一回戦に登場した中で、会心の勝ち方を見せたのは、東の横綱・早実でした。対する西の横綱・池田は力強さはあるものの、雑さが目につきました。その他ではなんといっても佐賀商・新谷。評判の高かった中京は打線が湿ってましたがどう立て直すでしょう。また二回戦から登場の中にも注目チームがあります。見どころある二回戦をどうぞ。


8月11日 

第4試合 益田 対 帯広農

④語り継がれる4アウト事件!


益 田 100 021 001 5

帯広農 100 000 010 2


九回表、三死一塁でさらに打席に打者が立つ、という前代未聞の試合で語り継がれるこの試合。結果、三ゴロで終わったので問題なく、終了後その記録は取り消しとなったが、事実は事実である。

試合自体は四回まで同点。五回、益田が一死一、三塁から斉藤、中村、宮崎の3連打で勝ち越し、その後の帯広農の反撃を抑えたゲームであった。


8月12日

第1試合 津久見 対 東海大浦安

①予想外のワンサイド!津久見打線爆発‼️


津 久 見 032 020 003 10

東海大浦安 000 000 000 0


東海大浦安の渡辺は大型右腕として評判が高かったが、フォーム改造により故障。そのわずかなスキを逃さず15安打の津久見打線は迫力満載。4安打完封の古木の安定感もあり、予想外のワンサイドゲームとなった。三回の佐藤泰の2ラン、九回の伊東の3ランと長打力もすばらしい。三回戦が楽しみである。


第2試合 東洋大姫路 対 県岐阜商

②互角の打ち合い。あと一本の差!


東洋姫路 011 100 001 4

県岐阜商 000 000 000 0


序盤、小刻みにチャンスを活かし、少しずつリードを保つ試合巧者の東洋大姫路。しかし県岐阜商も九回、二死から下位打線が3連打で二死満塁と意地を見せる。ここでトップの浅野の猛烈な打球はライトのファインプレーに阻まれ、涙を飲んだ。終わってみれば互角の打ち合いであった。


第3試合 鹿児島商工 対 秋田経大付

③先制むなしくバント攻勢に屈す!


鹿児島商工 000 100 220 5

秋田経大付 002 000 000 2


九州優勝で選抜も勝利している鹿児島商工。対する秋田経大付は劣勢が予想されたが、先制したのは秋田経大付。三回、二死二、三塁から景山が右中間二塁打。しかし鹿児島商工はすぐに四回、二死二塁から姶良の中前打で1点差。終盤、秋田経大付のアンダースローの古田を捕まえ、七回は4安打、八回も3安打で危なげなく逆転勝ちした。


第4試合 比叡山 対 足利工

④好投手足利工・小林、比叡山の下位に屈す!


足利工 000 000 000 0

比叡山 001 000 20X 3


足利工の小林のストレートは速く力があった。序盤は足利工がチャンスをつかむも逸機。比叡山は耐えた三回、福西が右中間三塁打。加藤が中前打であっさり先制する。比叡山は上位がマークされている中、七番、八番で先制と良い流れをつくった。七回に再び加藤の中前2点タイムリーで突き放し、大西は7安打を浴びながら完封勝ちした。


8月13日

第1試合 広島商 対 鉾田一

①関東の剛腕、後半長打に屈する!


鉾田一 011 000 000 2

広島商 010 101 03X 6


北関東No.1の剛腕関を擁する鉾田一と、剛腕を小技で崩して勝利する伝統を持つ広島商。この試合は、小技にパワーをミックスした新しい広島商が見られた。二回、鉾田一が長短打で先制するも、広島商は左越え二塁打の甲村を送り、相島がスクイズ。三回、粕尾の中越え二塁打で再び鉾田一がリードも、今度は左中間二塁打の久山が中継ミスで三進から佐々木の中犠飛で同点。広島商1点リードの熱戦は八回、二死満塁から小田が中越え三塁打で試合を決めた。


第2試合 高岡商 対 宇部商

②快腕対決、最終回にまさかの展開!


高岡商 000 000 003 3

宇部商 100 000 000 1


初回、四番木本の二塁打で先制した宇部商は、秋村の快速球で危なげなくイニングを消化していく。しかし、高岡商の横森も6連続を含む13奪三振の快投。緊迫した投手戦は、そのまま最終回の高岡商の攻撃。秋村に食らいつき、無死一、二塁とすると、動揺した秋村が四番久野に四球で無死満塁。さらに沢合にもフルカウントから同点の押し出し四球。六番堀岡には初球、ワイルドピッチで逆転を許すと、さらに中前打で3点を奪う。その裏宇部商も、疲れの見えた横森から無死二、三塁と追い詰めるも、スクイズが捕飛併殺打で万事急した。


第3試合 星稜 対 早稲田実

③打倒早実の秘策も打線爆発で粉砕!


星稜 000 010 000 1

早実 003 023 20X 10


49代表のしんがりとして出場の星稜。初戦の早実・荒木を分析し、勝算あり、との山下監督。しかし荒木の出来はその分析を超えていた。

三回、早実は岩田が先制三塁打。続く板倉が山崎の初球を左中間スタンドへ豪快な2ラン。星稜もすぐに四回、一死二塁から山崎が中前打でチャンスを広げ、さらに二盗にも成功する。しかし、直後にリードを大きく取り牽制アウト。五回、エラーから石山の中前打で1点は返すものの、早実はその後も17安打の猛攻。六回には上福元のソロ、岩田の二塁打の後、またしても板倉がレフトラッキーゾーンにダメ押し2ラン。なんと二打席連続ホームラン。攻守のスケールは優勝候補筆頭である。早実を止めるチームは現れるのか?


第4試合 福井 対 熊本工

④剛腕前田、味方守乱に泣き、好守に阻まれる!


熊本工 102 000 000 3

福 井 000 010 000 1


好投手前田は味方の守乱に泣いた。初回、小原の遊ゴロを西尾が悪送球でいきなりリズムを崩す無死二塁。送って平畠が三塁線に絶妙なスクイズ。内野安打となり先制に成功する。三回は二死から成松が二塁内野安打。これをセカンド中本が悪送球で二進。平畠四球の後、田村が右越え二塁打で追加点。四回、五回にも福井は悪送球やエラーが続出し、リズムを崩す。五回、それでも福井は死球の中本を送り、前田が意地の中越え長打で1点を返すも、好中継の前に、前田は三塁タッチアウト。守備力の差でともに5安打の投手戦に決着がついた。


8月14日

第1試合 高知商 対 東海大甲府

①甲州の暴れん坊、きめ細かさを粉砕!


高 知 商 000 010 200 3

東海大甲府 000 001 111 4


山梨県勢として久々に校歌を歌えた東海大甲府。初戦で見せたパンチ力溢れる打撃は、この試合でも発揮した。前半、高知商は初回、ニ、四回と盗塁を仕掛けるも捕手渡辺孝に阻まれ、椚のボークがあり二死三塁となった三回も町田の中前に抜けそうな当たりを遊・前沢が見事に阻止する。僅差のまま迎えた八回、花井の二試合連続ホームランで同点とし、九回も高知商の中脇を二死一、三塁と攻め、塚原が右越えサヨナラ安打。劇的な試合を演じた。


第2試合 坂出商 対 都城

②ソツなく攻撃、好守で完封!スキのない都城


坂出商 000 000 000 0

都 城 201 100 10X 5


初戦の新潟工戦でショート徳留が右足首ネンザ。その分チームが発奮したのか都城の攻撃は理想的な試合を演じた。初回、宮里が左中間三塁打。一死後石川がスクイズ。さらに敵失と安打2本で2点先制。三回には石川が左ポール際にソロ。四回、七回はエラーを得点に結びつけた。投げては中島が6安打無四球完封。見事な勝利を飾った。


第3試合 中京 対 佐世保工

③投打とも中京勝り、佐世保工力尽く!


中京 000 020 001 3

佐工 000 000 000 0


ともに2年の注目エースの投げ合い。序盤はともにピンチを堪えながらの苦しい展開。五回、中京は二死から伊東、森田の連打で一、三塁。森田が二盗後鈴木美のライト線二塁打で2点を先制する。七回、佐世保工は無死一、三塁のチャンスで野中の三塁牽制のスキに一走が二盗を企てるもアウト。これで流れを失い、九回の二死満塁では押し出しでダメを押された。佐世保工の香田は7安打と踏ん張ったが8四球が痛かった。中京の野中は佐世保工の青井に4安打の固め打ちをされたものの、8安打完封とピンチにも動じず踏ん張った。


第4試合 春日丘 対 法政二

④アウェー感を地に足つけて平常心で!


春日丘 001 001 000 2

法政ニ 004 000 20X 6


春の覇者PLを倒した春日丘。しかしアウェーの中、法政二は地に足をつけた試合を展開した。先制は春日丘。三回、大黒の中前を送り、桜井の暴投で一死三塁から白木のスクイズが決まる。しかしその裏、法政二は中村が左前で出塁すると押久保の左中間二塁打で同点。二死二、三塁から小野里の左中間二塁打、菊地の右前打で一挙4点。六回、春日丘は富迫のタイムリーで1点を返すも、七回、高田のタイムリーとエラーで突き放す。九回の粘りも好守で封じ込め、法政二が勝利した。


8月15日

第1試合 興南 対 熊谷

①守りの野球!きめ細かさで興南レベルアップ


興南 000 100 100 2

熊谷 000 010 000 1


前評判は興南の圧勝。しかし初回、興南は一死二、三塁のチャンスに仲田秀が三振、富永が遊ゴロで無得点。熊谷の江頭をリズムに乗せる。四回、仲田秀が内野安打で出塁すると、送り、稲福が右前先制打。しかし五回、熊谷は星野、江頭、谷口の三連打で同点。ここで仲田幸が踏ん張る。真下のバントを三封。牽制で真下を刺す。さらに門平の中前打でホームに向かった二走谷口をタッチアウト。これで再び流れは興南へ。七回、与儀が右中間二塁打。新里が中越え三塁打で決勝打。守っても九回、熊谷が連打で一死一、三塁から江頭の三ゴロを流れるような見事な併殺。きめ細かさを組み込んだ興南が三回戦進出を決めた。


第2試合 佐賀商 対 東京農大ニ

②阿井に無念の投直!耐えるも力尽く!


佐賀商 012 010 100 5

農大ニ 000 000 010 1


初戦ノーヒットノーランの佐賀商・新谷の注目の二回戦。農大二・阿井との投手戦が期待されたが、いきなり初回、佐賀商の深川のライナーが投手直撃。阿井の球威が落ち、二回、平塚のタイムリー、三回は二死から田中、為永、古賀和、平塚と4連打。五回にも田中、為永の安打に野選、七回も四球の田中を為永の左越え二塁打、古賀和のタイムリーで計5点。投げては新谷が八回の連打と犠飛の1点のみに抑え、危なげなく勝利した。


第3試合 池田 対 日大二

③日大二善戦!積極攻撃で池田辛くも勝利!


池 田 011 001 100 4

日大二 000 030 000 3


二回、三回と計6安打を集めて2点を奪った池田。荒さはあるものの力溢れる攻撃である。しかし日大二は五回、二死から三連打で一気に引っくり返す。しかし六回、日大二に痛恨のミス。二死二塁から牽制悪送球で三進後、暴投で同点にしてしまう。これで落ち着きを取り戻した池田は七回、九番山口が左中間ラッキーゾーンに決勝ソロ。

1点差ながら池田は全員安打の11本。畠山は6安打に抑えて完投勝ちをおさめた。



ここまでが二回戦です。ここでも早稲田実の強さが目立ちます。特に打線の破壊力。続いて佐賀商、中京、また津久見、鹿児島商工、熊本工の九州勢も強い。池田は冷や汗の試合運びで西の横綱ぶりは出てません。広島商は剛腕鉾田一の関を打ち砕き、小技に力強さがミックスされたイメージです。続く三回戦から潰し合い。抽選の妙が、さらに興奮を巻き起こします。