選抜が熱戦続きの夏の全国選手権は、どのような試合を展開するでしょう。


8月7日

第1試合 開幕戦 法政ニ 対 智弁学園

①智弁学園、2年連続の開幕戦に沈む!


智弁学 010 000 001 2

法政二 000 201 00X 3


2年連続の開幕戦。智弁学園は昨年の経験を元に、先制に成功する。二死一、二塁から桜井の暴投で一気にホームへ。高田捕手の落球を誘う。しかし法政二は四回、押久保と高田の連続二塁打でまず同点。二死三塁から菊地が左前で逆転。六回も高田の二塁打を起点にチャンスを広げ、菊地、桜井の連続安打で追加点。最終回、2安打と内ゴロで1点を返され二死三塁。しかし桜井が落ち着いて打ち取った。


第2試合 佐世保工 対 東海大山形

②佐工、少ないチャンスをエンドラン活用!


東海山形 000 000 001 1

佐世保工 020 000 31X 6


先にチャンスを作ったのは東海大山形。二回、2安打と四球で二死満塁とする。しかしここを佐世保工の2年エース香田が一ゴロで断ち切る。その裏、青井、川添の連打で一、三塁。香田のニゴロが野選となり無死満塁。ここで野田がスクイズ。さらに大浦がエンドラン。三ゴロだったが思い切りの良い走塁で2点を先制する。七回には高山が安打。二死後、田渕、青井、川添の三連打で追加点。香田は6安打されながら1失点完投を記録した。


第3試合 興南 対 明野

③両チーム計14四死球の乱戦。踏み忘れも。


興南 102 000 000 3

明野 010 000 010 2


接戦の割に締まらない試合。興南は初回、定岡の安打から一死一、三塁。仲田秀の遊ゴロが併殺崩れの間に先制。しかし明野も安打、死球で一死二、三塁からスクイズですかさず同点。三回、興南は定岡の四球から平田、前原の連打と仲田秀の内野安打で2点を勝ち越す。しかし四回はチャンスでエンドランをかけるも、ライトの好守に阻まれ、走者もベースを踏み忘れての帰塁でアウト。その後七回には守備妨害まであってリズムに乗れない。逆に明野は八回、二死二塁から鈴木の左前打で1点差まで追い上げられた。興南の仲田幸は8四球の乱戦ながら、なんとか逃げ切った。


8月8日

第1試合 木造 対 佐賀商

①史上初の完全試合まであと1人!チーム100勝に花添える‼️


木 造 000 000 000 0

佐賀商 300 130 00X 7


夏の大会史上初の大記録が目前だった。もちろんノーヒットノーランは昨年の名古屋電気の工藤以来の金属バット以降二人目の大記録。しかし内容的には圧倒した試合だった。

まずは初回、佐賀商・田中が先制2ラン。しかし試合の注目は新谷投手の内容に、途中からシフトしていく。全く危なげないまま迎えた九回の木造の攻撃。先頭の川内が三遊間に鋭い当たり。これを佐賀商のショート小林が横っ飛びの超美技。これで快挙を後押し。二死から木造は代打一年生の世永。この試合の94球目、カウント1-2からの内角ストレートが、打ちにきた世永の右ヒジに死球。まさかの死球で完全試合は消えた。しかし佐賀商は、記念すべきチーム100勝目を、大記録とともに甲子園で達成した。


第2試合 池田 対 静岡

②一回戦屈指の好カード。候補同士の注目戦!


池田 000 230 000 5

静岡 001 000 001 2


池田の畠山投手は入学時から注目の好投手。ようやく最後の夏に全国デビューを果たしたが、対戦相手はこれも大型チームの静岡。大久保投手を軸に、攻守にスケールが大きい。試合は三回、静岡が四球と望月の内野安打で一死一、三塁。スクイズを警戒した畠山のカーブが暴投となり先制する。しかし池田はすぐに四回、畠山の中前打から水野が中越え二塁打で二死二、三塁とすると山下が右前へ逆転打。五回にも窪が死球、多田が右中間で一、三塁から江上が左中間三塁打。水野も左前打で一挙3点を追加する。池田はその後の攻めに荒さが目立ち追加点ならず。静岡は九回に3安打を集め、1点を返し、さらに二死一、三塁とするも望月が三振で苦杯を飲んだ。


第3試合 高知商 対 安積商

③先行逃げ切り、高知商の勝ちパターン!


高知商 301 100 000 5

安積商 000 000 300 3


初回、高知商は町田、矢野が連打して無死二、三塁。ここで松本が右中間最深部へ大三塁打、2点を先制する。さらに安岡の遊ゴロ野選で追加点。さらに三回も一死二塁から松本がレフト線二塁打。四回にも2安打で追加点をあげる。一方の安積商は追う苦しい展開。しかし七回、一死から死球を挟み5安打を集め、3点を返す。高知商は八回から津野を送り、逃げ切りに成功した。


第4試合 八幡大付 対 日大ニ

④雨の女神はどちらに微笑むか?ノーゲーム!


八幡大 003 100   4

日大ニ 200 000X  2


初回、日大二は四球に田辺の二塁打、倉本の左前打で2点を先制。しかし八幡大付は三回と四回に2安打ずつ集め、逆転に成功する。そして迎えた六回裏一死、倉本がフルカウントから試合は中断。その後40分様子を見たが再開の見通しは立たないということで、ノーゲーム。この試合は三日後の第1試合に組み込まれた。

3日後に笑うのはどちらか?


8月9日

第1試合 熊谷 対 南部

①スミ1の投手戦。南部1点遠く、涙!


熊谷 100 000 000 1

南部 000 000 000 0


強打で和歌山を勝ち上がった南部と、守りで激戦区埼玉を勝ち残った熊谷。南部の打線に注目が集まったが、意外な試合展開となった。

初回、熊谷は四球出塁の増田を送り二死三塁から星野がタイムリー。しかしその六回まで毎回先頭を出すも、杉本の要所を締めるピッチングに無得点に抑えられる。熊谷の江頭はよく踏ん張った。初回、二死一、二塁を抑えてからは、その後は大振りの南部打線相手に会心の投球。3安打完封で見事な勝利を飾った。


第2試合 東京農大二 対 川之江

②初陣同士の対決も投打に農大二が勝る!


農大二 001 000 402 7

川之江 000 001 010 2


今年の四国はレベルが高い、と評されたが、農大二が好守に勝った試合だった。

中盤まではがっぷり四つの好ゲーム。三回、農大二は四球の走者を安打で返すと川之江も六回、大西の三塁打で追いつく。しかし七回、農大二は5安打とエラー、盗塁を絡め一気に4点。農大二の阿井は6安打に抑え、初勝利に結びつけた。


第3試合 福井 対 盛岡工

③盛岡工、終盤の追い上げあと一歩!


福 井 003 000 001 4

盛岡工 000 000 110 2


先行逃げ切りパターンの福井は理想的な立ち上がり。三回、死球の上ノ山が捕逸と吉高の左前打で一、三塁。吉高二盗後、餅原のスクイズが野選となり先制。さらに鮫島が右中間三塁打で3点を奪う。盛岡工は終盤反撃。七回、四球と連打で二死満塁から押し出しで1点。八回も二死から高橋が安打、二盗、三盗と仕掛け、さらに三塁悪送球の間にまた1点。さらに四球が続き二死満塁となるも、前田の手に当たった打球が中本のプレーで処理され、福井が逃げ切った。


第4試合 新潟工 対 都城

④互角の好ゲーム!都城・宮里の長打に軍配!


新潟工 000 001 002 3

都 城 000 001 12X 4


先取点は新潟工。六回、田中が中前打。桜井の内野安打で一死一、三塁から柴田が先制中前打。さらに四球で満塁から青池の打球は三遊間へ。これをショート徳留が横っ飛び。ホームでアウトにすると、すぐその裏、都城は敵失から宮里の中前同点打。七回にも石川の左中間三塁打をスクイズで返し勝ち越す。さらに八回、宮里のライトラッキーゾーンへの2ランで一気に流れをつかむ。粘る新潟工は九回、青池の二塁打をきっかけに3安打を集め2点を返したが、あと一歩及ばなかった。


8月10日

第1試合 坂出商 対 函館有斗

①両者互角の打ち合いも、走者の差!


坂出商 130 020 000 6

函有斗 030 000 000 3


坂出商は初回、先制した後二回にも追加点。岡崎の三塁打から始まり、3安打と2四球で4点差とする。しかし函館有斗もその裏、二死から3安打を集め、すかさず接戦に持ち込む。

試合はこのまま硬直したが、次の得点をあげたのは坂出商だった。五回、一死から四球、死球で走者を置き、中落が左前で満塁から松本直が中前打で2点を加えた。両チームとも二桁安打の熱戦は、走者がいる時の一打の差で坂出商が逃げ切った。


第2試合 熊本工 対 東北

②夏の甲子園通算400号記念アーチで勝利!


熊本工 100 000 100 2

東 北 000 000 000 0


春夏連続出場の東北と九州の雄、熊本工。好試合が期待された。初回、熊本工の二番平畠がいきなり左中間ラッキーゾーンへ夏の大会通算400号となるメモリアルアーチで先制。東北も三回、二死からバント安打と2四死球で満塁とする。しかしここで三走阿部が本盗。熊本工は冷静に対処、ホームタッチアウトとなる。七回にも追加点をあげた熊本工は、東北を5安打完封に封じた。


第3試合 関西 対 中京

③湿る打線も投手と守りでまず初戦突破!


関西 100 000 000 1

中京 001 100 00X 2


中京の野中は一死からいきなり連続四球。ここで追川が投犠打。これが小飛球となり、野中は故意落球。しかし野中がこの処理を焦り、誰もいない左中間へ送球。関西が1点を先制した。しかし野中はこの後立ち直る。二回、2連打されたのみで奪三振11と関西を寄せ付けない。

中京は三回、長島の左越え二塁打を今井のタイムリーで返し同点。さらに四回、木下、伊東、岡田の安打で勝ち越す。中京の打線もつながりが悪かったが、野中は三回以降スキなしだった。


第4試合 丸子実 対 春日丘

④ワンチャンスを活かす府立校の真髄!


丸子実 000 101 000 2

春日丘 000 003 00X 3


選抜優勝のPL学園が大本命だった大阪府。代表は準々決勝で逆転のPLを終盤に逆転で倒した府立春日丘。長野県も本命視されていた松商学園を4回戦で倒した丸子実。面白い組み合わせと思われた。試合は予想通り熱戦となる。四回に2安打、六回にも3安打を集めリードした丸子実に対し、春日丘はその裏チャンスをつくる。先頭の9番加藤が中前打。白木がレフト線際どく入る二塁打。ここで高畑、竹井の連打で同点とし、なおも無死一、三塁。ここで4番冨迫が大きな中犠飛でついに勝ち越す。対する丸子実も、七、八、九回と毎回安打を放ち粘るが、春日丘の田宮が粘投、逃げ切りに成功した。


8月11日

第1試合 八幡大付 対 日大二

①再試合はどちらに。水入りの一戦は⁈


八幡大 000 320 010 6

日大ニ 102 101 31X 9


水入りの再試合。注目の試合は澄み切った青空の元、開始された。試合は前回と同じく日大二が初回、二死三塁から倉本が左翼線二塁打でまず1点。三回にも2点を加え優位に立つ。八幡大付も四回、3安打を集め同点。五回にも失策、野選でつかんだチャンスに川端が右前打で逆転。しかし5対5で迎えた七回、日大二。田辺の右前打、倉本のバントが内野安打となり、送って二、三塁から吉田が左前打で勝ち越す。さらに樋口のスクイズ、片岡の左中間二塁打で一気に3点をリード。八幡大付も八回、2本の安打から無死満塁と攻めたが松本の右犠飛での1点のみにとどまった。

日大二は17年前にも岡山東商との試合で1対3とリードされていた五回に雨でノーゲーム。再試合で4対0と勝利した経験がある。歴史は繰り返され、再び再試合で日大二が劣勢を挽回して勝利した。


第2試合 宇治 対 早稲田実

②候補早実、危なげない死角なしの好スタート!


早実 000 203 025 12

宇治 000 000 000 0


東の横綱、早実の甲子園初戦は選抜に続いて京都代表の宇治。最初のチャンスは宇治。初回、一死から連続安打と荒木を攻める。しかしここは荒木が踏ん張り断ち切る。二回の一死二塁も逸機。その間、早実が先制する。迎えた六回、荒木に左越え3ラン。主役の一振りで試合は一気に早実ペースに。八回には3安打、九回は5安打を集中。小沢にもソロが飛び出すなど早実の、『東の横綱』に恥じない力強さが目立った。


第3試合 東海大甲府 対 境

③山梨県勢、16年ぶりの甲子園勝利!


甲府 000 103 131 9

境高 000 000 003 3


序盤は互角の展開。しかし後半は長打攻勢で東海大甲府が山梨県勢16年ぶりの甲子園勝利に花を添えた。八回、4対0とリードした杉村がレフトラッキーゾーンへライナーで飛び込む2ラン。一回後花井もソロを高々と放り込む。さらに九回、狩野がレフトラッキーゾーンへソロ。一試合一チーム3ホーマーのタイ記録を達成した。境も九回、椚から三浦が2ランを放つなど最後まで反撃した。両チーム計4ホーマーも大会タイ記録である。派手な一回戦最後のゲームだった。


ここまでが一回戦です。二回戦以降も楽しみです。