一回戦では早実・荒木や鳥取西・田子の1安打完封など投手力の優れたチームが出ましたが、二回戦ではこれぞ本物の大記録が投手から樹立されました。金属バットになってから初めての夏のノーヒットノーランの快挙です。また逆に猛烈な打撃戦も現れました。これもものすごい記録です。見どころある二回戦をどうぞ。


8月12日 

第3試合 岡谷工 対 津久見

③金丸15奪三振3安打!長野県に久々の喜び


岡谷工 001 040 000 5

津久見 000 020 000 2


岡谷工の金丸は見事なピッチング。津久見をわずか3安打、奪三振15個。大西に三塁打を打たれて完封は逃したが、速球でグイグイ押したのが成功した。岡谷工は三回、四球の小沢を送り、宇治が一塁ベース強襲のタイムリー。五回は死球、安打、犠打エラーで無死満塁から金丸自ら中越え三塁打!さらにスクイズで、岡谷工は安打を効率よく集めて5点目を奪って大勝した。


第4試合 今治西 対 国学院久我山

④粘投の藤本、毎回被安打に耐え完投勝利


今 治 西 010 010 010 3

国学久我山 000 000 101 2


両チームともに二桁安打の好試合。今治西の藤本は、毎回安打の13本を浴びながら、懸命に力投し完投勝ちした。今治西は二回、3安打を集めて先制すると、五回にも二死一、二塁から楢原の右前打で追加点。七回、久我山が一点差とすると、すぐに八回、今治西は武田のタイムリーで突き放す。久我山も九回、一死から鳩貝が右翼ラッキーゾーンに放り込み、さらに島田が中前打と追いすがる。しかし、藤本は最後まで要所を締めるピッチング。なんとか今治西が逃げ切った。


8月13日

第1試合 京都商 対 前橋工

①競り合い制した沢村二世!渡辺は大器の片鱗!


前橋工 001 012 000 4

京都商 000 021 101 5


前橋工の渡辺は一年生とは思えないダイナミックな力感あふれるピッチング。沢村二世の評判の井口がカーブ主体にかわすピッチングとなるだけに、内容としては渡辺に評価が上がる。

しかし試合は最後までもつれる好試合となった。

前橋工は三回、五回、ともに加藤のタイムリーで先手を取る。しかし京都商も五回、エラーとスクイズで同点に追いつくと六回、前橋工はすぐにパスボールとスクイズで突き放す。しかし京都商も六回は金原の二塁打、七回には中沢の一塁イレギュラー安打で同点に追いつく。九回裏、京都商は二死三塁のチャンス。ここで井口は敬遠され、ボックスには辻。辻は外角ストレートに懸命にバットを出し、打球はライト線ギリギリのところにフラフラと。ライト加藤は一歩前に出ていたが、懸命の前進も及ばす、打球はポトリと落ち、サヨナラとなった。快腕を披露した渡辺久信は、10三振を奪いながら勝利に結び付かなかった。


第2試合 名古屋電気 対 長崎西

②工藤見事‼️16奪三振のノーヒットノーラン!


名古屋電気 010 001 002 4

長 崎 西 000 000 000 0


夏は未勝利の名古屋電気。しかし記念すべき夏の一勝は大変な記録とともに誕生した。

名古屋電気の左腕工藤公康は、快速球と大きな縦のカーブを武器に長崎西を寄せつけない。四球1個のみで、ノーヒットノーランを、16奪三振とともに達成した。打線の援護は二回。六回には山本のソロ、九回にも追加点を挙げたが、工藤の快投の前に霞んでしまう。ノーヒットノーランは8年ぶり、金属バットの使用になってからは初。すばらしいキレとコンビネーションだった。


第3試合 福岡大大濠 対 函館有斗

③初陣見事に森山の5安打ピッチング!


福岡大濠 010 100 001 3

函館有斗 001 000 001 2


初出場の福岡大大濠。最後はドタバタだったものの、森山良二の好投で初勝利を達成した。

藤野の左前打から三島のタイムリーで福岡は先制。三回、森山の暴投で同点となるも、四回、今本の三塁打を丸山のタイムリーで返し、すぐに優位に立つ。九回にも三島の二塁打で3点目をとり、その裏に入る。簡単に二死をとり、関の打球は三塁へ。これを丸山がはじき、一塁へ悪投。続く丸山に弾き返され1点差。さらに坂本を四球で一、二塁。最後まで緊迫感のあるゲームとなったが、森山が大田見を落ち着いて二ゴロに仕留め、ゲームセットとなった。


実はこの日登板した前橋工の渡辺久信、名古屋電気の工藤公康、福岡大大濠の森山良二は、いずれも西武ライオンズの投手として活躍します。3人がともにこの日登板しているのは不思議な縁を感じます。


第4試合 都城商 対 帯広工

④こちらも初陣、投打に主役大活躍!


都城商 004 000 020 6

帯広工 000 000 100 1


初出場の都城商は三回、永吉が中前打。続く永盛も右前で一死一、二塁。ここで三番益留は左中間二塁打で先制の2点。さらに四番加藤がライトスタンドへ豪快な2ラン。集中打を見せる。投げては黒原が4安打9奪三振の好投。バックも3併殺で盛り立てた完勝劇だった。


8月14日

第1試合 熊谷商 対 下関商

①真夏の朝の夢❓壮絶な打撃戦もまさかの幕


下関商 030 000 710 11

熊谷商 150 021 111 12


投手が目立つこの大会において、異色の展開となったこの試合。両チーム19安打ずつの壮絶な打撃戦となった。熊谷商はエースの高橋が右上腕部骨折のため投球不可。一年の松本が投げる。六回まで9対3と打撃がカバー。しかし七回、先頭の菅のホームランから流れは下関商へ。7安打にエラーも絡め、一挙10対9と下関商が逆転する。それからは両者譲らぬノーガードの打ち合い!九回表を終え、11対11のまま九回裏の熊谷商の攻撃。一死二、三塁とサヨナラのチャンス。ここで下関商は満塁策。ところが山本の二球目が暴投となり、キャッチャーがボールを追いかける間に三塁ランナーが生還。まさかのあっけないサヨナラ劇となった。この試合での両チーム合計38安打は史上最多安打記録となった。


第2試合 新発田農 対 東海大甲府

②同宿対決は耐えた新発田農に軍配!


新発田農 020 020 000 4

東海甲府 201 000 000 3


初戦で広島商を破った新発田農は、二回戦で山梨の東海大甲府と対戦。これも、予想不利の前評判を覆す試合であった。初回、東海大甲府が4安打と、須藤の立ち上がりをとらえ2点を先行し有利に立つ。しかし新発田農はすかさず二回、一死から三連続四球で満塁とし、併殺崩れの間にまず1点。さらに一走樋口が二盗を試み、挟まれる間に三走松川が同点のホームイン。三回、甲府もすぐに連打とスクイズで勝ち越すものの、五回、四球と連打でまた逆転に成功する。須藤は9安打と打たれはしたものの、粘りのピッチングで三回戦進出に貢献した。


第3試合 秋田経大付 対 福島商

③東北決戦、四回目も経大付に歓喜!


経大付 400 001 000 5

福島商 000 000 100 1


東北で勝ち残った二校が二回戦で対戦。しかも経大付と福島商は秋の東北大会決勝で1対1、1対0、春の東北大会準決勝でも1対0。経大付の二勝一分で迎えた四回目の対決は、意外な展開となった。

初回の経大付。一死後エラーで出塁。古溝はここで暴投、さらに景山も四球。鈴木は三塁内野安打で一死満塁とチャンス到来。ここで右前打で先制。さらに斉藤の内野ゴロで景山も生還。動揺した古溝は浜野の初球を捕逸。これがさらに2点となる。立ち上がりの四点はあまりに大きかった。

経大付の松本は六回まで完全試合。福島商はようやく七回、安斉の三塁打で初安打を放ち、高野の安打で1点を返すもそこまで。初回があまりにも大きかった。


第4試合 鹿児島実 対 鎮西

④九州対決!ライバル意識むき出しに!

鎮西 000 301 020 6

鹿実 010 000 120 4


初戦、ともに好投した鹿実の山田、鎮西の岡本。近県対決となった二回戦、追いすがる鹿実に対し鎮西が逃げる展開となった。

先制したのは鹿実。二回、二死二塁から梶ヶ野の内野安打の間に阿久根の好走塁。しかし四回、鎮西は4安打を集中、暴投とエラーも絡め逆転した。六回には奥村のレフトスタンドへのホームラン、追い上げられた八回には野選、エラーに2安打を絡めて突き放した。鹿実はエラー3個、鎮西も4個とお互いミスが多くリズムに乗りにくい展開であったが、鎮西が振り切った。


8月15日

第1試合 宇都宮学園 対 岐阜南

①ホームランにはホームランで!決勝3ラン


岐阜南 000 011 000 2

宇 学 001 100 13X 6


終盤まで1点を争う好ゲーム。六回、岐阜南は棚橋のレフトへのソロで同点に追いつく。しかし宇都宮学園は七回、三塁打の宮を青木が犠飛でしっかり返し、リードして迎えた八回。一死二、三塁のチャンスに半田がレフトラッキーゾーンに3ラン。終盤のダメ押し的なホームランで決着をつけた。


第2試合 志度商 対 福井商

②好チーム同士がっぷり四つ!決め手は集中打


志度商 000 120 000 3

福井商 000 000 001 1


志度商は四回、3安打を集め先制。五回にも二死一、三塁から斉藤の左中間三塁打で2点を追加、優位に立つ。志度商の白井は前回も完封。この日も的を絞らせない工夫したピッチング。九回、二死から池本が二塁打。藤田も続き一、三塁とし、森本の中前打でようやく1点を返すもそこまで。志度商が三回戦進出を決めた。


第3試合 北陽 対 浜松西

③好投手同士の投げ合いは序盤の攻防!


浜松西 001 000 000 1

北 陽 110 000 00X 2


予選から57イニング連続無失点を続ける浜松西の宮田。しかしついにその記録にストップがかかる。初回、北陽は四球と盗塁で二死二塁とし、西山が左中間三塁打で1点を奪う。二回にも二死三塁から梅田の二塁ゴロがイレギュラーとなり幸運な2点目。浜松西もすぐに三回、二死三塁から吉田の左前打で1点差とするも、北陽はすぐに高木を投入し逃げ切りをはかる。高木は1安打7奪三振。浜松西につけ入るスキを与えず好投手対決は立ち上がりを攻めた北陽に勝機があった。


第4試合 報徳学園 対 横浜

④連覇の夢!2本のアーチで撃ち砕く!


横浜 000 000 100 1

報徳 000 101 11X 4


連覇を目指す横浜。対する報徳学園はパワーで横浜を粉砕した。序盤は報徳の金村、横浜の長尾がともにスキのないピッチング。均衡を破ったのは報徳の金村。四回、二死から長尾のインコースのシュートをレフトラッキーゾーンに叩き込む。七回、横浜は山中が三塁打、島村が中前打で1点差と迫るも、その裏またも報徳金村が二打席連続ソロ。これで試合の流れを決めた。結局、横浜は3安打に抑えられ、金村一人に完敗した。


8月16日

第1試合 和歌山工 対 近江

①近畿の近県対決は投手戦!


和工 100 100 000 2

近江 000 000 000 0


和歌山工は初回、先頭の児玉が中前打。一死後江原が左前打。中野はこのチャンスで一塁線のゴロ。一塁手が弾くものの、審判のジェスチャーがファールからフェアに代わり、ランナーは迷って三塁止まり。チャンスを逃したかに見えたが、ここで近江の加藤は四球。押し出しで労せず先制する。四回は国本の二塁打を送り、田中の左犠飛で貴重な2点目。和歌山工の中田はストレートが伸び、近江は手こずる。八回、古川の三塁打で無死三塁と迫るも、ここで近江はスクイズ失敗し三塁走者が憤死。和歌山工の中田は二試合連続完封を記録した。


第2試合 早稲田実 対 鳥取西

②1安打完封同士の白熱した投手戦!


早 実 010 000 400 5

鳥取西 000 000 000 0


ともに初戦で1安打完封同士の好投手対決。

二回、早実は相手エラーを活かし先制するも、その後は中盤まで鳥取西の一方的な攻撃に耐える一方。早実は三回から3人ずつ完全に打ち取られる。六回は一死から安打、死球、エラーで満塁となる。しかしここで早実の荒木が二者連続三振。ここから流れはまた早実へ。七回、二死から黒柳が左前に久々の安打。荒木が四球、松本が左翼線二塁打で貴重な2点目。さらに小沢が三塁打で2点をさらに追加すると、岩田のセーフティスクイズも決まり、5対0と勝負を決めた。好投手田子は投球内容では上回りながら、早実の集中打に敗れた。


ここまでが二回戦です。壮絶な打撃戦あり、ノーヒットノーランあり、追いつ追われつの逆転劇あり、投手戦、劇的ホームランなど、見どころの多い大会です。続く三回戦も、さらに白熱していきます。

なんと三連続延長戦からのスタートとなります。そして5試合目の延長戦が、事実上の決勝戦といわれる名勝負となります‼️