第3話予告
東京では、夜毎人間が斬り殺される
怪奇な事件が続いていた
その中にはトオルカオル兄妹の父や
MACの鈴木隊員も含まれていた
恐るべき手刀を持ったツルク星人を倒すため
我らがヒーローウルトラマンレオが立ち上がった
さあ、みんなで観よう
脚本:田口成光 監督:深沢清澄 特撮監督: ―
ツルク星人 登場
放映日:1974(昭和49)/04/26
出演者 スタッフ
第2話:大沈没!日本列島最後の日
■梅田一家
第1話から登場しているカオルちゃんの兄・トオルくんとその父が登場します。(母は既に死別)
トオルくんはレオの一年を通して重要なキャラクターへと成長していきます。
お父さん役の二見忠男氏がいい味を出しています。
年齢が高めの割に落ち着きが無く頼りなさそうに見えますが、奥さんを亡くし苦労しながらも愛情たっぷりに育ててきたのだろうという雰囲気が伝わります。
雲梯をクリアしたトオルくんが「ご褒美にテレビが観られる」と話すくだりに時代を感じて微笑ましいですね。
ここで流れるBGM「M55」はフルートとのハープが美しく穏やかで僕の好きな曲の一つです。今回は梅田家の平凡でささやかな幸せを歌ってくれます。
冬木氏の音楽にはこういうクラシック系の日常曲に良曲が多く、その系統の曲を集めたプレイリストを作ると癒されるのでおススメです。
ちなみに「M55」からフルートを抜いた「M54」の方が使用頻度は高いです。
…ところが、そんな幸せな父と兄妹に悲劇が訪れます。
■斬り殺される一般人
歩いて帰宅する梅田一家は等身大の星人・ツルク星人に襲われ、トオルカオル兄妹の目前で父が斬殺される。
とてもウルトラシリーズとは思えないショッキングな展開です。
一般人が怪獣や星人に殺されるのは珍しくありませんが
「等身大の星人が」「刃物で」「真っ二つに斬り殺す」
という、例えば「巨大怪獣が溶解液で人間を溶かす」ような例と比べると、現実的でより恐怖を覚える描写になっています。おまけに斬られた死体が転がっているという力の入れよう。
ツルク星人は言葉を発しないため、作戦をベラベラ喋ったりすることもなく目的不明で通り魔的な怖さがあります。レオの顔の形をした宇宙金属を残して挑発しているので知性は一応ありそうです。
「通り魔的星人による殺人」は以降の回でも度々描かれ、レオ独特の「星人が身近にいるかもしれない」「いつ殺されてもおかしくない」という恐怖を感じさせてくれます。(他社の等身大ヒーロー作品の怪人に近い)
■斬り殺される隊員
トオルカオル兄妹を預かろうとしたMACの鈴木隊員までもがツルク星人に殺されてしまう。
過去のウルトラシリーズにも殉職者は出ましたが、正隊員の候補生だったり宇宙ステーションの隊員たちだったり、メインの隊員たちとは別部署の人々でした。
今回殺害された鈴木隊員はゲスト隊員ではありますが、レギュラー隊員たちと同じ隊員服を着ていることから恐らく同格と思われます。
言わば防衛隊の最前線の隊員が無残に殺されたようなもので、過去の殉職者たちより衝撃度が高いです。
これ以降もレギュラー以外の隊員が度々殺され、極めつけはMAC全滅という事態にまで発展します。
MACには「防衛隊の隊員でも死ぬことがある」と見せることで、レオの殺伐とした世界観の一端を担う役割もあるのです。
■ダンの活躍
本作ではダンが主役級にフィーチャーされます。
まずは暗闇で等身大ツルク星人との決戦。
ティンパのリズムとピアノの刻みが印象的な「M21」は暗い夜道と襲い来る星人の恐怖感にぴったりな音楽。
ダンは右足を負傷した状態であるにも関わらず、超能力を使うわけでもなく、杖による格闘で星人を追い払います。アクションは森次氏自身によるもの!
そればかりか、加勢に来たゲンを星人にやられる危険があるため一発でKOして戦わせないというおまけつき!
ゲンがあまりに情けなく笑ってしまうけれど、ダンはゲンより強い(セブンはレオより強い)というパワーバランスを明確に見せておく必要があったのでしょう。
でないと、ダンがゲンに特訓を課す説得力が生まれません。
■ダンの苦悩
「隊長としてのダン」は黒田にマッキー各機のスピードを倍にするよう指示する一方、「師匠としてのダン」はゲンを指導しつつ特訓させる。
ゲンへの指導は星人を倒させるためのもですが、黒田への指示は隊員に犠牲者を出さないためです。
ここに「ウルトラ戦士であり地球防衛隊の隊長ダン」の特殊性があります。
ウルトラセブンであるが故に星人の能力や実力と、地球の防衛力の差をはっきり認識できてしまう。
自分を信じる隊員たちをゲンの特訓完成までの時間稼ぎに使わざるを得ないダン…。
それに加え「変身できないウルトラ戦士」という更に特殊な事情もあります。
本来なら自分が戦わなければならないのに、戦士ですらないレオを戦わせてしまっている…。ダンにとってこれが何より辛いはずです。
溶けたウルトラアイとBGM「M33」がダンの苦悩を訴える
(「M33」は、セブン「M58」の再演奏曲。原曲はガッツ星人により十字架にかけられたセブンや、パンドンを倒したあとダンが倒れ込むシーン等に使用された。)
ダンの強さや苦悩は次回への布石となっていると言えるでしょう。次回は田口脚本の構成にも注目です。
■ツルク星人巨大化
ツルク星人は巨大化し、街を破壊し始める。
巨大ツルク星人
等身大と巨大化後で星人のデザイン造形が異なるのは他のウルトラシリーズではあまり見られませんが、レオでは定番となります。
着ぐるみを2着用意することで本編と特撮の撮影が同時進行が可能だったようです。
レオはエースやタロウと比べ明らかに予算が絞られているので予算面の影響が気になりますが、同時進行はメリットの方が大きかったという事なのかも知れません。
また、本作には特撮監督のクレジットがありません。
本編監督・深沢清澄氏の兼務なのか?
もし正確な情報をご存知の方いましたらご一報下さい。
■特訓、完成せず
星人の攻撃で戦闘機が撃墜されるのを見たゲン(墜落する戦闘機と目撃するゲンの合成が見事!)は、特訓が完成していないのに変身してしまう。
颯爽と登場するレオですが、当然苦戦します。
第1話のクライマックスで絶望感を演出したBGM「M24」がここでも盛り上げます。
星人の猛攻に成す術の無いレオが追い詰められていく様が実に痛々しいです。
・這いつくばりながら距離を取る
・力なく立ち上がる
・後退りしながら構える
・構えた腕が下がる
・星人に斬られる
・そのまま海へ倒れる
・海中へ沈んでゆく
第2話冒頭のレオもほぼ敗北状態でしたが、ダンのウルトラ念力で敵を追い払うことができたので、このツルク星人戦が初敗北になります。
そのためか敗北の描写も実に丁寧でショックも大きいです。
海とレオの胸を合成し、沈みゆくレオを表現
ダンの「レオ!」という叫びも入った象徴的なカット
更に、星人に破壊された街をカメラを動かしながら見せつけてラストカットとします。絶望感を煽る、煽る!
■その他メモ
・タイトルバックはBGMのみ、「ウルトラマンレオ!」の掛け声はサブタイトル画面と共に
・帰宅する梅田一家が歌うのはフィンガー5の「ダイヤル6700」
第23話でもカオルたちが歌う他、ウルトラマンタロウ第48話では挿入歌として使用された
・等身大ツルク星人の手刀はブラック指令の剣に流用
・大村さんは独身で飯の支度もできない
・猛は弟と二人暮らし
・マッキー1号は第1話と本作、僅か2回の登場
・変身ポーズは両手をクロスして左拳を突き出すタイプが初登場、掛け声は短く「レオ!」
<ゲスト>
梅田兄妹の父:二見忠男
鈴木隊員:鹿島信哉
<必殺技>
無し
<MACメカ>
マッキー1号、2号、3号、ロディ、カー、F-4EJファントムⅡ
<MAC隊員>
黒田、青島、赤石、白川、桃井、鈴木
<スポーツクラブ>
トオル、カオル、百子、猛、大村
やじるし