手代木史織『聖闘士星矢TLC』第109話・海闘士ユニティ | Ноль минус пять минут

手代木史織『聖闘士星矢TLC』第109話・海闘士ユニティ

デジェルにポセイドンの壺の封印をとけと迫るユニティ。

ビンのふたが開かないからって親友を騙して利用するようなことをしたら、クールが信条のデジェルだって怒るだろう。ふたが開かない時は、冷やすよりむしろ温めたほうがいい。


デジェルはポセイドンと交渉しに来たわけで、封印解除そのものを拒む理由はないのだけど、この状態で起すのはまずい。ただでさえ寝起きの悪いポセイドンだ。神殿はメチャクチャ、玄関先で熟女がひん剥かれて倒れてるし、裸の女を前に海闘士と聖闘士が言い争い。この状況を家主にうまく説明するのは難しい。

この勝負、先に起したほうが怒られるッッ!!

ポセイドン危機一髪だ。


しかしユニティはよりによってポセイドン女体化復活ってマニアックな趣味だな。

「その行い! 神を、いやセラフィナ様の魂を蹂躙する行いだ!!」

できれば憑依女体化ではなく孕ませ復活にして欲しかったけど、そのセリフが聞ければ十分だ。

まだ封印を解いて目覚めたポセイドンが、素直にセラフィナの肉体に入ってくれるかと言う問題があるし、まずポセイドン自身に起きるつもりがあるのかどうかというのが最大のネックだ。壺だけに。

ブルーグラードにはあれだけ蔵書があってポセイドンの取扱説明書はなかったのだろうか。


神経に接続する珊瑚でデジェルを操り、無理やり開けさせようとするユニティ。

その時、珊瑚を通して、デジェルにユニティの記憶が流入する。

ガルシアを殺したのは、シードラゴンの鱗衣に魅入られたユニティだった。父殺しの大罪である。

ユニティは極寒的気象条件に押し込められ、回覧板も回ってこないようなブルーグラードに絶望し、ポセイドンの力で地上を制圧しようとしていたのだった。
車田正美『聖闘士星矢』
……だめだこの鱗衣。海龍は呪われているとしか思われない。ポセイドンは、寝ている間に母屋を乗っ取られる運命なのだろうか。人生の三分の一は睡眠と言うが、ポセイドンは眠りすぎだ。


自身の不在中は根拠地となる聖域を教皇と黄金聖闘士に守らせるシステムを作ったアテナは賢明だった。


聖闘士になるためには、厳しい修行の上、教皇か上位聖闘士による資格審査をクリアすることが条件になっている。また聖衣そのものが装着者の人格を判定し、あまりに邪悪なものには身につけることが出来ない。

対して海闘士は、ポセイドンの意思を感じたものが順次寄り集まってくるだけで訓練もなければ審査もない、いわば義勇兵であるせいか、どうにも質にばらつきがあるのが難点だ。


車田正美『聖闘士星矢』

どうもユニティはブルーグラード気質とシードラゴンの悪いところを併発してしまったようだ。

どうせならガルシアを脳天から真っ二つにして欲しかったところだ。

様式美として。


気になるのは、ガルシアが「その封印はあと二百数十年は破れない」と言っていたことだ。

アテナの降臨サイクルと封印の有効期限はだいたい一致している。

現代アテナ・沙織さんの時代にちょうど解けたと言うことは、前回の封印が250年前ということになり、これは243年前に当たる『TLC』の展開と辻褄が合う。

しかし、先代アテナ・サーシャの時代に封印があと二百数十年解けないということは、封印したのは割と最近ということになる。


ブルーグラードには何年かごとにアテナのお札を張り替える行事みたいなものがあるんだろうか。


原作とアテナの壺を比較してみよう。
『聖闘士星矢』アテナの壺
デザイン、光沢表現、間違いなく全く同じものだ。いい仕事してますねぇ。

ただ微妙に封印のお札の風化の具合が異なっている。243年前のものは若干新しい感じ。

やはりマメにお札を貼り替えている説が有力か。


(車田正美・手代木史織『聖闘士星矢・冥王神話THE LOST CANVAS 』秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」2008.50号)