日本のコンビニエンスストア業界は、1969年の「マミー豊中店」の開店を皮切りに急速な発展を遂げました[2]。その後、多くのチェーンが誕生し、消えていきました。以下、かつて存在した懐かしのコンビニチェーンについて詳しく説明します。

## 全国チェーン

### am/pm

1978年に誕生したam/pmは、アメリカの石油会社を起源とするコンビニチェーンでした[1]。日本には1989年に上陸し、特定地域に集中出店する「ドミナント戦略」を採用しました。そのため、中国・四国地方には店舗がありませんでした[1]。

am/pmの特徴:
- フードロス対策として冷凍弁当を販売
- 自動販売機による無人サービスを展開
- 「とれたてキッチン」という画期的な冷凍弁当システムを導入

2011年にファミリーマートに完全統合され、ブランドは消滅しました[1]。

### コミュニティ・ストア

国分グローサーズチェーンが展開していたコンビニチェーンです[1]。以下の特徴がありました:

- 商品供給や店舗設備の貸与を目的とした小規模スタイルの店舗も展開
- ロイヤリティは安価な月額定額制
- 24時間営業を強制しなかったため、加盟店が多かった

2011年には京王ストアと共同で「K-SHOP with コミュニティ・ストア」を、2016年には「コミストキッチン」を開店するなど、新業態にも挑戦しました[1]。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる経営環境の悪化を理由に2022年に解散しています[1]。

### ナンバースリー

1982年から関東地方に展開していたコンビニチェーンです[3]。1995年10月に「くらしハウス」を運営する株式会社ジャイロに買収されました。2007年に最後の1店舗が閉店し、ブランドは消滅しました[3]。

### ダイヤメイト

1976年6月に三菱レイヨンの子会社であるジャシィが展開を開始したコンビニチェーンです[3]。1979年5月に株式会社ダイヤメイトとして独立し、同年時点で東京、神奈川、埼玉にフランチャイズ店舗を31店舗展開していました[3]。

ダイヤメイトの特徴:
- 繊維不況を脱却するために三菱レイヨンが展開
- 1985年に撤退

### ファリコ

1994年4月にファミリーマートが小規模コンビニとして展開を開始したチェーンです[3]。

ファリコの特徴:
- テイクアウト型のどんぶり「どんぶりくん」を主力商品とした
- 名前の由来はファーストフード・リカー・コンビニエンスの3つを組み合わせたもの
- 2000年頃にココストアやam/pmなどに転換し消滅

## 地域チェーン

### 北海道地域

#### エバーモア
1980年代後半から2000年頃にかけて釧路市に2店舗が存在しました[3]。

#### デリーズ
1987年に釧路市に、1989年に標津町にそれぞれ一店舗が存在しました[3]。1991年に釧路店が閉店し、標津店はセイコーマートこんどう標津店として現在でも営業中です[3]。

#### ナイスディウエスト
1991年より標茶町と釧路市にそれぞれ1店舗を有していました[3]。

#### ABCマート
高木商店が札幌市内に展開していたレギュラーチェーン型のコンビニエンスストアです[3]。発寒店を1号店とし、1998年時点では南1条、琴似、宮の森に4店舗が存在していましたが、現在は消滅しています[3]。

#### 北海マート
札幌市内に展開していたレギュラーチェーン型のコンビニエンスストアです[3]。1994年時点で3店舗、1998年時点では白石中央、南7条に2店舗が存在していましたが、現在は消滅しています[3]。

#### ボックス
日糧製パンが運営していたボランタリー・チェーン型のコンビニエンスストアです[3]。1998年時点では札幌市内、旭川圏に4店舗、釧路圏に1店舗が存在していましたが、現在は消滅しています[3]。

#### ビーバー
北見市に2店舗を展開していたコンビニエンスストアです[3]。1985年に北見市北進に開業し、1991年に2店目となる花園店が開業しました。1997年頃に両店舗とも消滅しています[3]。

#### ワンダイム
1988年頃から1992年頃にかけて札幌市に展開していたコンビニエンスストアです[3]。一番店舗数の多かった1990年時点では7店舗が存在しました[3]。

#### ワンショップチェーン
1974年12月に室蘭青果食品小売商組の青年部有志によって設立された任意組合ワンショップチェーンが運営していました[3]。室蘭市を中心に展開し、1976年時点でVC6店舗を展開していました[3]。

#### オレンジストア
札幌公開チェーンメンバーの山の手ストアー(昭和39年10月設立)を中核とし結成されたオレンジチェーンが運営していました[3]。ボランタリーチェーンとして展開し各店をオレンジストアと呼んでいました。1980年時点で4店舗を運営していました[3]。

#### わこう
北見市を中心にスーパーマーケットを運営していたスーパー和光が運営していました[3]。1975年5月、北海道北見市三楽町に1号店となる三楽店を開店しました。看板は雪だるまにアルファベットのWが特徴で、1976年当時日本最北のコンビニとして展開されていました。1976年時点で4店舗を展開していました[3]。

## その他の地域チェーン

### K-nes
旧コミュニティ・ストア系のチェーンでした[3]。

### ポイントショップ
2024年現在、個人店として2店、全日食チェーン加盟店として2店存在しています[3]。

## コンビニエンスストアの歴史と発展

日本のコンビニエンスストア業界は、1969年の「マミー豊中店」の開店から始まりました[2]。その後、1973年11月にイトーヨーカ堂がサウスランド社のエリア・フランチャイズを取得し、ヨークセブンを設立しました[2]。1974年5月には、セブン-イレブン1号店が江東区豊洲に開店し、本格的なコンビニエンス・ストア時代が到来しました[2]。

1970年代から1980年代にかけて、コンビニエンス・ストアは急速に発展しました[2]。2004年の時点で、日本におけるコンビニの数は4万店を超え、売上高は7兆3000億円に達しました[2]。小売総額の約5%強を占めるまでに成長しました[2]。

2001年2月期には、セブン-イレブン・ジャパンが、1972年に百貨店の雄三越を売上高で抜き、以来小売のトップの座を占めていた総合スーパーのダイエーを追い抜いて小売業のトップの座につきました[2]。2003年8月末には、セブン-イレブン・ジャパンは国内で1万店の大台を突破しました[2]。

## 消滅したコンビニチェーンの特徴と影響

かつて存在したコンビニチェーンは、それぞれ独自の特徴や戦略を持っていました。例えば、am/pmは冷凍弁当の販売や自動販売機による無人サービスなど、時代を先駆けた取り組みを行っていました[1]。コミュニティ・ストアは、24時間営業を強制しないなど、加盟店にとって比較的柔軟な条件を提供していました[1]。

これらのチェーンが消滅した理由は様々ですが、主に以下のような要因が考えられます:

1. 大手チェーンとの競争激化
2. 経営環境の変化(例:新型コロナウイルスの影響)
3. 消費者ニーズの変化
4. 経営戦略の失敗
5. 親会社や関連企業の経営方針の変更

これらのチェーンの消滅は、日本のコンビニ業界の集約化を促進し、現在の大手3社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート)による寡占状態を生み出す一因となりました。

## 地域密着型コンビニの役割と変遷

北海道を中心に展開していた多くの地域チェーンは、地域の特性やニーズに合わせたサービスを提供していました。例えば、わこうは1976年当時、日本最北のコンビニとして知られていました[3]。これらの地域チェーンは、全国チェーンが進出する前の地域のニーズを満たす重要な役割を果たしていました。

しかし、全国チェーンの拡大や経営環境の変化により、多くの地域チェーンは淘汰されていきました。一部のチェーンは全国チェーンに吸収されたり、業態を変更したりして生き残りを図りました。

## コンビニエンスストア業界の現状と課題

現在、日本のコンビニエンスストア業界は、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートの大手3社が市場の大部分を占めています。しかし、以下のような課題に直面しています:

1. 人手不足と労働環境の改善
2. 24時間営業の見直し
3. フードロスの削減
4. デジタル化への対応
5. 高齢化社会に対応したサービスの提供
6. 環境問題への取り組み

これらの課題に対応しつつ、消費者ニーズの変化に合わせたサービスの提供が求められています。

## 結論

日本のコンビニエンスストア業界は、多くのチェーンの誕生と消滅を経て現在の形になりました。かつて存在したチェーンは、それぞれの時代や地域のニーズに応えながら、業界の発展に貢献しました。これらのチェーンの歴史を振り返ることで、日本の小売業の変遷や消費者ニーズの変化を理解することができます。

今後、コンビニエンスストア業界は、新たな技術やサービスを取り入れながら、地域社会により密着した存在として進化していくことが予想されます。過去のチェーンの経験や教訓を活かしつつ、時代のニーズに合わせた革新を続けることが、業界の持続的な発展につながるでしょう。

Citations:
[1] https://www.moneypost.jp/1193052
[2] https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F4001933&contentNo=1
[3] https://www.weblio.jp/content/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7
[4] https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1371879268
[5] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%93%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7
[6] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%96%E3%82%AA%E3%83%B3
[7] https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/1132/
[8] https://dailyportalz.jp/kiji/mou_nai_hazuno_convini

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