裁判員裁判における手続二分論的運用 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

裁判員裁判において、裁判員は、事実の認定(罪責認定)と形の量定(量刑)の両方の判断を行う職責を担っている。


いずれも訴訟の帰趨を左右する極めて重要な判断である。


そして、この罪責認定手続と量刑手続とを手続き上明確に区分し、罪責認定手続終了後、中間評議等により罪責に関する一応の結論を出した後、量刑手続段階に移行すべきであるとする主張を手続二分論という。


この点に関して原田國男判事は平成16年に発表された論文で既に次のとおり指摘されていた。


「裁判員が参加する審理においては、事実認定と量刑判断を明確に分けたほうが、裁判員の判断の混乱や量刑的事実を事実認定に無意識のうちに反映させる危険を排除するためにも望ましい。裁判官だけの場合には、ある程度、頭の中で両者の区別を明確に行う訓練やスキルがあると思われるが、はじめて裁判に接する裁判員とすれば、両者の区別もわからず、混乱した判断に及ぶ危険も杞憂ではなかろう。」


そして、この手続二分論を採用する場合は、罪責認定手続の最後に、当事者は、罪責に関する中間論告・弁論をすべきであろう。


<以上、成文堂「裁判員裁判の理論と実践」より一部抜粋>