ときどき生徒が勉強嫌い! 勉強したくない! って言います。そりゃ,勉強が好きな人間はめったにいないだろう,と思います。でも,勉強はしなければならないもの。というより,しなきゃ損でしょ!
「どうして勉強するのか」,いろんな答を用意してますが,以下はその一つです。
勉強って生きるのに絶対必要ってわけじゃない。何とかして生きてはいける。
でも,この世界にせっかく生まれてきたんだから,長い人生,どうせならいろんな楽しいこと,面白いことをしたい。
ただスマホの画面をボーッと眺めるのが唯一の楽しみ,なんて,もったいなさすぎる。
じゃあ,どうやったらいろんな「楽しみ」を見つけることができるのか? ネットで検索かけるか?
観てすぐ楽しい,単純に面白い,そういう,手軽な「楽しみ」はそこらじゅうにいくらでも転がってる。でも,一度消費したらそれで終わり。つまらなくなるのも速い。
本当に楽しいものは,簡単には手に入らないものだ。
それを手に入れるには,時間をかけて,いろんな知識を自分の頭に仕入れないといけない。
そうすることで,自分のいろんなものに対する感じ方や,とらえ方が鋭くなっていく。面白いものを見つける自分のアンテナの感度が高まっていく。
楽しいものをきちんと「楽しい」と感じられる,頭や心が育つ。
たとえば,野球。
野球のルールをまったく知らない人がプロ野球の試合を見てても,正直あまり面白くないだろう。
真ん中にいる人がボール投げて,それをバットで打ち返したら打った人が走り出す。
ふつうに起こってることだけ書いてみても,なんにも面白くない。
でも,野球のルールや戦術とかに詳しくなってから観ると,ピッチャーがボールを投げる前から,自分の中で勝手にいろいろこの先の展開を考えるようになる。楽しめるようになる。
野球を楽しむためには,その周辺の知識を蓄える必要があるわけだ。そして,その知識が多ければ多いほど,深ければ深いほど,野球の楽しみは増すだろう。
学校でやっている勉強も,同じこと。
その楽しさがわかるだけの頭と心(知識と感性)を持った人しか,味わえないような「楽しさ」が,この世界にはいっぱい転がってる。
それを知るためには自分の頭と心をそれなりに鍛えておかないといけない。
楽しいこと,面白いことに対する感度を今のうちにあげておけば,60年? 80年? 大人になってから長い人生を生きるのが,ずっと楽しくなること間違いなしだ!
「若いうちに勉強をたくさんして,いっぱい本を読んで,いっぱいの『不思議アタマ』になって世界に出かけていくとおもしろいぞ。」(椎名誠「アイスプラネット」)
「本当の『楽しさ』とは,他者から与えられるものではない,ということだ。それは,『自分』の中から創り出されるものである。」(森博嗣「自分探しと楽しさについて」)