最近の『範馬刃牙』 | Ноль минус пять минут

最近の『範馬刃牙』

ピクルはそこにいるのに、なぜか当たらぬジャック渾身の打撃。

ジュラ紀の闘争法(モード)とは、最新流行の量子化などではなく、ただジャックの認識速度よりも素速く動いてかわしただけだった。それも余裕で。

たしかに原始的だ。

「お前の攻撃のスピードはたっぷりみせてもらった。お前を倒すにはその上をいけばいいわけだ」というフェニックス一輝Vs.アイアコスの塩試合のようだけど、ちょっとちがう。

速さの極限を極めた克巳が空気の壁にぶつかって自壊したように、刃牙世界には音の壁がある。

限度が過ぎると音の壁にぶつかって自滅するが、ピクルは人間の認識よりちょっとだけ速く動いている。

入院中の克巳涙目である。


ジュラ紀において圧倒的に小兵であったピクルは、スピードで恐龍を制していた。でかい恐龍は鈍感だったという説もあるし。過剰に大きく動いてしまうのは、恐龍の体格と動きにアジャストしたためのだろう。うっかり踏まれただけで致命傷だし、上に跳ぶと着地まで制御不能だ。ガンキャノンの援護が要る。

かの大山倍達先生曰く、人間は武器無しでは猫にも勝てない。猫と言っても野生の猫だろう。そのへんの野良猫で猫の実力を測るのは、そのへんのホームレスと野生の人間である花山さんを混同するくらい危険だ。もっとも、花山さんが相手では飛び道具でも差は埋められないようだけど(『疵面』)。


克巳戦のときは対格差で勝てないっつったのに、言ってるコトが違うだろとか思うのだけど、格闘技は技と力とスピードが矛盾しつつせめぎあう世界である。そのバランスは場所と時代によって猫の目のように変る(上手いコト言ったッッ)。

板垣理論として知られる破壊力の公式は、もともと大山先生の体験に基く理論だ。

克巳は己の拳速によって自壊し、花山さんにして全力で拳を握ると自分の握力で圧壊してしまう。

スピードと体格と握力の最適値のようなものを探らないといけないかもしれない。なんかミニ四駆のセッティングみたいだ。


ピクルは、勇次郎や刃牙さんと同じ「0.5秒の無意識」と同じ領域にいると考えていいだろう。

しかも野生のピクルは人間と違って大脳を経由せず、考えるより前に身体が動き出している可能性がある。

つまり刃牙さんよりも0.2秒くらい速く反応しているかもしれないので、ヘタしたら刃牙さんの0.5秒は通じないかもしれない。

いま闘っているジャックだけでなく、観客席の刃牙さんも追い詰められているのだった。

ピクルに対応するには、意識的に意識を殺し無意識で反応するしかないッッ!!

イチローはバットを振り出してから変化球に反応して打てるから訓練すれば出来るハズだ。

やらないとワンアウトでウンコになってしまうので、やるしかないだろう。


いよいよ刃牙さんの優位性・特権が剥奪され、本丸が丸裸になってきた。

現時点で刃牙さんがピクルに勝る点があるとすれば、ピクル自身は食い放題なのに耳食いちぎられて激昂している、つまりいまだ自分の身と命を危険に晒していないが、刃牙さんは程よく何度も殺されかけているという点くらいだろう。


神の摂理に抗い続けてきた男・ジャックがついに神頼みを始めた。

そのジャックを襲うピクルのアッパーカット。

かつて最大トーナメントで、明日などいらないと言っていたジャックが未来を考えた時、バキに敗北した。

これはやばい。

しかし烈も克巳も、最も大事なアイデンティティを捨てたときに新しい何かが始まったので、もう一山あるかもしれない。

ジャックの大事なものは――やはり肉体だろう。

肉体を捨てたら葬式が始まりそうだ。