【勾留理由開示制度】 ゴーン前日産会長の弁護団が8日午後3時から会見、勾留理由開示で | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

勾留理由開示制度は、憲法34条の規定に基づく。

その目的は直接的には被疑者が裁判所に対し、公開の法廷での勾留理由の開示を請求することにあり、究極的には、その前後の勾留取消請求と連動して被疑者を違法ないし不当な勾留から救済することにある。しかも、勾留理由開示制度は弁護活動上、以下の多目的な目的に活用しうる制度であり、その積極的活用が望まれる。

 

①裁判官に対する求釈明を通じて、裁判官に勾留要件の存否を再吟味させ、以後の判断を慎重にさせる。

 

②捜査機関がどんな証拠を有しているか、裁判官が勾留要件についてどのように考えているかをつかみ、その後の弁護活動に活用する。

 

③開示公判での意見陳述の中で取り調べ状況を明らかにし、以後の取り調べのやり方を牽制するとともに、意見の内容を意見書や開示調書への記載という形で証拠化し、将来公判において供述の任意性を争う場合に提出する。特に、被疑者が虚偽の自白を強要されるような場合には、否認供述を開示調書に記載させることは重要である。

 

④被疑者を一時的にしろ勾留場所から外に出させて解放感を与え、精神的安定を図る。また、接見禁止下において、家族に開示公判を傍聴させることで家族と顔を合わさせ精神的に励ます。

 

⑤勾留の違法・不当性を公開の法廷で訴え、勾留状を発付した裁判官に対して反省を迫り、ひいては勾留実務全体の適正化を図る。

 

<以下、産経新聞から抜粋>

 

日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えたなどとされる特別背任事件で、東京地裁は4日、勾留理由を説明する手続きを8日午前10時半から行うと決めた。ゴーン容疑者の弁護人が勾留理由の開示を地裁に請求していた。ゴーン容疑者本人が出廷し、無罪を主張するとみられる。

 勾留を認めた理由を裁判所が公開の法廷で説明する勾留理由開示は、容疑者や弁護人の請求から原則5日以内に開かれる。容疑者や弁護人が出廷し、意見を述べることができる。

 

 ゴーン容疑者は平成20年に自身の資産管理会社と新生銀行との間で契約した通貨のデリバティブ(金融派生商品)取引で生じた約18億5千万円の評価損を日産に付け替えたとして、昨年12月21日、会社法の特別背任容疑で東京地検特捜部に再逮捕された。弁護人によると、ゴーン容疑者は「特別背任罪は成立せず、勾留する理由がないことを自らの言葉で裁判官に訴えたい」と話しているという。弁護人は勾留理由開示手続き後、勾留の取り消しを地裁に請求する方針。

 ゴーン容疑者は、側近で前代表取締役のグレゴリー・ケリー被告(62)と共謀し、22~26年度のゴーン容疑者の報酬を約48億円過少に記載したとして金融商品取引法違反容疑で昨年11月に逮捕され、27~29年度分についても約42億円過少に記載したとして12月に同容疑で再逮捕された。だが、地裁が同20日に勾留延長を却下。特捜部は翌21日、ゴーン容疑者の3度目の逮捕に踏み切った。