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BE・BOY GOLD (ビーボーイゴールド) 2024年 06月号 [雑誌]
Amazon(アマゾン)
942円
『ララの結婚』一挙2話掲載とかいくらBLジャンル1位獲ってここが勝負といっても、酷使し過ぎでは。
強烈な引きに釣られて本誌を買ってしまいました。
たまには雑誌という形で守備範囲外の作品を読むのも新鮮でいいよね。
編集部の策にはめられてしまった。
あんまり酷使するからコマ割りの時空が歪んで2人の位置関係が入れ替わってしまったぞ。
吹き出しと演出の上手下手の位置関係的にはこうするのが正しいので、単行本ではどうやって修正しようか悩みどころですね。
演出のほうが時空を超えるでも良し。
で、連載リアルタイムで読む苦しみというやつを久々に再体験してしまって心がキツイんですが。
ウルジ氏はなんてめんどくさいんだ。
いや、ためこう先生がめんどくさいのか?
よくここまで悪人無しで話をこじらせられるな!
抱えたものを守るために策をろうしてどんどんオオゴトに発展して身動き取れなくなっていく様が、女性視点の異性恋愛モノのセオリーの逆を行っています。
全員黙っていれば安泰の偽装政略結婚作戦、コードネーム『カッコウの夢』(嘘です)は、CC姫を孕ませた荒くれ大将がその気になれば一気に破綻してしまう危うさがある。
王家を破綻させる秘密という弱みを握られて一生強請られるかもしれないし、同性愛の隠れ蓑にされた子供の方も、出自の噂で秦の始皇帝みたいに性格が歪んでしまうかもしれない。
これが昼ドラだったら飯が喉を通らないぞ。
『もうちょっとだけ続くぞい』って言ってたけど、こんな深みに踏み込んだらBLキングダムとして100巻超えかねない。
世界最長BLとしてギネス申請するのもいいけど。
読んでてソワソワするのは、こんなに途中から登場したのに、アウラ氏がやたら魅力的なのがあります。
『ドラゴンボール』で言えばベジータくらい持っていってる。
もう僕はアウラ氏の心配してますから。
アウラ氏の顔に貼られてる『ベルセルク』でよく使われる渦巻きテクスチャが不穏すぎる。
アウラ氏のイライラは共感できるんですよね。
あの感覚は「彼女できたからバンドやめるだ?」「結婚するから86売ってアルファードに乗り換えだ?」っていう裏切りに対して感じるやつですよ。
お前は俺と夢を抱いて野垂れ死にするんじゃないのかよっていう。
BL宇宙の法則で恋愛的に敗北は確定してるだけに、どう美しく敗れるのかが問題なんですよ。
ラムダン氏が2人いればいいのにね。
いやそっくりな双子の妹はいるけど。
双子の妹がいるだけに、男たちがあえて男のラムダン氏を人生かけて取り合う唯一無二感が余計に際立つといいますか。
CC姫も単に性格歪んでるわけではなく、親の趣味の金魚の養殖に、意思に反して男女をつがわせられる貴族の女の運命を投影して、ラムダン氏とウルジ氏をくっつけることで『血統』というものへの復讐を企てている構図に繋げているところがウマいなー。
一度きりの愛vs継続する遺伝子といいますか。
柱に書いてある近況の水族館のコブダイ好きが金魚のランチュウに繋がっていそう。
ラムダン氏はやっとこ女のフリする必要がなくなって女装をやめたのに、逆に物語的な意味での男の子らしさというか主人公力を失っているのが注目ポイント。
アウラ氏はラムダン氏と肉体関係を持ちたいというより、ラムダン氏が持っていた周りの人間を動かす主人公力を取り戻してほしい、ウルジ氏とのそれが真実の愛なら敗れたい感じになってきて、完全に純愛系腐女子視点の代行者ですよ。
話が動かなくなった時は妹ララ氏の出番ですかね。
割と重要だなと持ったのは、ためこう先生の過去作品的には「歪んだ関係ですけどそれがなにか?」っていう投げっぱなしエンドが多いんですよ。
『ララの結婚』はBL作品として異常なほど長くなってしまって、物語的にそこで終わりに出来なくなって、作家的に「その先の答え」を出さないといけないところに追い込まれたのかなと。
『ララの結婚』はスーパーためこう大戦的な趣があって、
ウルジ氏とパドマ氏は『泥中の蓮』、アウラ氏は『僕のセックススター』のちんこの化身・結城氏と正義漢の息吹氏がフュージョンした感じ。
ララ・ラムダン兄妹は『ぼくの姫島くん』みが……。
ん? だれだ姫島って。
ううっ頭が痛い。