「マルチ商法」も、「ねずみ講」と同様のピラミッド構造をもつものは、商品を介在させているものの、販売員を勧誘して増加し続けることを前提としており、ねずみ講と同様に破綻必至です。破綻するまでに、上位会員は下位会員が拠出する資金によって大きな利益を上げ、一方、下位会員は説明を受けていたような利益を得られないどころか、大きな損害を抱えてしまい、途方にくれるという状況となります。被害者は多数に及び、大きな社会問題になることもしばしばです。
マルチ商法に対しては、特商法が一定の要件にあてはまる取引を「連鎖販売取引」と定義して規制しています。
非常に厳しい規制が課されており、この規制を遵守して取引を展開することは極めて困難です。
連鎖販売取引・役務提供型の要件
1 同種役務を提供する者を/役務提供をあっせんする者を
2 特定利益を収受しうることをもって誘因し
3 その者と特定負担を伴う
4 役務の提供 または 役務の提供のあっせん に係る
5 取引をするもの
行為規制の内容
1 氏名目的明示義務
2 不実告知・事実不告知禁止
3 威迫困惑行為禁止
4 公衆の出入りする場所以外での勧誘禁止
5 広告規制
6 書面交付義務
7 債務履行拒否の禁止
8 断定的判断の提供の禁止 など
民事ルール
1 クーリング・オフ
2 中途解約権
3 取消権
<以上は、「消費者相談マニュアル」東京弁護士会消費者問題特別委員会編 から引用>
<以下、フジテレビニュースから抜粋>
ネットビジネスで稼げるとうたい学生相手に詐欺 26歳男ら逮捕
2015年11月、黒のスウェットにジーパンというラフないでたちで、「基本的に上場を手伝っている人は、そればっかりやっているわ、M&A(企業の合併・買収)」などと、学生たちを前に、熱弁を振るう1人の男。
詐欺の疑いで逮捕された、アイレッジインベストメント社長・政岡将司容疑者(26)。
政岡容疑者は、親会社の社長・増田鉄兵容疑者(31)ら6人とともに、男子大学生に、インターネットビジネスで金を稼げるシステムを、およそ75万円で売ると言いながら、実際にシステムは渡さず、金をだまし取った疑いが持たれている。
その手口とは。
2015年11月、政岡容疑者のセミナーでは、「価値のない会社を買収して。うちの師匠は、それやりまくってたから」などと話していた。
セミナーを開催し、言葉巧みに学生らを勧誘。
ねずみ講のような組織を作り、大学生を中心に230人余りから、およそ1億7,000万円を集めていたとみられている。
FNNは、逮捕前の政岡容疑者を直撃していた。
政岡容疑者は「(販売促進システムは実際はある?)ありますよ。(それを使ったことは?)僕はありますね。(それを使った学生は?)いました」などと話した。
警察の調べに対し、政岡容疑者は、「わたしは一会員で、だますつもりはなかった」と供述しており、増田容疑者も、「システムを使いこなすには、それなりのレベルが必要なので、渡していなかっただけ」と容疑を否認している。