前回は「求められる英語力」について書きました。
今回は「数学力」について考えてみます。
英検準1級は,大学の中級レベルとされています。
つまり,準1級を取得している学生は,入学時点で既に大学英語領域に入っていることになります。
しかし,理系英語はそこまでのレベルは必要ありません。
それに対して「数学」はどうでしょうか?
これも,40年以上前の私の経験ですので,当てになるかどうかわかりませんが…。
私の印象では,大学の「化学」を理解するには,高校数学では全く歯が立たないということです。
私は,数学は好きでしたが,数Ⅲまでの内容を理解するのが精一杯でした。
理解できない内容もあったと思います。
入試の数学も,解けたという手応えはありませんでした。
それぐらいの,数学力で大学の講義を受け始めたわけです。
数学の授業ではなく「化学」の授業です。
全くわかりませんでした。
大学で使った教科書を,本棚の奥から引っ張り出してみてみました。
高校で出てくる公式などを,微分積分を使って説明していました。
そして,内容が熱力学,反応速度論,量子化学などになってくると,数式のオンパレードです。
大学では,「化学」を理解するための「数学」の授業はなかったと思います。
「一般数学」という授業はあったと思いますが,それもほとんど役に立ちませんでした。
そういう状態ですので,大学のテストでは,数式を理解して解答するという当然のことができません
仕方なく,教科書に書いてある「解法を暗記」して書きました。
全く意味のないことです。
高校化学は,数学が苦手でも何とかなりますが,大学の化学は数学が不得意だと単位を取れないということにもなります。
実際,私は留年しました。
こういう,ていたらく状態なので,大学院進学など考えられるわけもなく,教員採用試験となったわけです。
もし,一般企業に就職したとしても,誰でもできるような仕事しかなかったと思います。
何しろ,「化学」についての専門知識が,ほとんど身についていないのですから。
化学を例に書きましたが,もっとも数学を使うのは「数学科」でしょうが,「物理学科」,「生物学科」も必須でしょうし,工業系も同様だと思います。
最近では「経済分野」で数学の必要性が叫ばれています。
大学の理系数学を理解するには,数Ⅲまでを,やっと理解できた,というレベルでは心許ないです。
ゆとりをもって理解できる,そんなレベルが必要ではないかと思います。
数学をやっと理解できるというのを,英検2級程度とすれば,
大学1年の授業で必要な力は準1級か1級レベルぐらいだと思います。
ですから,理想論を言えば,数Ⅲを終わったら大学レベルの数学に取り組んだ方がいいと思います。
もちろん,入試のレベルを超えるので,そこまでゆとりがある高校生は少ないでしょうけれども…。
複雑な微分積分,偏微分,線形代数,ベクトルなどが必要だとwebには出ています。
今は,大学生用にわかりやすい参考書が出ているので,数学が得意な高校生は眺めてもいいと思います。
進学先が決まった春休みなどに,大学数学を先取り学習ができれば,少し助走になると思いますが…。
私も,理解できなかった大学数学の基本レベルを勉強したいと思って,現在,高校数学の復習に取り組んでいるところです。
※等比数列まで進んできました。
今回,理系数学というテーマで書いてきましたが,「化学科」を目指すのであれば,理系数学を問題にする前に,高校化学がしっかりできているということが大前提になります。
「物理学科」では高校物理です。
高校化学に自信がなければ,学ぶ土台がしっかりしていないので,大学数学を学ぶ以前の問題です。
私のように,化学も数学も土台がふにゃふにゃ状態のまま「化学科」に入学すると,暗黒の大学4年間になってしまいます。