昭和59年の夏の秋田県大会は、球史に残る決勝戦!甲子園切符は最後の最後までどうなるかわからない大変な熱戦となりました。

大会前は、圧倒的に金足農有利の下馬評。決勝当日まで、いや途中まで誰もがそれを疑わない試合でしたが、大変な試合になりました。


秋田県大会 準々決勝

①鷹巣農林 対 能代

鷹巣農 111 000 000 3

能 代 115 000 00X 7

乱戦の打ち合いを制したのは能代。なお、鷹巣農林の1年生五番はオリックス監督の中嶋聡です。


②大曲工 対 秋田中央

大曲工 000 100 000 1

秋中央 000 010 10X 2

秋田中央は前年度優勝の秋田を破り、大曲工はシード校の合川を破っての対戦でした。


③秋田商 対 秋田経法大付

秋田商 000 002 011 4

経法付 100 000 000 1

これは番狂せ!打倒金足農の一番手と見られていた秋田経法大付が、秋田商にまさかの逆転負け!田中が完投しながらの負けです。大一番を前に、意識しすぎたのか打線が湿りました。


④金足農 対 横手

金足農 201 611 0 11

横 手 000 101 0 2

 ※七回コールド

こちらは相変わらずの強力打線が本領発揮です。金足農は斎藤が完投勝利。しかし伝統校の横手もよく善戦しました。横手は能代商を破ってのベスト8でした。


準決勝

①秋田中央 対 金足農

秋中央 200 000 110 4

金足農 001 060 21X 10


この日は金足農は水沢が先発完投。秋田中央の粘りに苦しみピリッとしないピッチング。秋田中央の進藤は懸命に耐えたものの、五回の無死満塁を迎え、大山、水沢、長谷川、安田の安打で勝負は決まった。


②秋田商 対 能代

秋田商 010 020 002 5

能 代 000 000 06X 6


能代は秋田商の籾山のピッチングに苦しんだが、八回、無死一、二塁から内野ゴロなどで1点を返し、さらに一死満塁。ここで岩出が同点中前打。さらに二死満塁から中嶋が中越え三塁打で一気に逆転。秋田商も九回、一死一、二塁から佐々木の二塁打で1点。二死満塁として鎌田の内野安打でさらに1点。続く佐藤のライナーは投手のグラブにすっぽり。劇的な終了であった。


決勝戦

◯金足農 対 能代

金足農 110 100 003 6

能 代 000 104 000 5


昨夏から、夏、秋、春、能代選抜と4戦4勝と金足農は能代に対して分が良い。誰もが金足農の圧倒的勝利を予想したが、意外な展開となった。

能代の先発は二年の成田。初回は四球と暴投、二回、四回は柏谷の連続タイムリーで試合は予想通り金足農ペース。金足農の先発は斎藤。能代は四回、泉の右中間二塁打でまず1点。さらに六回、先頭の伊藤均がレフトへソロ!さらに二死一、二塁から船山が逆転3ランをライトへ叩き込む。ここで金足農は水沢に交代。試合は5対3と能代リードのまま九回へ。五回から投げる伊藤康が粘投するも、一死から佐藤が中前打。さらに柏谷の中飛を目測を誤り安打とすると、工藤が三塁バントヒットで一死満塁。ここで大きなプレーが。大山のあたりは平凡な二ゴロ。併殺狙いが、二塁手の送球が少し高く、二走はセーフ。しかし走者の工藤はアウトと判断し、一塁ベンチへ向かい、つられた野手が工藤を追う間に、同点走者が三塁を大きく離塁。慌てて野手が三塁に送球するも、走者は思い切りよくホーム突入し、同点。工藤はファウルラインを超えたためアウトとなり、5対5となり二死一塁で試合は再開される。さらに大山が二盗し、水沢がレフト線二塁打を放ち、逆転に成功する。対する能代もその裏、伊藤康の四球、中嶋のバント野選で無死一、二塁。しかしバント失敗、右飛で二死から岩出の強烈なピッチャー返しを水沢が見事に好捕。試合終了となった。能代にとっては悪魔の九回の攻防であり、金足農にとっては歓喜の初優勝‼️昭和56年、58年に準優勝だった悔しさを晴らす逆転勝ちであった。


では各代表校とのちのプロ選手、最後に優勝の下馬評を出しましょう。


北北海道 広尾 初出場

南北海道 北海 28回目

青森県 弘前実 2回目

岩手県 大船渡 初出場

秋田県 金足農 初出場

山形県 日大山形 7回目

宮城県 東北 13回目 佐々木主浩 中根仁 白鳥浩徳

福島県 学法石川 3回目


茨城県 取手ニ 4回目 石田文樹 吉田剛

栃木県 足利工 5回目

群馬県 高崎商 8回目

埼玉県 上尾 4回目

千葉県 拓大紅陵 初出場 小川博文

東東京 日大一 7回目

西東京 法政一 2回目

神奈川 桐蔭学園 2回目 関川浩一

山梨県 東海大甲府 3回目 四条稔


新潟県 新潟南 初出場

長野県 篠ノ井 初出場

富山県 高岡商 10回目

石川県 星稜 7回目 湯上谷宏 鈴木望

福井県 福井商 6回目


静岡県 浜松商 6回目 佐野心

愛知県 享栄 5回目 安田秀之 佐藤秀信

岐阜県 県岐阜商 15回目 前原博之

三重県 明野 3回目


滋賀県 長浜 初出場

京都府 京都西 初出場

大阪府 PL学園 8回目 清原和博 桑田真澄 岩田徹

兵庫県 明石 5回目

奈良県 智弁学園 5回目

和歌山 箕島 7回目 嶋田章弘 杉本正志


岡山県 岡山南 3回目

広島県 広島商 18回目

鳥取県 境 4回目 松田和久 足立亘

島根県 益田東 初出場

山口県 柳井 7回目


香川県 三本松 初出場

徳島県 徳島商 13回目 広永益隆

愛媛県 松山商 20回目 酒井光次郎

高知県 明徳義塾 初出場 山本誠


福岡県 福岡大大濠 2回目 瀬戸輝信

佐賀県 唐津商 3回目

長崎県 海星 12回目 大久保勝也

熊本県 鎮西 4回目 松崎秀昭 山野和明

大分県 別府商 初出場

宮崎県 都城 5回目 田口竜二 田中幸雄

鹿児島 鹿児島商工 4回目

沖縄県 沖縄水産 初出場


さてこの年の下馬評です。

優勝候補の筆頭は当然KKを擁するPL学園!夏二連覇と選抜の悔しさを晴らすべく乗り込みます。対抗としては、石田の肩痛が不安ながら取手ニ、投手力のいい箕島、明徳が注目されます。

東北勢では選抜ベスト4の大船渡、春の東北大会で7ホーマーの圧倒的な打力を発揮した金足農、東海大会準優勝の享栄、中国大会優勝の広島商があげられます。選抜ベスト4の九州の都城、九州大会で活躍した福岡大大濠、鎮西も注目です。また関東では東海大甲府や激戦地神奈川代表の桐蔭学園、選抜ベスト8の拓大紅陵も成長が楽しみです。どこが打倒PLを果たすのか、それとも夏連覇が達成されるのか、有力校ひしめく注目の昭和59年の夏の大会を詳細に次回からまとめます。