山岸凉子の「日出処の天子」全七巻読み終わりました。
人物設定が,史実と大きく異なります。
厩戸王が,蘇我毛人(えみし)に身もだえするような恋をします。
しかし,毛人は布都姫(ふつひめ)にぞっこんラブ。
そして,毛人の妹(史実では姉)の刀自古郎女(とじこのいらつめ)は毛人に恋をし,子どもまでもうけます。
刀自古郎女は厩戸王の妻になるわけですが,毛人との間にできた不義の子を,厩戸王の子として育てます。
厩戸王が主人公なのですが,彼以上に興味をそそられるのが,周りの人物です。
例えば,蘇我馬子。
彼の後ろ盾がなければ,冠位十二階も十七条の憲法も遣隋使も実現しなかったでしょう。
馬子は物部氏を滅ぼしたわけですが,そこには権力闘争ということ以外に,仏教を取り入れなければ,朝鮮半島の国や隋などと対等の関係になれないという,時代の流れもあったようです。
※物部氏は強硬な仏教反対派です。
この時代について,小説や「日出処の天子」など読んでも,納得できないのが,
なぜ厩戸王が天皇にならず,推古天皇という女帝を即位させたか?
厩戸王も推古も頑なに即位を拒否したようですが,結果的に,推古・厩戸王・馬子というトロイカ体制になったことが,改革を実現せさたと言えるのかもしれません。
武田塾チャンネルで「共テ日本史は国語だ!」と言ってました。
歴史ですから,年号とか出来事とか,関わった人物を覚えるのは必要ですが,共通テストでは,単に知識を問うのではなく,資料を読み取って設問に答えるという形式になっているそうです。
問題文は,資料として絵図や古文書の文章が出て,それについて,会話しているという形式も見られます。
ですから,古文や漢文の知識が必要でしょうし,論点を把握する力も必要でしょう。
これは,大学の史学で求めているのが,「カタログ的知識」ではなく,資料を読み解き,資料から類推する力だそうで,それに沿った出題だということです。