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Industrial4.0にかかわる情報を、管理会計の立場から集めてアップしていきます。兎に角書いていくことで、織り重なって繋がり、何かの絵になります様に。

前回、最大、最小、PWC実最悪のケースについての紹介を行った。連なったステーションFlowの中を対象物が通過する場合に、どのように澱んでいくかのこの分析は、Factory Physicsにおいて独創的で最も重要なものである と考えている。それでは、最良と最悪の大きな差を生ずる理由は何であろうか。そもそも繋がっているステーションはどのようなものか、などなど このような数式を見せられても理解しがたい。

 ここで、本書は具体的な事例、特注のオフィスキャビネットの受注フローを事例を挙げてくる。


 

 この例では6つのステーションが繋がっており、情報としては、各々のステーションのスループット、サイクルタイムのみである。この情報をもとに、実最悪のケースでの想定されるサイクルタイムと仕掛品残高の関係を算出することができる。PWCはこのフローの現実的な最低達成レベル(言わば必達カタログ値)を内部データだけで算定できることを重要なメリットとして指摘している。

 

カタログ値

ボトルネック加工レ    : rb2/H図面

最短総加工時間            :プロセス時間の合計T0=10.73時間

臨界的WIP                     : W0 = rbT0 = 2(10.73) = 21.46

「外部のベンチマークが、他のシステムの実力値を基準とするのに対して、これは異なるものであることに留意するべきである。この内部ベンチマークを評価するために、4つのパラメータを必要とするのみである。:ボトルネックレートrb、最短総加工時間T0、平均WIPレベルwそして実スループットTHである。3つのパラメータを基にTHPWCを計算することができる。もしもTHTHPWCであれば、フローは良い領域にある。そうでなければ、悪い領域にあることとなる。」

 ここ数か月の間、受注システムのスループットが平均一時間あたり1.25ジョブであり、プロセス(仕掛レベル)にある顧客注文平均数が60であったと考えてみよう。これは現実的に容易に把握できる。例えば病院での一時間あたり診療者数と平均滞在者数などもこの事例として最適である。(実際にHopp氏は病院経営の研究も分野にしている)この場合でのPWCでのスループットは

 THpwc=60/(60+21.46-1)*2 =1.49

と計算され、先の1.25ジョブが劣ること、すなわち「悪い領域」となる。

さて。である。問題ななぜPWCよりも現実が劣るかについて下記のように語る

「このタイプのシステムで起きがちな原因は、顧客注文の到着が大きくばらつくことである。これは、顧客の購入計画の仕方(例えば、計画プロセスが、週のはじめもしくはおわりにすべての注文を発注する傾向にある等)によるものかもしれない。若しくは、企業が納期を指定する方法によるものかもしれない(例えば、週の間の発注全てが同じ納期とされるため、顧客は金曜日に発注することを良しとする誘因となっているなど)いずれのケースも結果は注文が周期的に集中することである。システムは一定の流れでは一定量をこなす生産キャパシティを持ちえたとしても、そのような集中した注文ではシステムを一時的に超えてしまい、納期遅れと高いWIPレベルに結果してしまう。」

 すなわち、この事例では先のビュッフェで一つの料理の仕給待ちに群がっている状態を意味するのであり、その改善のためには受注のバッチ処理を改善することを示唆している。

最適、最悪のケースいずれも定数的な加工時間を持ち、ばらつきや不確実性の変数は持たない。それにもかかわらずばらつく原因は

①バッチ処理:セットアップと材料取扱い

最悪のケースで観察される極端な待ちの原因は全ての加工対象物がステーションの間を一回のバッチで動くことに

②加工時間の大きな違い:品質、信頼性、人材配置、スケジューリング

加工対象はステーションi においてwtiti:ステーションiにおける本来の加工時間 wWIPレベル)の加工時間を持ち、他の加工対象品は加工時間ゼロ(すなわち待ちの状態)

理論的には、極端にプロセスタイムに違いのあるシステムは、極端なバッチ処理のシステムと同様に振る舞う。現実問題としては、この意味するところは、大きなバッチにせよ加工時間のばらつきの問題にせよいずれもが、加工プロセスの効率を最悪のケースに追い込む可能性があることである。

 そして、改善の理論的な枠組みとして下記を整理している。

加工フローの生産性を高めるための二つの経路

1.    パラメータrb,T0そのものの改善:

ボトルネックレートrbの増加もしくは最短総加工時間T0の削減による。ボトルネックレートの改善の効果が、非ボトルネックのレートの増加よりもより劇的。非ボトルネックの加工時間を速くすることも、特にばらつきがあるシステムにおいては良い影響がある。

2. 所与のパラメータrb,T0での生産性の改善:

1)セットアップの減少、スケジューリングの改善、且つ/もしくは 材料取扱いの改善により、加工もしくは加工と加工の間のバッチにする遅れを少なくすること

2)ばらつきにより発生する遅れを少なくすること。ステーションはばらつきが少ないことから、対象待ちとなることが減り、その結果同じWIPレベルでありながら、より高いスループットを達成している。

 

 ここまで拙い説明をお読みいただき感謝です。唐突ではありますが、このSupply Chain Sciencのご紹介については、ここでとりあえず一旦終了とさせていただきます。不用意に図面を張り付ける不作法を働き、指摘を受けているようです。張り付けました図面につきましても削除割愛といたしました。もしもここまで、お読みになり、この本にご興味を抱かれた方がいれば本望です。この徹底した合理主義的なアプローチは日本人には無いものではないかと思います。個人的には全訳を終えており、今後ブログの中で部分的にながら紹介できればと考えます。

 

尻切れトンボとなってしまいましたが、最後にこの本の序章とそして結語を参考までに書かせていただきます。

 
序章
個々のシステムはユニーク唯一のものであり、サプライチェーンに対峙する経営者が直面する問題の範囲は、殆ど限りがない。しかしながら、まさにそれが科学的なアプローチが必要とされる理由なのである。問題を解く方法を語る本は、限られた状況の中での回答を提供しうるに過ぎない。しかしながら、なぜシステムがそのように振る舞うかの理由を語る本は、ほとんどあらゆるシナリオを効率的に扱いうる道具と洞察をもたらすことができるのである。
 
結語
サプライチェーン生産性の根底にある重要な原理を理解する企業が、他の企業が物まねで追随するのにもがいていることをしり目に、革命的な変革を導き(そしてそこから利益を得る)最良のポジションに位置することになるであろう。