マスメディアは常に中国経済が崩壊寸前だとか、日本のバブルと同じだとか騒いでいますが、中国経済の根本は何も変わっていないのです。

 

簡単に言いますと、中国の経済発展の鍵は①外資による中国への投資、②先進製造技術及び生産ラインの導入、③不動産開発の3つだけなんです。

 

習近平政権は肝心の①と②が遠ざかる様な政策・外交を継続するが為に③が崩れたらそれで終わりなわけです。反スパイ法による外国人逮捕、楓橋経験の推奨による密告の奨励、外交における他国の恫喝、南沙諸島における人工島建設、尖閣諸島への侵入、金銭による外国人技術者の一本釣り、海外の大学・研究機関・企業へのスパイ送込み等、本来必要のないことをやっているが為に、本来容易に入ってくるであろう外資も先進製造技術もどんどん中国から遠ざかっています。鄧小平があれだけ苦労して打ち立てた中国経済発展のマスタープランも、習近平政権において崩壊しつつあるのです。

 

清朝が崩壊し国民党による中華民国が建国された際も、当時の中華民国と諸外国との経済交流、技術交流は盛んでしたし、中国の産業基盤を強固にしました。特に満州、今の東北三省において、撫順探鉱や鞍山製鉄所など、元々日本が投資開発したものです。鉄道はロシアと日本(満鉄)。

 

中国人は歴史的にも商売上手です。ですから、物を作るというより物と金を動かす方が得意です。ですから、物を管理して作るということはやはり日本や欧米の様な外国の方が得意なのです。技術開発も同様です。昨年、とある件で蘇州の友人経由某中国国営企業に話を持ち掛けたところ、「いくら儲かる?」のか、フィージビリティを証明して欲しいと要求されました。技術の中身の精査よりも、先ずは「いくら儲かるか?」です。これじゃあ、中国の技術開発は永遠に無理なのです。

 

技術開発について先ず考えることは受益者が誰か?ということです。受益者が社会全体ということであれば、何としてでも企業として頑張るべきなのです。中国企業は民営であれ、国営であれ、社会の利益よりも一企業の利益を最優先しています。社会主義的資本主義と調子のよいことを言っていますが、筆者に言わせれば公益を考えない利己主義。だから、中国において先進技術の開発が実現しないのです。