今から,40年ほど前に聞いた話です。
50代ぐらいの方が,ラジオで話していました。
「ご家庭の子どもさんから,『僕,将来はプロ野球選手になるんだ!』と言われたら,親としてどう答えるべきだと思いますか?」
プロ野球選手でなくても,サッカー選手でも,歌手でもアイドルでも,なろうと思ってもなかなかなれないようなもの,いわゆる夢みたいなものですね。
みなさんだったら,どう答えますか?
その方は,こう話していました。
「『そんなもの,無理に決まってるじゃないか。ちゃんとした仕事を考えろ!』と言うべきです。それで,子どもがすぐに諦めるようだったら,それぐらいの気持ちだということ。もし,親が無理だ,ダメだと言い続けても,諦めないで努力するようであれば見込みがある。今の親(40年前の親です)は,逆に『大きな夢を持っていていいぞ,頑張れ。』と言うのではありませんか?」
親がどう答えるべきか,という問いに対しては,多くの答えがあるように思います。
「なれるわけないだろう」と否定するのも,わかります。
以前書いた「精神的親殺し」のように,父親自身が,子どもにとって乗り越えるべき壁になって立ちふさがる。子どもは父親に反抗したり,対抗したりしながら,自分を見つめていきながら,将来を考えていく。
逆に,プロ野球選手に憧れることが,練習を続けていく原動力になるかもしれません。そして,親は励ますような言葉をかけていく。
でも,こういう例もあるかもしれません。
親のほうが子どもより前のめりになって,野球道具をそろえたり,練習にも子ども以上に積極的に関わったりして,そのうち子どもが意欲をなくしてしまう。
「こう答えれば良い」という正解はないでしょう。
褒めれば伸びるのか,少し圧力をかけたり否定したほうがいいのか,子ども一人一人違うと思います。
私の長男は,中学校の部活を決めるとき,かなり迷いました。
スイミングスクールに通えるように文化部にするか,小学校でやってきた野球を続けるか。
結局,水泳ができる文化部を選びました。
そのころ,学級などで将来の夢を発表したり,書いたりするとき,「オリンピック選手になる」と答えていたようです。
親である私たちは「実現は難しい目標だけど,努力してみないとわからないから頑張りなさい」と言いました。
次男は,大きな夢を語るということはありませんでした。
「好きなことを続けられれば良い」そんな感じでした。
それも,野球だったり,水泳だったり,陸上だったり,その時その時で変わっています。
大学に入ったら,カルタになるかもしれません。
「プロ野球選手になりたいと言われたら,どう答えるべきか」という話を,40年も忘れないでいるのは不思議ですが,子育て,あるいは「教育」について考えさせられたのだと思います。