森友学園の文書改ざん問題は、刑法上の犯罪に該当するか? | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

公文書の信頼を著しく損なう許しがたい行為だが、刑事罰に問うのは容易ではない。

 

これはあくまで、「どうあるべきか」という話しではなく、検察の実務がどう動くかという予想である。弁護士によって意見は違うだろう。

 

1公文書偽造・変造罪

公文書は、公の機関が法令上の根拠に基づいて作成するものであり、その性質上、私文書と比較して証拠力は強く、公衆の信用度も高い。また、偽造による被害の程度も私文書の場合よりも一段と大きいことが予想される。それが、刑法が本罪を私文書偽造よりも重く処罰するゆえんである。

ここで偽造(狭義)とは、作成権限のない者が他人名義の文書をほしいままに作成すること(偽造)、または変更すること(変造)であり、すなわち、作成名義の冒用を本質としている。

「文書の変造」とは、名義人でない者が、権限なしに既に成立している真正文書の内容の非本質的部分に改ざんを加えることを言う。

本質的か非本質的かの区別は必ずしも明確ではないが、変更前のものと文書としての同一性を有するかどうかを基準とし、同一性を有する場合は非本質的部分の変更としての変造に当たると解すべきである。

 

公文書を書き換えても、起案者の同意があれば、公文書偽造や変造罪には当たらない。

文書の作成権限がある者が、真実に反する内容の文書を作成することは無形偽造と言い、本罪ではなく虚偽公文書作成罪の検討となる。

 

ということでこの罪ではなくなる。

 

2虚偽公文書作成罪

文書の作成権限を有する公務員が主体となる真性身分犯である。

ここで言う変造は、無形変造であり、作成権限のある公務員がその権限を濫用して、既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものにすることを言う。

 

虚偽公文書作成罪も、記載を削除した結果、事実と反する文書になったと言えなければ適用は難しい。

 

ということでこの罪ではなくなる。

 

3公用文書毀棄罪

 

毀棄とは、文書の効用を害する一切の行為を言い、破り捨てることがその典型である。

 

文書に記載されている事項を部分的に抹消する行為を含む。

 

書き換え前の原本が残っている場合は、公用文書毀棄罪にも問いにくい。

 

書き換えが文書の中で重要な部分かどうかがポイントで、趣旨が大きく変わらなければ刑事罰には問いにくい。

 

NHK 

https://www3.nhk.or.jp/news/special/moritomo_kakikae/

 

<以下、時事通信>

 

学校法人「森友学園」に関する財務省決裁文書改ざん問題で、副総理兼財務相は書き換えの理由について、辞任した佐川宣寿前国税庁長官の国会答弁と整合性を図るためと説明した。実際、答弁と改ざん前の文書の内容は大きくかけ離れている。一方、首相が自身や妻の昭恵氏の関与を否定した答弁に合わせるため改ざんしたと受け取られかねない部分もあり、野党は誰が指示したかや動機について徹底追及する方針だ。

 

佐川氏は、約8億円の異例の値引きによる国有地売却が昨年2月に表面化して以降の国会で、財務省理財局長として国会答弁を担当し、学園との土地取引を「一般的」などと説明し、何ら問題ないと強調していた。
 これに対し改ざん前文書には「本件の特殊性を踏まえて協議を行う」「特例的な内容となることから理財局長の承認を得て処理を行う」との表現が残っていた。
 佐川氏は事前の価格交渉に関しても「学園側に対し、契約手続き前に土地の鑑定価格等について示した事実はない」と全否定していた。だが、改ざん前の文書には「価格等について協議」「学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示」などの記述があった。
 一方、改ざん前の文書によると、学園理事長だった籠池泰典被告は2014年4月、財務省近畿財務局に昭恵氏と現地を視察した際の写真を提示し、昭恵氏が「いい土地ですから、前に進めてください」と語ったことを紹介したとされる。
 すると財務局はこの後「協力させていただく」と対応を変化させた。こうした経緯は改ざん後の文書から全て削除されていた。首相は昨年2月、「私や妻が関係していたとなれば、首相も国会議員も辞める」と表明した。
 麻生氏は13日の記者会見で、文書書き換えの理由について「佐川氏の答弁が誤解を受けることにならないようにするために行われた」と説明した。