最悪のタイミングで発売『beautiful place』1巻
スマートさのかけらもない泥臭バトルを書かせると漫画界随一の松本次郎先生の新作が、世の中好戦モードという最悪のタイミングで発売です。
表紙イラストもファンシーなのに汚くて最高ですね。女子校、部活モノ、ごつい武器というオタクくんの好物をこれだけブチ込んで受けそうな気配を殺せるのは松本次郎ならではです。
日本人が大好きな寿司とカレーとラーメン混ぜたら残飯になりました的な素材の皆殺し具合がさすが。
残飯超うめえ。
スマホみたいに銃を可愛くデコる発想は常人にはないですよ。そのへんの女子高生のセンスで銃にリロ&スティッチのストラップつけたり空いてるカラビナにぬいぐるみ吊るしたりしてほしい。
松本次郎作品は、なんで戦争やってるのかわからない世界観というのがいいんですよ。
どの国とどの国がどういう理由で戦ってるとか全くわからないまま治安だけ悪くて、それでもミサイルは飛んできてビルが爆発する。
だいたい自分が何なのかもわからないのに世界なんてわかりようもなく、世界の有り様なんて変えようがない。ただ他人だけは不可逆的に変えられる。その手段が暴力というんですけど。
本作がこれまでの作品と違うと思う点は、女性主人公ということですね。女体主人公はあったけど。
これまでの松本次郎作品は女は理解不能か、頭が足りないかわいそうな子かどっちかで、女体は描いても女の内面というのは描いてこなかったんですよ。
女子高生の頭の中に小さいおっさんが入っていた『女子攻兵』からさらにすすんで、高阪パイセンは女体を持ったヤクザのおっさんそのものですからね。
『いちげき』の忍びや『女子攻兵』の人工知能ツキコには、良くない読み方ではありますが、故・松本太郎超先生の影を感じてしまったりしたんですが、今作は松本次郎の段階が先に進んだ感じがするんですよ。異性の原型が兄というバグが取れたというか。
例えば、死ぬほど暴力的で男らしい趣味の奴が、心が女だとか言い出す釈然としなさに、男と女に違いはないんじゃないか的な答えが出たような。内面は中にあって見えないんじゃなくて、外に現れたのが内面だ。
もうそれでいいんだと。
モブキャラの女の描き分けが手癖の外に出たところにあって、意味が見いだせないくらい細かいところとかに女を描こうとしている感じがします。
『おねがい!サミアどん』なんて誰が突っ込めるんだよ。
