がらがらポン |   ~狩人達の酒場~

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様々なことを書いてきましたが、当初の意図とは移りかわり、なんでもありの情報ブログ化してきました。まさに野次馬のごときブログです。いずれはいろんなハンター達の情報交換の場所をいずれは作りたいと思います。(ハンター×ハンター参照)

日米欧の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は、日本時間11日朝方に、公的資金による資本増強など5項目を盛り込んだ声明文を発表し、閉幕しました。G7が、主要金融機関の破綻回避へあらゆる手段を活用することで合意したものの、マヒ状態が続いている銀行間(インターバンク)貸出の公的保証の枠組みを提示できておらず、市場関係者にとっては、ほぼ予想通りの結果だったと思われます。

世界的な株安などを引き起こしている今回の金融危機は、米国のサブプライムローン問題をきっかけに、リスク資産の回避行動が大規模に起きてしまったためと整理されます。通常の状況であれば、お金を貸したり、投資をしたりするのですが、予想を超えた現象が次々と生じたため、大事を取ってお金を貸したり、投資をしたりすることを手控える企業ばかりが増えてしまい、全体でお金のやり取り(流動性)が急激に少なくなってしまったということです。個々にとってみれば、大事を取るということは、最適な行動といえるのですが、全体でみると非常に不適切な行動になってしまうという、いわゆる合成の誤謬(ごびゅう)が生じているともいえます。

合成の誤謬が生じるときは、全体を俯瞰する立場である政府や中央銀行(金融当局)が、救いの手を差し出すことで、全体の動きが円滑になり、通常の状況に戻ることが期待されます。ただ、今回の場合、世界最大の経済発展国である米国で巨額の損失が生じてしまったため、日本や欧州の金融当局も救いの手を差し出すことに(やや)躊躇しているほか、当の米国の金融当局も救いの手を差し出すことが難しい状況です。

米国の金融当局が救いの手を差し出すのが難しいのは、米国政府がすでに巨額の債務を抱えているほか、米国中央銀行(FRB)も金利をかなり引き下げており、とりうる手段が限られつつあるからです。米国の経済システムは、巨額の経常赤字を世界各国からの資金流入で埋め合わせることで成立していました。このため、今回のようなピンチのときに、すぐさま対応できない状況になるのは、すでに20年以上前から指摘されてきたことです。わかっている方からすれば、今回の状況は、ある種、当然のことのように見えるでしょう。いずれ大きな地震が来るであろうと言われていても、非常用食料や防災用具を準備せず、いざ地震が来ると、「あぁ、食料や用具を準備すべきだった」と後悔する場合と、よく似ている気がします。

ただ、いくら後悔しても現実が好転することはなく、(後悔をしながらも)なすべきことを考え出し、実際の行動に落とし込む作業が必要なのは明らかです。今回の金融危機の源泉が、住宅価格の下落に起因した巨額の損失にある以上、世界の金融当局は、なんらかの形で、この巨額の損失の埋め合わせをせざるをえないのでしょう。

巨額の損失を埋め合わせるための資金は、米国の金融当局にはないので、日本、欧州、そして中国を始めとする新興諸国の金融当局が、最終的には米国に資金を拠出する可能性が高いと思われます。たとえば、日本や中国が保有している外貨準備も、有力な資金源といえるでしょう。また、中東などの政府系投資ファンドも資金源として期待されていると思われます。場合によっては、米国政府が保有する膨大な債務(借金)を棒引きする、いわゆる徳政令が実施される展開も否定できません。

徳政令と聞くと、まるで江戸時代の愚作のように思われるかもしれません。しかし、第二次世界大戦後の1947年(今から約60年前)、米国政府は200億ドルもの債権を放棄し、欧州経済を救済した「マーシャルプラン」を実施したのは事実です。今回の金融危機が、1929年(今から約80年前)の世界大恐慌に匹敵するものであれば、60年前に実施された政策が、再び日の目を見るのも不思議とはいえません。