自動車事故~物損 | 山岸久朗オフィシャルブログ「正義は我にあり!!」Powered by Ameba

<車両破損による損害>


被害車両が、修理不能もしくは修理費が時価額を上回る、いわゆる「全損」となった場合は、事故直前の交換価格をもとに賠償額を算定し、そうでない場合は、修理費相当額をもとに損害算定する。


被害車両の時価額を評価する方法としては、オートガイド自動車価額月報(いわゆるレッドブック)を参考にすることが多いようである。


特殊車両で市場性のない場合や、かなり古いために交換価格が推定しにくい場合になどには、損害算定はむずかしくなる。


被害者が、被害車両が全損状態であるのに、交換価格を超えて修理費用額の賠償を求めても、被害車両の価格による賠償額の範囲で認めるのが裁判例の傾向である。


○1990年製ポルシェカレラ4(事故時1999年10月)について、1993年12月に780万円で購入し、整備改良のために520万円を費やしていた場合に、平成10年度(1998年)のレッドブックに470万円の記載があり、その後掲載がないが、高級外車に通常以上の整備をかけていた場合には、中古車の平均販売価格のみならず整備改良による価値も考慮して車両の時価を算定するのが相当として、550万円と認めた判例がある(大阪地裁判決平成13年10月24日)


○ポルシェの時価の認定にあたり、ドイツから取り寄せた塗料での塗装、ダッシュボード及びサイドパネルの交換、エンジンのオーバーホールの各改装(420万円を要した)は、カーマニアとしての趣味を満たす目的でなされたものであり同車の客観的価値を増加するものとは認められないとして、これを考慮しなかった判例がある(大阪地裁判決平成8年3月22日)


以上は、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部著・「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」から引用致しました。