売春・・・・・ |   ~狩人達の酒場~

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様々なことを書いてきましたが、当初の意図とは移りかわり、なんでもありの情報ブログ化してきました。まさに野次馬のごときブログです。いずれはいろんなハンター達の情報交換の場所をいずれは作りたいと思います。(ハンター×ハンター参照)

文=宮下洋一(在仏ジャーナリスト)

 過去10年で住宅価格が2倍以上に膨らむ国が続出し、米国以上のバブルを謳歌していたのがEUである。    しかしその勢いもかげりが見え始め、個人にも影響が出始めている。失業する者、ローン返済のために起死回生の策を練る者。EU圏内での不動産バブル崩壊の最前線現場をお伝えする。

 欧州での住宅バブルが始まったのは、1996年頃からである。10年後には、実質住宅価格が、アイルランドを筆頭にスペイン、英国、オランダ、ノルウェーで2倍以上に上昇。フランス、オーストリア、フィンランド、スウェーデンでも2倍弱となった。

 中には、いまだに高騰が続いている東ヨーロッパの国も存在するが、欧州連合(EU)諸国では、今年に入ってから急激に不動産価格の下落を経験している。

 特に、アイルランドでは、移民による住宅需要、雇用・所得の拡大、さらにユーロ参加に伴う大幅な実質金利の低下で、バブルに火をつけることになった。住宅価格は、1996年から2007年までの11年間の累計で、314%の上昇を記録。しかし、今年の第1四半期の住宅完工件数は2006年末のピークから3割減少したという。だが、アイルランドは、まだ経済成長と所得の伸びがあり、国内経済、あるいはEU圏内への影響は少ないといわれている一方、住宅バブル崩壊で、這い上がれない深刻な状況に陥っているのがスペインだ。今年6月、事実上のバブル崩壊を発表した同国は、過去10年で、不動産価格が270%という世界最高水準の跳ね上がりを見せてきた。住宅建設数は、フランスとドイツとイタリア3か国で建設された数の合計以上といわれる。今年の第1四半期では、実に60%の住宅投資が減少、20%の不動産価格下落も見られている。

 米国のグリーンスパン前連邦準備制度理事会(FRB)議長も、「スペインは、不動産バブルが欧州域内でもっとも広がった国で、米国以上である」と断言している。

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「ECBは、ドイツのバランスシート不況に対応して金利を下げたが、そのことによってスペインやフランスで住宅バブルに火が付いた。また、これらの国々は、ユーロ導入前はドイツに比べずっと金利が高かった。それが、ユーロを導入したことで以前のドイツ並みの低金利ということになり、そのことが、人々が借りられる住宅ローンの元本額を引き上げ、これらの国々の住宅バブルを加速させた部分もあったと思われる」では、10年間の住宅バブル崩壊によって、市民たちの間で、何が起きているのか。

 特に、陶酔生活から目が覚めたスペインでは、国民に持ち家購入を無理して急増させた結果として、住宅ローンを含めた家計の債務水準が高くなった。資産価値が上昇することを見込んでローンを組んでいたので、価値の下落は市民生活に重くのしかかる。それを物語る現象が起きている。

 筆者は、窮地に陥ったあるスペイン人女性ネレイダさんと話す機会があった。住宅2軒を購入し二重のローンを抱えている彼女は、バブル崩壊から抜け出せず、売春を余儀なくされたのだった。同国では売春が合法であるため、手っ取り早い方法として選ぶ人が多いという。ネレイダさんが言う。

「4時間で1000ユーロ(約14万円)を稼ぐこともできる。多い日では、1500ユーロにもなるんです」

 格差社会が顕著化しているこの国では、バブル崩壊の影響にも打ち勝つ上流階級や、ロシアや中国の成り金で溢れている。だが、相手は必ずしも彼らではないようだ。

「ここは、サッカー大国です。場合によっては、世界のスター選手と一夜過ごすことで、これを切り抜けることも可能です。この国には、世界長者番付で十指に入る選手がたくさんいますから、高いお金を払ってくれる人は見つけやすいのです」

 もう1人の女性、シルビアさんも同様だった。バブル期にバルセロナでマンションを購入。住宅価格が最頂点に達した時点で古い家を売り払って、新しく購入した家の支払いに充てるつもりだった。しかし、バブルは弾け、ダブルローンに。

「売春は、趣味でやっているのではありません。大借金を返さなきゃならないんです。私は、経済的必要性のため、男の人たちは、性的必要性のためと割り切っています」

世界的バブル崩壊を経験しているスペインとは正反対なのが、隣国フランスである。この国では、いまだ住宅ブームが続き、価格は緩やかながらも上昇を続けていることは先述したが、住宅高でアパートを借りることさえできない大学生たちが後を絶たない。

「セックスと引き換えにアパート代無料」という怪しげなビジネスも横行しているくらいだ。無料で住めるはずのないパリ中心部にあるアパートだが、地主たちは金のない女性たちの弱みにつけ込んで、「月2、3回セックスしてくれればOK」というふしだらな要求を突きつけるのである。

 人の生活の基本となる場である住宅をめぐって、こうした現象が起きてきているのはまさにバブル崩壊前の兆候といえるのかもしれない。

 このように、欧州諸国はバブル大崩壊に直面している。とりわけ、住宅をめぐる市民レベルの地盤沈下は、巨額の公的資金が注入された米国以上のものになる危険性をはらんでいる