細川雅巳・新連載『THE フンドシ守護霊』
予告のカットを見た時点では悪い意味で「行こうアガシャ」という気分だったのだけど、そのせいか予想外に面白かった。タイトル打ってるだけでアホらしくなってくるよ。「THE」って。
守護霊、憑依異性化、同性愛というネタを使いつつ、その筋の人が全く喜ばない方向に開花させているな。
今同じネタをオタク市場向けに描くと、主人公は百合属性の美少女守護霊を持った少年で、転校生の女の子とよろしくしたい守護霊に憑依されて女性化しそうなところを、敢えてマッチョなゲイで男性化。嫌がらせだろう。もっとやってクダサイ。
前作『星のブンガ』でも、主人公が剣士や魔法使いではなく道化師で、人質にされるのが美少女じゃなく老婆で、しかも「正義の味方じゃないから」と助けようとしないというヒネくれよう。魔法などで死人が生き返ることもないし。
印象としては全然アレなんだけどそのジャンルの定番を破壊している点が共通するかもしれない。
『ブンガ』では独特な世界観を説明するのに10話掛かってしまったところを、受け手にある共通認識を活用しているので、説明要らずで入り込みやすい。入り込みたくない人も居そうだけども。ホラ遠慮しないで入ってこいよ。
『ブンガ』にもガチムチのアニキ二人が抱き合って合体攻撃する敵とかいたので、ひょっとしたらガチでお好きなんだろうか。いろんな趣味があっていいと思いマスよ。
転校初日に速攻で素性が割れている北島君だけど、この頃は生徒同士がSNSやメールで学際的に繋がっていて、ウワサがすぐに伝わってしまい転校デビューできないらしい。ステキな誤爆カミングアウトをしてしまった北島君の将来が思いやられる。
あまり精神的に追い込まれると、人生を悲観してそのうち霊の仲間入りしてしまいそうだ。悪いほうの。
北島君のカミングアウトに一人くらい喜ぶ女子がいて欲しかった。
アヤメが守護霊をなじっているところで、みどろさんの気配を感じた。あのまま「消えて」とか言ってたら物陰から「除霊してあげましょうかウフフ」などといって出てきたな。
守護霊のおかげでガラスをぶち割る程度で済んだと思うべきかもしれない。
『剣聖ツバメ』によれば憑依霊がダメージを持っていくので、木刀で胸を貫通される程度の無茶は大丈夫。あまり同化しすぎると魂まで同化してしまうけど。副作用として平時から憑依霊に似てきます。
考えようによっては、変身美少女モノと捉えることも出来るかもしれない。変身すると美少女ではなくなってしまうのは匿名性が高くてむしろ良いハズ。
しかし常時フンドシ一丁って、どういう経緯で霊になったんだ。
ていうか肉体派の霊体ってどうなのよ。
これで『星のブンガ』を手に取ろうという人はむしろ減りそうで泣けます。
ともに二巻を見るために僕は戦う(作者とも)。
(細川雅巳『THE フンドシ守護霊』秋田書店刊 2007 週刊少年チャンピオン掲載)