こんにちは、訪問ありがとうございます。
今回は、熱性けいれんについての続きです。
熱性けいれんとは
※髄膜炎、脳炎など中枢感染症が原因でおこるもの
※代謝異常症が原因でおこるもの
※てんかんの既往があるもの
※38度未満の熱でおこるもの
を除き、6か月以上5歳までのものをいいいます。
「単純型の熱性けいれんは無害で、
小児期のありふれた疾患の1つであり、
心配のないものです。」
単純型ってなに?かといえば
〇両側、全身性のけいれんであって、
身体の一部分がぴくぴくするだけの
ような(部分)発作ではない。
〇15分以内の発作
〇24時間以内に、2回以上連続して
けいれん発作を起こさないもの
以上、3つに当たるものが、単純型熱性けいれんです。
一般的には、
ほぼ、発熱した初日に起こります。
簡単にいえば、
風邪などでおこる38度以上の有熱時に、
数分以内におさまる、
意識のない全身性のけいれん
が一般によくある
単純型熱性けいれんです。
ダイアップ座剤(ジアゼパム坐剤)は
けいれん止めをしては、非常に有用なものですが、
作用が強い座剤です。
副反応
ふらふらしてしまう
意識がもうろうとなる
呼吸抑制がある
熱性けいれんガイドラインでは、
「来院時に熱性けいれんが止まっている場合、
外来でルーチンにジアゼパム座剤を入れる必要はない」
(ダイアップ坐剤=ジアゼパム座剤です。)
以上が前回までの復習です。
今回の内容です。
複雑型熱性けいれんは有害なけいれんで
けいれんが長い時間続くと
脳細胞にダメージを与えたり、
呼吸が長く止まることで、低酸素になることから
命の危険すらあります。
複雑型けいれんとは
〇 部分発作の要素がある。
意識がしっかりしており、
左腕だけがピクピクけいれんする
首がねじれた動きをする
〇15分以上のけいれんである
〇1日以内に反復するけいれんである
のどれかに1つでも当てはまれば
複雑型熱性痙攣です。
こういったものは、無害であるとはいえず、
てんかんであったり、脳症であったり
他の原因が隠れていたり、
原因が風邪の熱でも
繰り返し起こしてほしくないけいれんになります。
受診時に痙攣が続く場合は、
いかに早く痙攣を止める事が重要で、
通常は、静脈に痙攣止めを注射します。
点鼻や、経粘膜投与の痙攣止めを
口や鼻から素早く投与する場合もあるかもしれません。
残念なことに、
痙攣が止まっていないにもかかわらず、
ダイアップ坐剤の投与で済ませようとする
とても能力が低い医師もいて、
ダイアップ坐剤は効果の発現まで時間がかかるので、
その場で起こしている痙攣止めとしては、
有効ではありません。
小児救急をしているが、
小児科医ではない内科医などの他科の医師に多いです。
自宅では、病院に行くまでに効いてくるかもしれないので、
ダイアップ坐剤を痙攣している児に投与しても良いです。
今は自宅で使える、
口腔粘膜投与の痙攣止めが処方されている場合もあります。
下記は以前に勤務していた
地方医師会による
急病センターの事です。(実話)
痙攣止めには、
呼吸抑制があり、痙攣している児に、
静脈から痙攣止めを注射すると呼吸が止まってしまうリスクがあります。
そう言った場合に備えて、
気管内挿管を行う準備が必要なのですが、
そこの救急外来では、
気管内挿管の道具が小児用は置いてありません。
私より年配の重鎮の小児科医数名が、
挿管が出来ないから、
「ないから行えない」という体裁を取るために、
挿管setが置いていないのです。
私が準備するように頼みましたが
ないのが、いいんだよ
あったら、いざと言うときに
しないといけないでしょ。
私使えないから、、、
と言ってました。
何で無い方がいいのか、理解できません
いざと言うときは、
見殺しにするか、
高次医療機関に酸素だけ投与して
送るつもりなのでしょう。
あれば、使える人だけが使い
救命率があがるというのに、、、
ダイアップの予防投与基準についてです。
①15分以上の長い発作があった場合は使用する。
②次の6項目のうち、2つ以上満たした
熱性痙攣が2回以上反復した場合に使用する。
○部分発作又は、24時間以内に反復する
○熱性痙攣出現前から存在する、神経学的異常、発達遅滞
(かかりつけ医が上記は判断してくれます)
○熱生痙攣や、てんかんの家族歴がある
○12ヶ月未満である
○発熱後1時間未満での発作
○38度未満の発作
予防投与の仕方については、
かかりつけ医の先生にご相談下さい。
「はい」にすれば、
保護者向けのパンフレットを見る事ができます。
となっています。
使ってはダメということは言っていませんが、
ダイアップ坐剤には
単純型熱性痙攣以上のリスクが伴いますので、
無害である単純型熱性痙攣に、
使う必要性は限られているということです。
単純型熱性痙攣については、
ダイアップ坐剤は
有害性が有益性を上回ると覚えておきましょう。
良い小児科診療についてはこちらも
参考にしてください。