その目的は、まさしく、不当な人権侵害を根絶しようとすることにある。
拷問による自白などに加えて、刑訴法は、任意になされたものでない疑いのある自白についても証拠能力を与えないと規定した。
約束や偽計によって得られた自白には証拠能力がない。
偽計による自白の例として、切り違え尋問がある。切り違え尋問とは、共犯者A.Bのうち、Aに対して、Bが自白したという虚偽の情報を伝え、Aが自白すれば、Aの自白をBに示してBの自白をも得る尋問方法を言う。
最高裁は、偽計によって被疑者が心理的強制を受け、その結果虚偽の自白が誘発されるおそれのある場合には、右の自白はその任意性に疑いがあるものとして、証拠能力を否定すべきであるとしている。最高裁昭和45.11.25判決