『烈海王は異世界転生しても一向に構わんッッ』4巻
そんなわけで本家の分家みたいな『烈海王は異世界転生しても一向に構わんッッ』の方なんですが4巻出ました。出落ちの一発ネタじゃなかった。
タイトルが長いんでいい略し方教えて。
これがまた不思議なんですが、烈海王がファンタジー世界を無双してブチ壊すのでなく、むしろ逆に定番モンスターの特徴や強さを丁寧に味わって紹介する食レポ漫画になってきていて、こういうの富士見ファンタジア文庫で読んだなーとか懐かしい感じすらします。
スケルトンのような肉がないモンスターには叩き攻撃が有効という流れで、攻撃の効果に刺し・斬り・叩きで違いがあるGURPSを思い出して泣いちゃう。
で、TRPGとかやってた頃からずーっと刃牙は続いているというのがこれがまた。
よくある異世界もののファンタジー世界って、ファンタジー世界というよりゲームの世界だったりするんですが、本作は異世界の描き方がコンピューターゲーム的なシステムありきのファンタジーじゃなくてゆるっとしたテーブルトークRPG的なんですよね。
経験値でレベルが上がるとかステータスがどうとかいうゲーム的な設定を出してこないし。
小物の性悪ゴブリンがレギュラー化していい味出してるんですが、ずっと出てくるとなるとセリフのカタカナが読みにくいのはご愛嬌。烈と話してるうちに上手くなったことにしてカタコトやめてしまえばいいのに。
刃牙さんのトリケラトプス拳ってバカにされますけど、空手やってる人ならバカにしないです。
あれ抜塞の型にある山突きじゃねーかってむしろ膝を打つんですよ。
型やってるとなんの意味があるんだこの構えと思ってしまうもんですが、刃牙に出てくるなら面白いからやろうと思ってもらえる。
抜塞の型のポイントは山突きをビシッと決めることなので、その時トリケラトプスを思い浮かべてほしい。
自由落下中に戦闘というのは刃牙ネタというよりガンダムネタ。第7話『コアファイター脱出せよ』ですね。
人間のもがく力は結構すごくて、飛び降り自殺したあと後悔してジタバタして落下位置を変えて助かった人とか結構います。
『空手バカ異世界』で空手には棒もあるんだから棒とかも使えよと思っていたら烈海王が棒を出しくれたのでわが意を得たりですよ。
一発ネタで終わらない感じになってきたので、東洋ファンタジーと地続きの歴史を背負っている烈海王を西洋風ファンタジーに連れてきてどういうふうに着地するのかが見ものです。
あの世界にも東方や中東、南方にあたる文化があるのか、西洋風の文化しかないとしたらなぜなのか、などと考え出すと異世界転生もので深く突っ込まないことになってる部分に触れてしまって面白いかもしれません。
モンスターがネタ切れ起こしたら烈海王が剣闘士奴隷としてファンタジー世界定番の武器防具とかと戦うのもありかもしれませんね。
ファンタジーもののゲームだと槍と剣が攻撃力の大小だけだったり、皮の鎧と鋼の鎧の違いが硬さだけだったり、盾はでかいほど強いみたいなのがなんだかなあと……。武器や防具の優劣が『王家に伝わる』とか『勇者が使った』とか能書き勝負になっててなんでも鑑定団の骨董品かよというところに突っ込んでほしい。
ほとんど烈海王で学ぶファンタジー世界のお約束みたいになるけど。