ウクライナ大統領ゼレンスキーがロシアに対する総反抗の狼煙を挙げた直後の、2023年5月19~21日、第49回先進国首脳会議、G7が広島で開催された。

 この先進国とは米、英、仏、独、伊、日、加とEUである。その国々は、かつての植民地侵略国であり、戦後は米国の数々の侵略戦争を容認してきた国々である。もちろんかつて侵略されたロシア、中国は参加していない。また、招待されたグローバルサウスと呼ばれる国々の内オーストラリア以外の国々——インド、ブラジル、インドネシア、韓国、ベトナム、アフリカ諸国代表の国々も上記先進国に植民地支配されていた国々である。

 歴史の皮肉とでもいおうか、血塗られた過去を覆い隠してG7先進国が、ウクライナに侵略したロシアが「法の支配や国際協調」を踏みにじっている、とロシア制裁を正当化しようとしたのである。

 だが、グローバルサウスの国々はこれら先進国の「法の支配や国際協調」から一線を画した。中・ロの上海協力機構に加盟するインドは中立を貫いた。東アジア諸国連合議長国・インドネシアも一方の陣営に加盟するのを避けている。アフリカ連合議長国コモロもかつて植民地支配をほしいままにした欧米への不信は根強い。しかも、アフリカ諸国は親ロシア、親中国政権国が多い。ブラジルは「ごく一部の国による対応の中に」、「対立するブロック形成に」解決策はない、と明確なG7諸国の対ロシア制裁を批判すらしている。

 このような国際社会でのロシアの孤立化策動が破綻した中で、G7諸国は来日したゼレンスキーに経済的・軍事的援助を約束した。米大統領バイデンは、欧州による米国製F16戦闘機のウクライナへの供与を容認したことを唯一の成果と押し出すだけであった。

 

 しかし、核兵器国米英仏をふくむG7首脳が被爆地広島の平和公園と資料館を訪れたということの歴史的意味はとてつもなく大きい。それは、被爆地広島の歴史的意味を根底から変質させられたという意味に於いてである。

   絶対悪としての核兵器、この核兵器の廃絶の象徴であった広島。いまや、「核兵器は、それが存在するかぎりにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止」(「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」2023年5月19日)する役割をはたす、その象徴として広島は位置づけられたのである。

 

なんということか!!

 

岸田の歴史的犯罪は許されるものではない。