、刑事施設職員による引致を著しく困難にしたときは別である。このようなとき、裁判所はその公判期日についてだけ、被告人の出頭なしに公判手続きをおこなうことができる(286条の2)。

 

<以下、産経新聞から引用>

 

レバノンに無断渡航していたことが判明した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)=会社法違反(特別背任)などの罪で起訴=は、海外渡航を禁じた保釈条件に違反し、保釈が取り消される見通しだ。帰国後に勾留される可能性がある。帰国しなかった場合は公判を開くことはできず、事件の審理に大きな影響を及ぼすのは必至だ。

 刑事訴訟法は、被告が証拠隠滅のほか、裁判所が定めた保釈条件に違反したと判断されれば保釈を取り消し、保釈保証金も没収すると規定している。東京地裁は31日、ゴーン被告の保釈条件は変更されていないと明らかにした。無断出国であれば、今後保釈が取り消され、納付された計15億円の保釈保証金も没収されることになる。保釈の取り消しは検察官による請求だけでなく、裁判所の職権で判断することが可能だ。

 ゴーン被告の保釈には(1)都内に住み、住居の出入り口などに監視カメラを設置(2)日産幹部ら事件関係者との接触禁止(3)パスポートを弁護人が管理し、海外渡航は禁止(4)通信環境が制限されたパソコンや携帯電話の使用-など約10項目の条件が付けられていた。

ゴーン被告の公判をめぐっては、来年4月21日に金融商品取引法違反事件の初公判を開く案を東京地裁が示し、その後は集中的に審理を進める日程で調整が進められていた。

 ただ刑訴法は、3年以下の懲役、禁錮または50万円を超える罰金に当たる事件の被告は公判に出頭しなければ開廷できないと規定しているため、ゴーン被告が帰国しなかった場合、公判を開くことはできない。レバノンと日本は犯罪人引き渡し条約を締結していないため、レバノンの了解を得られなければゴーン被告の身柄が引き渡されることはなく、公判は白紙の状態になった。