アリハン・トーナメント第一部
アリュートからの旅立ち
4.森の中の少女
帝国・・・
この世界には3つの帝国と大きな商国があった。
ヴェーン、ホルキア、ハバートそして商いの中心ルティ商国、そのうちのひとつヴェーン帝国から話は始まる。
-ヴェーン帝国東部アリュートの村-
4.森の中の少女
ざわざわと風によって木の葉の声が聞こえる。
それはアレンと棗(なつめ)という冒険者2人を迎えているかのようであった。
木に覆われていて森の上ははっきり見えないが、獣道を所々照らす光から天気は上々といったとこである。
そういった感じのトコを歩き進んでいくと、アレンは棗にこれからのことや、冒険の心得などを聞いていた。
そして、そうこうしているうち、太陽が真上に来る時間となっていた。
「そういえば、そろそろお昼ね」
話を聞きながらメモをとっていたアレンは、いきなりの話の転換に驚きながらも、
「そういえばそうだね、弁当でも食べますか」
といったようにリュックに手をかけた。
「ちょっとまって。早速敵よ!」
村のあたりの敵なら見慣れたモンスターばかりなのですが、さすがに数時間歩くと見慣れないものも出てくるのでした。
「ちょっと厄介ね。」
そういって棗が指差したのは、村のそばで見かける木の化け物より少し大きめの、木の化け物でした。
「こいつはレッドウッドラー、いままでと似てるけどちょっと手ごわいわよ。私が相手してもいいけど、修行にならないでしょ。アレン、お願いできる?」
「ああ。何とかやってみるよ」
とアレンはレッドウッドラーの死角に回り切りかかった。
カンッっと鉄を叩いた感じの音が聞こえた。
「えっ?」
そうアレンがレッドウッドラーに打撃を与えたときであった。
レッドウッドラーの目が光り、枝でアレンを薙ぎ払った。
そうしてアレンは5,6M近くまで飛ばされた。
そして、レッドウッドラーがトドメを指そうとしたときであった。
木の上から少女の声が聞こえてきたのであった。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ」
「ぐわ?」
とレッドウッドラー
「呼んでないけど・・・」
とアレン
「呼んでないわよ・・・」
と棗
そして2人とモンスターが見つめる中、 木の上から地面に少女が飛び降りた。
木の葉の上に見事に着地し、そしてレッドウドラーを指差した。
「ウドラキング!ここであったが100年目覚悟しなさい!」
その声に小声でアレンは棗に尋ねる
「あれってレッドウドラーじゃ?」
そういうアレンに棗は、
「ちょっと間違っちゃったみたいだわ、レッドウッドラーにしてはやけに強いと思ったけど、もっと強い敵だったみたいね」
と冷や汗。
そう、レッドウドラーは普通のウドラーのちょっと強くなった版なのだが、今現在目の前にいるウドラキングは別。
剣士の最上位ソードウェルの賞金首にもなっているほどであった。
まぁこんなトコには出てこないのが普通なので、棗が間違えるのも納得できるのである。
さて、場面は少女対レッドウッドラーもといウドラキング!
ウドラキングの枝攻撃に対して、瞬時にかわして、
少女は左手で魔法の構えをしながら右手で近くの石を拾い、ウドラキングに素早く投げつけていく。
ウドラキングの両目に石が近づくと、ウドラキングはさっと石を払い次の攻撃に備えるが、少女が目の前からは消えていた。
消えたと思われてた少女は、ウドラキングの真後ろに回りこんだのであった。
少女が火炎魔法をウドラキングの背後から投げると、ウドラキングが火炎魔法をそのまま受ける。
だが無傷・・・
ウドラキングはフッと笑い針を真後ろに飛ばす。
少女はそれも避け木の上に登る。
左手の魔法を今度指先に集め一気に放つ。
少女の放った魔法の黒い光は、ウドラキングを垂直方向から貫く光となり、ウドラキングを真っ二つにした。
そして右手で一気に別の魔法でツルギを出して、ウドラキングを細かく切り刻んだ。
見ていると恐かった反面、そして美しかった。
「すごい・・・」
とアレンと棗は同時に口に出していた。
戦闘が終わると少女はアレンに近づいてきた。
「よっ、そこの少年」
「はい!」
「そう硬くなるなって。あたしゃあんたを食べたりしないって」
「え、食べるって・・・」
「ははは、冗談だって。
あたしゃチェル・フローディア。
世界をまわって旅してるんだ
それにしたって、嬢さん守るためにきりかかっていくたぁいい心構えだねぇ」
「えっと、アリハントーナメントの出場の辞・・・」
「ぉ、あれに出るんかい。少年もなかなかだね」
「だから辞退・・・」
「ん、辞退?そうか、そこの嬢さんの辞退のお手伝いってわけね
だが、心配しなくても、嬢さんは桜里の匂いがするし、そう弱くないよ」
「桜里?」
「そうか、もしかしたら。この辺の村人かい?それにしては結構よさそうな剣だけど」
そういってチェルが指差したのはアレンの親父が置いていった剣であった。
そしてひょいと剣を手にとって見た。
「レイ・ブレード。懐かしいねぇ。なくさないほうがいいよ、高価なもんだし」
「そんな高価なのですか?、親父はまったくどっからこんなもの。」
「まぁ、そりゃ私にもわからないさ。四天王軍のコラル倒して、
ミラルカにレイトスがプロポーズにとあげたんだかな」
「ミラルカとかレイトスってのは誰です?」
「さっすが田舎もんだけあって知らないか。
ミラルカとレイトスは200年前の四天王軍の戦いの・・・」
「よくご存知ですね・・・。ただ、私たちはゼブルにこれから行かなくてはならないので」
自分を差し置いてアレンが興味深そうにチェルの話を聞くのに怒ったのか
棗は話の途中でお辞儀をして、アレンを引っ張っていった。
「あっ、棗。まだ話が・・・」
「それくらいの話だったら私だって・・・」
あらら・・・といった表情でチェルは2人を見送ったのだった。
そして、アレンと棗の旅は続く・・・
5.川辺のキャンプへ